ミヒャエル・シュミット死去(1945-2014)


Michael Schmidt at the 55th Venice Biennale 2013

2014年5月24日、1960年代より第二次世界大戦後のベルリンを記録し続け、ニューヨーク近代美術館でも二度の個展を開催、昨年のヴェネツィア・ビエンナーレ企画展にも参加したドイツを代表する写真家のミヒャエル・シュミットが死去した。68歳。

ミヒャエル・シュミットは1945年旧東ベルリン生まれ。ベルリンの壁が建設される前に家族で西ベルリンへと移住。二年間の警察官としての訓練を経て、1965年に独学で写真をはじめる。歴史的、政治的に特異な状況に置かれた同地を拠点に作品制作を続けた。また、1976年に共同で開講したワークショップは、若い写真家の学びの場、国内外の写真家の交流の場となった。国内を中心に発表を続けていたが、88年にニューヨーク近代美術館で初個展を開催、ベルリンの壁を題材とした「休戦[Waffenruhe]」(1987)を発表。95年には東西ドイツ統一を契機とした国民的アイデンティティや歴史への関心の高まりを考察する「統・一[EIN-HEIT]」(1995)を制作、翌年には再びニューヨーク近代美術館で個展を開催した。その後もハウス・デア・クンスト(2010)などで個展を開催。上述した第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展やベルリン・ビエンナーレ(2010)などの国際展にも参加している。日本国内では東京国立近代美術館などを巡回した『ドイツ写真の現在—かわりゆく「現実」と向かいあうために』などに出品している。

約5年間の計画及び制作の末、2012年に発表した「食料[Lebensmittel]」(2012)は、グローバル化する世界の中で、個人的かつ社会的に重要な問題のひとつとして捉えられている食システムをテーマに制作された。2014年5月21日、シュミットは同作品において、アラン・セクーラ、ボリス・ミハイロフ、リネカ・ダイクストラ、題府基之ら11名の写真家がノミネートされた第5回プリ・ピクテ賞を受賞したばかりであった。同賞ノミネート作家による展覧会は6月14日までロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館に展示されている。

Copyrighted Image