ドクメンタ14はカッセルとアテネの二都市で開催


Team documenta 14, copyright Nils Klinger, 2014

2014年10月6日、カッセル芸術大学にてシンポジウム「ドクメンタ14、カッセル:アテネから学ぶ」が開かれ、2017年のドクメンタ14がカッセルとアテネの二都市で開催される旨が発表された。同シンポジウムでは、キュラトリアル・チームなど運営組織の発表、展覧会全体における基本的な考えやテーマに関する討議も行なわれた。

ドクメンタは、ナチスによって退廃芸術とされた前衛芸術を回顧する展覧会としてアーノルド・ボーデの主導のもと1955年にはじまり、これまで13度にわたって世界各地から数多くのアーティストや専門家を迎えて開催、世界最大の国際展のひとつとして確固たる地位を築いてきた。ハラルド・ゼーマンがアーティスティックディレクターを務めた72年のドクメンタ5以降、各回のアーティスティックディレクターの掲げるテーマを反映した内容へと変化するとともに、来場者数は92年のドクメンタ9で60万人を突破。前回のドクメンタ13では、キャロライン・クリストフ=バガルギエフが、第二次世界大戦の過去の記憶が残る施設、地域に事前に参加アーティストを連れていくなどして、カッセルという街、ひいてはドイツおよびヨーロッパが抱える負の歴史を浮かび上がらせるプロジェクトに取り組み、約86万人の来場者がカッセルを訪れた。

アダム・シムジックがアーティスティックディレクターを務めるドクメンタ14では、疑うことなく現代美術における訪れるべき場所のひとつとなったカッセルに対して、ドクメンタにおける第二の場所としてアテネを設定し、(ホストとしての)カッセルと(ゲストとしての)アテネを対等の地位として扱うことを決定した。1955年のカッセルという時間と場所がその後のドクメンタの発展にとって欠かせないものであったように、地中海を介してトルコや北アフリカ、中東と繋がり、急速に変化するグローバルな状況を象徴し、ヨーロッパが向き合うべき経済、政治、社会、文化におけるジレンマを体現していると言える2014年現在のアテネもまた、想像力、思考、行動のための空間を拡げていく機会を与えてくれる時間と場所となるべく期待される。

キュラトリアル・チームは、ブレティニー現代美術センターのディレクターのピエール・バルブラン、アムステルダム市立美術館パフォーマンス、フィルム、ディスカーシブ・プログラム部門キュレーターのヘンドリック・フォルカーツ、ベルリン・ドキュメンタリー・フォーラムのディレクターのヒラ・ペレグ、シカゴ現代美術館のマニロウ・シニア・キュレーターのディーター・ロールストラーテ、シカゴ大学レヴァ&デイヴィッド・ローガン・アートセンターのヴィジュアル・アーツ・プログラム部門キュレーターのモニカ・シェブチック、そして、アテネ在住のクンストハレ・アテネの創設者でアーティスティック・ディレクターのマリナ・フォキディスと元ギリシャ国立劇場ヴィジュアル・アーツ部門キュレーターで第4回アテネ・ビエンナーレのキュラトリアル・チームの一員も務めたカテリナ・ツェルーで構成される。

ドクメンタ14は2017年4月にアテネで開幕し、続いて、6月10日から100日間にわたってカッセルで開催される予定。

documenta 14:http://d14.documenta.de/

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