グレン・ライゴン @ ラットホールギャラリー


Stranger #53 (2012)
グレン・ライゴン
2013年3月29日(金)-6月30日(日)
ラットホールギャラリー
http://www.ratholegallery.com/
開館時間:12:00-20:00
休館日:月曜日

テキストを用いた抽象画やネオン作品で知られるグレン・ライゴンの日本初個展がラットホール・ギャラリーにて開催される。
ライゴンは1960年ニューヨーク・ブロンクス生まれ。モダニズム絵画やコンセプチュアル・アートの潮流に基礎をおきつつ、批評性を備えた作品の発表を続ける。アメリカ文学から絵本、そして奴隷体験記に至る幅広いソースから引用されたテキストやイメージを用い、アメリカの歴史や文化、たとえば、人種やセクシュアリティ、アイデンティティといったテーマに対する鋭い考察をもたらしている。2011年には回顧展『Glenn Ligon: America』をホイットニー美術館で開催、同展はその後も各地へ巡回。ホイットニー・ビエンナーレ(1991、1993)、ヴェネチア・ビエンナーレ(1997)、ドクメンタ11(2002)など、数多くの国際展や展覧会で作品を発表している。
1980年代後半から制作を開始し、代表作として知られるテキストを用いた抽象画のシリーズは、ステンシルを用い、黒のオイルスティックで文字を繰り返し描くことで、過剰なまでの厚塗りで画面が隆起し、何層ものレイヤーが重なることでカンヴァス上の文字はほぼ判読不能な状態となる。ライゴンのペインティングやドローイングでは、モノクローム、ステンシル、テキストの反復といった形式的な面と、テキストそれ自体が保有する感情的な面との間で対話が生み出され、引用されたテキストは抽象的なコンポジションへと変容する。また、言葉の影響力やひとつの言葉が世代間で異なる意味を持つことへの興味、そして文化・歴史と切り離せない自己やアイデンティティといった概念を変化させることに対する関心が伺われる。
本展では、ジェームズ・ボールドウィンがひとりのアフリカン・アメリカンとしてスイスの小さな村を訪れた経験を綴ったエッセイ『Stranger in the Village』(1953)を引用したStrangerシリーズのテキスト・ペインティングと、ガートルード・スタインの小説『三人の女[Three Lives]』(1909)から引用した「negro sunshine」というフレーズをオイルスティックと粉炭で繰り返し描いたドローイング、「Double America」(2012)と本展で初めて発表する「Untitled (Orpheus and Eurydice)」(2013)のふたつのネオン作品が展示される。

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