ダレン・アーモンド『陽の光のかげで』@ SCAI THE BATHHOUSE


ダレン・アーモンド「Hand-held Sun」2015年

ダレン・アーモンド『陽の光のかげで』
2016年2月5日(金)-3月5日(土)
SCAI THE BATHHOUSE
http://www.scaithebathhouse.com/
開廊時間:12:00-18:00
休廊日:日、月、祝

SCAI THE BATHHOUSEでは、ロンドンを拠点に世界各地で、時間や記憶への考察を誘う写真作品や映像作品、立体、インスタレーションなどの発表を続けるダレン・アーモンドの個展『陽の光のかげで』を開催する。

ダレン・アーモンドは1971年イギリス・ウィガン生まれ。工業的に製造したフリップ式時計や月光による長時間露光を用いた写真シリーズをはじめ、多様な表現形式を通じて、個人的・集団的記憶や時間とその持続性について探求している。90年代後半に『センセーション』展に最年少で参加して注目を集めると、2000年代にはヨーロッパ各地の美術機関での個展開催、第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2003)、テート・トリエンナーレ(2009)などの国際展への参加と発表の機会を重ねている。2005年にはターナー賞の最終候補に選出され、テート・ブリテンにて作品を発表している。日本国内でも、『超群島—ライト・オブ・サイレンス』(青森県立美術館、2012)や『アーティストファイル2013』(国立新美術館、2013)に参加。2013年末から翌2014年にかけて、水戸芸術館現代美術ギャラリーで個展『ダレン・アーモンド 追考』を開催するなど、近年、発表の機会は少なくない。

本展の中心となるのは、壁一面に拡大投影された太陽の映像。ロサンゼルスのグリフィス天文台の太陽観測望遠鏡から見える太陽を、作家自身がiPhoneで撮影した映像作品「Hand-held Sun」(2015)が展覧会場の唯一の光源となる。そのほか、上下二分割された数字の断片が解読不能な状態で配置されたフリップ式時計のような立体、16枚の鏡面パネルから構成される「In Reflection」(2015-)は時を告げることがないモノクロームの抽象パターンを構成。アルミニウムパネルにアクリル絵具で描いた新作シリーズ「Timescapes」(2015年)は、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた星雲や恒星系のイメージを基に作図され、幾重にも重なり合う色のレイヤーが、科学的思考と絵画的な技法の相互作用を生み出す。「陽の光の影で」と題された本展は、旅、移動、空間—時間、幻想、記憶といったこれまでのアーモンドの制作活動を象徴する概念が、太陽の光と影とによって再び強く関連付けられ、作品に新たな視点を投じる機会となる。

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