フィオナ・タン|エリプシス @ 金沢21世紀美術館


Both: フィオナ・タン「Seven [セブン]」2011年. デジタル・インスタレーション 7時間. © Fiona Tan Courtesy of the Artist and Wako Works of Art, Tokyo

フィオナ・タン|エリプシス
2013年8月3日(土)-11月10日(日)
金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp/
開館時間:10:00-18:00(金、土は20時まで)入場は閉館の30分前まで
休場日:月曜日(8/12は開場、翌13日は休場)

金沢21世紀美術館では、断片的なイメージから紡ぎだされた物語を扱う映像作品で知られるフィオナ・タンによる、日本国内の美術館としては初となる個展『フィオナ・タン|エリプシス』を開催する。

フィオナ・タンは1966年プカンバル(インドネシア)生まれ。現在はアムステルダム在住。中国系インドネシア人の父親とスコットランド系オーストラリア人の母を持ち、幼少期にオーストラリアで過ごした後にヨーロッパへ移り住むという経験を背景に制作された初期作品は、インドネシアでの反中国人暴動により離散した自身の家族を追うドキュメンタリー作品「May You Live in Interesting Times(興味深い時代を生きますように)」(1997年)をはじめ、グローバリズムやポストコロニアリズムの文脈に位置づけられた。既存の写真やフィルムを用いた作品を中心に制作を続けてきたが、近年は入念な設定のもと、自らが演出した映像作品、インスタレーションで、心象と記憶の関係性や、時間、言葉や物語の関係性を探求している。2009年には第53回ヴェネツィア・ビエンナーレにオランダ館代表として参加、そのほか、ドクメンタ、イスタンブール・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレなど多数の国際展や企画展にも参加している。また、数カ国を巡回している『Rise and Fall』など、継続的に個展を開催し、現在はイタリア国立21世紀美術館でも個展『Inventory』が開催されている。

本展では、生後5ヶ月の女の子や77歳の女性など、7名の異なる肖像を緊張感漂う映像に収めた全7時間にわたる長大なインスタレーション作品「Seven[セブン]」(2011年)や、イギリスのブライトンに19世紀初頭に建てられたロイヤルパビリオンを舞台に彷徨する老人を主人公にした映像作品「A Lapse of Memory[記憶のうつろい]」(2007年)、異なる大陸の5つの国で集めた家族写真を用いたインスタレーション「Vox Populi[人々の声]」(2007年)や、2011年のワコウ・ワークス・オブ・アートでの個展でも発表した「Rise and Fall[ライズ・アンド・フォール]」(2009年)や「Brendan’s Isle[ブレンダンの島]」(2010年)といった近作に加え、博物学者カール・フォン・リンネを参照した初期作品「Linnaeus’ Flower Clock[リンネの花時計]」(1998年)を展示する。事実とフィクションの間を往来する糸が織りなす物語、不連続な時間軸上を行き交う視線や声が共鳴する詩的で静謐な表現を展観するものとなっている。
なお、8月上旬に刊行が予定されている書籍『フィオナ・タン|エリプシス』には、本展担当キュレーターの黒澤浩美のほか、オクウィ・エンヴェゾーの寄稿が収録される。

また、同美術館展示室6では、フィリピン出身オーストラリア在住のイザベル&アルフレド・アキリザン『住む:プロジェクト—もうひとつの国』を同時開催する。2006年のブリスベンへの移住を機に、「家(home)」をテーマにした「プロジェクト—もうひとつの国(Project Another Country)」を開始する。今回はボルネオ島サバ州海岸部一帯を拠点にして暮らすバジャウ族の人々を参照し、ダンボールを使用した家を積み上げるふたりの代表的なプロジェクト「In-Habit(住む)」を実施する。美術館近隣のアートスペースや金沢市内の学校や、週末限定で展示室内に設けられる空間にて行われるワークショップで制作されたダンボールの家も作品に付け加えられる予定。

さらに、同美術館では『内蔵感覚—遠クテ近イ生ノ声』が9月1日、『フィロソフィカル・ファッション2:ANREALAGE “A COLOR UN COLOR”』が11月24日まで開催しており、一年間の長期プロジェクトである『島袋道浩:能登』は2014年3月2日まで継続していく。


イザベル&アルフレド・アキリザン「住む:プロジェクト―もうひとつの国」2012年. ‘In-Habit’ originally commissioned by Sherman Contemporary Art Foundation, Sydney, 2012. Photo: Jacob Ring © Isabel & Alfredo Aquilizan

イザベル&アルフレド・アキリザン『住む:プロジェクト—もうひとつの国』
2013年8月3日(土)-11月10日(日)
金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp/

関連プログラム
イザベル&アルフレド・アキリザン アーティスト・トーク
2013年8月3日(土)13:00-15:00
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料(要同展観覧券)
定員:90名(先着順)※ 逐次通訳 英/日

Copyrighted Image