フィオナ・タン アセント @ IZU PHOTO MUSEUM


Ascent (2016), Fiona Tan, still, Photo: Yamanashi Prefecture

フィオナ・タン アセント
2016年7月18日(月、祝)-10月18日(火)
IZU PHOTO MUSEUM
http://www.izuphoto-museum.jp/
開館時間:10:00-18:00(7月、8月)、10:00-17:00(9月、10月)
入館は閉館30分前まで
休館日:水、年末年始

展覧会担当:山田裕理(IZU PHOTO MUSEUM学芸員)

IZU PHOTO MUSEUMでは、記憶とイメージをめぐる詩的な映像作品で知られるフィオナ・タンの、富士山をモチーフに制作した新作「Ascent」を中心に据えた展覧会『フィオナ・タン アセント』を開催する。

フィオナ・タンは中国系インドネシア人の父と、スコットランド系オーストラリア人の母のもと、1966年にインドネシア・プカンバルに生まれ、幼少期はオーストラリアで過ごす。88年にオランダへ移住。2009年の第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ・オランダ館での個展やドクメンタなど、数多くの国際展や企画展に参加。各地で美術館規模の個展を開催しており、現在、ルクセンブルグのジャン大公現代美術館での個展『Geography of Time』を開催中。日本国内での展示機会も多く、近年は金沢21世紀美術館(2013)、東京都写真美術館(2014)、国立国際美術館(2014-15)で立て続けに個展を開催した。また、初の長編映画『History’s Future』(2016)がロッテルダム国際映画祭のタイガー・アワードやゴールデン・トレーラー・アワードにノミネート、先のアートバーゼル2016でも上映された。

本展の中心をなす新作「Ascent」は、タンの富士山との出会いを出発点として、富士山を被写体とした約4000枚にもおよぶ一般から寄せられた写真や、IZU PHOTO MUSEUMのコレクションをもとに制作されたインスタレーション作品。富士山を被写体とした古今の写真群からイメージをモンタージュした同作品は、富士山の特異性や、この山と人との関わりについての考察にとどまらず、視覚文化において語られてきた歴史、さらには映画の歴史にまでも視野を広げている。ボイスオーバーによる物語は、浮世絵の時代から第二次世界大戦へ、帝国主義の時代から現代のツーリズムへ、また写真の黎明期から現代へとフィクションと歴史の間を、登山のようにジグザグに蛇行していく。

本展における「Ascent」の展示は、映像インスタレーションと、隣接する展示室に並ぶ写真インスタレーションによる二部構成(上映開始時間は下記を参照)。さらに、「Hydriotaphia」(2016)、「Cloud Study I」(2010)、「Cloud Study II」(2016)を展示する。会期中には、タン自身に加え、伊藤俊治、竹村真一、デヴィッド・カンパニーが寄稿したアーティストブックや、展覧会ブックレットの刊行、過去作「影の王国」の上映会も予定している。

「Ascent」(2016、上映時間77分)
10:15 / 11:45 / 13:15 / 14:45 / *16:15(7、8月のみ)
※席数に限りがあるため、事前予約も受け付けている。

関連企画
フィオナ・タン「影の王国[Kingdom of Shadows]」上映会
日程など詳細は決定次第、公式ウェブサイトに掲載

※そのほかの関連企画は、美術館公式ウェブサイトを参照。

ART iT Archive
インタビュー フィオナ・タン「鏡の間」(2013年10月)


Above: Ascent (2016), Fiona Tan, still, Photo: Unknown (Collection of Izu Photo Museum Collection) Below: Ascent (2016), Fiona Tan, still, Photo: Unknown (Collection of Izu Photo Museum Collection)

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