エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ @ 国立国際美術館


オノデラユキ「古着のポートレート No.52」1997年 国立国際美術館蔵 ©Yuki Onodera

エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ
2016年1月16日(土)-3月21日(月、休)
国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜は19:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、3/21は開館)

展覧会担当:福元崇志(国立国際美術館研究員)、中井康之(国立国際美術館学芸課長)

国立国際美術館では、美術の歴史の中で何度も繰り返される「人間描写」という主要課題に対する第二次世界大戦以後のアーティストの試みを、所蔵作品を中心とした50作家100点あまりの作品を通じて紹介する企画展『エッケ・ホモ 現代の人間像を見よ』を開催する。

展覧会タイトルの「エッケ・ホモ」は、新約聖書の一場面、罪に問われるイエス・キリストを指差して発せられた言葉であり、ラテン語で「この人を見よ」を意味する。受難をあらわす主題として美術作品にもたびたび取り上げられてきたエッケ・ホモに限らず、人間を描き、そこに宗教的ないし倫理的な教訓をこめ、人間のあるべき姿を提示する試みは、美術の主要課題として広く共有されている。ただし、二度の世界大戦を経て、現在、人間の描写と教訓的なメッセージとが一直線に結ばれることはなく、あるべき人間像が不確かな中、現代のアーティストは人間の在り方を根本から問い直すことを課されている。

本展では、悪や死を虚飾なく描き出し、教訓的な意味づけを回避しようとする人間描写の可能性を探る「日常の悲惨」、虚実の境が曖昧になっていく中で、今ここにいる自分自身の現実感も失われていくという不安を解消するために、肉体のリアリティを取り戻そうとした試みを紹介する「肉体のリアル」、主体/客体を乗り越えた先に立ち現れる、予兆としての人間描写を紹介する「不在の肖像」の3章で構成される。

出品作品は、国立国際美術館が近年購入したアルベルト・ジャコメッティの絵画作品「男」(1956)のほか、ジャン・フォートリエの「人質の頭部」(1944)、鶴岡政男の「重い手」(1949)、山下菊二の「あけぼの村物語」(1953)、アンディ・ウォーホルの「マリリン」シリーズ(1967)、ゲルハルト・リヒターの「エリザベート」(1965)、オノデラユキの「古着のポートレート」シリーズ(1994-1997)、オルランの「これが私の身体・・・、これが私のソフトウェア・・・」(1993/2007)など。

会期中には、本展に「ターミナル・インパクト」(2014)を出品する小谷元彦によるアーティスト・トークや、ダイキン工業現代美術振興財団の創立20周年記念公演として、悪魔のしるしによる『わが父、ジャコメッティ』の上演などが予定されている。


小谷元彦「ターミナル・インパクト」2014年 作家蔵 © Motohiko ODANI 撮影:表恒匡 提供:山本現代

関連企画
ギャラリー・トーク
2016年1月23日(土)、2月6日(土)各日とも14:00-
会場:国立国際美術館 地下3階展示室
定員:先着90名(無料、要観覧券)
※当日13:30から聴講用ワイヤレス受信機貸出

アーティスト・トーク
講師:小谷元彦(美術家、彫刻家、本展出品作家)
2016年3月5日(土)14:00-
会場:国立国際美術館 地下1階講堂
定員:130名(無料)
※当日10:00から整理券配布

ダイキン工業現代美術振興財団 創立20周年記念公演
「わが父、ジャコメッティ」
2016年3月19日(土)、20日(日、祝)
劇団:悪魔のしるし
出演:木口敬三、木口統之、大谷ひかる、他
会場:国立国際美術館 地下1階講堂
※チケット制(開演時間およびチケットの販売方法など詳細は、公式ウェブサイトに後日掲載)

トーク・セッション
講師:危口統之(悪魔のしるし主宰、演出家)
長谷川新(インディペンデントキュレーター)予定
2016年3月21日(月、休)14:00-
会場:国立国際美術館 地下1階講堂
定員:130名(無料)
※当日10:00から整理券配布


ローリー・トビー・エディソン「トレーシー・ブラックストーン&デビー・ノトキン」1994年 国立国際美術館蔵 © Laurie Toby Edison

同時期開催
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