サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡 @ 原美術館


「Untitled(無題)」1953年 © Cy Twombly Foundation/ Courtesy Cy Twombly Foundation

サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡
2015年5月23日(土)-8月30日(木)
原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/
開館時間:11:00-17:00(祝日を除く水曜は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/20は開館)7/21

原美術館では、「手で描く/書く」という表現を探求した戦後美術を代表する作家、サイ・トゥオンブリーが1953年から2002年までの50年間で制作した紙の作品(ドローイング、モノタイプ)約70点を紹介する展覧会『サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡』を開催する。

本展の原型となるのは2003年にエルミタージュ美術館で開催され、その後、欧米を巡回した企画展。当時、同館初の外国人キュレーターであったジュリー・シルヴェスター(現・サイ トゥオンブリー財団)が企画、トゥオンブリー自身が作品の選定に関わり実現した。本展は、サイ・トゥオンブリー財団の全面的な協力を得て、美術館規模として日本国内初の個展となる。

サイ・トゥオンブリーは1928年バージニア州レキシントン(アメリカ合衆国)生まれ。戦後、ボストン美術館付属芸術大学、アート・スチューデンツ・リーグやブラック・マウンテン・カレッジなどで学び、51年にはシカゴ、ニューヨークで作品を発表する。その後、兵役を経て、57年にローマに移住し制作の拠点を移し、アメリカ美術の動向とは距離を保ちながら、独自の方向へと進む。65年にドイツのクレーフェルト美術館で初めての美術館規模の個展を開催、68年にはアメリカで初の大規模な個展をミルウォーキー・アート・センターで開催した。

トゥオンブリーの創り出す画面は、即興的に描かれる線や絵具の飛沫に、文字・数字・記号(神話や文学に由来するものも多い)がランダムに組み合わさって構築され、無秩序なようでいて、《描画された詩》と言えるような特異なイメージの空間として形成される。ホイットニー美術館で回顧展を開催した79年には、カタログレゾネ(総目録)第一巻を発行。同書にロラン・バルトによる「サイ・トゥオンブリー論」(邦訳は『美術論集』みすず書房、1986年に収録)が収録されると、80年代には国際的に高い認知度を得るようになる。


:「Untitled (無題)」1970年 © Cy Twombly Foundation
:「Petals of Fire (炎の花弁)」1989年 © Cy Twombly Foundation/ Courtesy Cy Twombly Foundation

作風は80年代後半から最晩年にかけて色彩の使い方において華やかさと激しさを増していき、94年にニューヨーク近代美術館で大規模な個展を開催、翌年、メニル・コレクション美術館(ヒューストン)にトゥオンブリー作品の常設展示のための別館が開設される。その後も世界有数の美術館で個展を開催。2001年にはヴェネツィア・ビエンナーレに12枚の巨大な連作絵画「Lepanto」を出品し、金獅子賞を受賞。同連作は2009年に開館したミュンヘンのブランドホルスト美術館に常設展示される。2011年に83歳で他界。

なお、本展出品作品の一部は、原美術館の別館ハラ ミュージアム アークの特別展示室「觀海庵」で、原六郎コレクションの古美術作品と対置する形で展示される。


「Untitled(無題)」2001年 © Cy Twombly Foundation/ Courtesy Cy Twombly Foundation

関連イベント
「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50 年の軌跡」開催記念キュレータートーク
出演:ジュリー シルヴェスター(サイ トゥオンブリー財団)
聞き手:安田篤生(原美術館)
2015年5月23日(土)14:00-16:00
会場:原美術館ザ・ホール
料金:一般 1,000円(別途要入館料)、原美術館メンバー 無料(同伴者要参加費)
※日本語英語逐次通訳付き
要予約、予約方法詳細は公式ウェブサイトを参照。

サイ トゥオンブリー X 東洋の線と空間
2015年5月29日(金)-9月2日(水)
ハラ ミュージアム アーク 觀海庵

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