冨井大裕『粘土の為のコンポジション』@ Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku


「粘土の為のコンポジション(試作)」2014年, 陶 © Motohiro Tomii, Courtesy of Yumiko Chiba Associates 撮影:柳場大

冨井大裕『粘土の為のコンポジション』
2015年1月13日(火)-2月10日(火)
Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku
http://www.ycassociates.co.jp/viewing-room/
開廊時間:12:00-19:00
休廊日:日、月、祝
※オープニングレセプション:1月24日(土)18:00-20:00

Yumiko Chiba Associates viewing room shinjukuでは、従来の「彫刻」のイメージにとらわれず、制作という行為を通じて、事物の新たな可能性を探り続ける冨井大裕の個展『粘土の為のコンポジション』を開催する。

冨井大裕は1973年新潟県生まれ。特定の素材にこだわることなく、主に既製品を使用した作品で知られるが、人間の身体や指示書、印刷物など、作品素材は多岐にわたる。近年は、東京を中心に開催している個展のほか、『変成態—リアルな現代の物質性 Vol.2 冨井大裕x中西信洋』(2009、ギャラリーαM)、『MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方』(2011、東京都現代美術館)、ヨコハマトリエンナーレ2011、『Omnilogue: Your Voice is Mine』(2013、シンガポール国立大学美術館)など数多くの企画展に出品している。

本展では、冨井が大学時代に毎日向かいあっていたものの、その後、距離をおいてきた素材である「粘土」に向き合い制作した新作と、エディション・ワークスとの初の共同制作となる版画作品を展示する。なお、本展開催に合わせて、最新の展示風景や住友文彦(アーツ前橋館長)の文章を収録した新刊の刊行も予定している。

粘土は、私が初めて制作した彫刻の素材であり、学生時代に最も長く触れた物質である。その過去により、私と粘土は少なからず痴情に溺れた関係にある。粘土は読んで字の如く粘りのある土であり、それ以上でもそれ以下でもない。私が粘土と新しい関係を築く為には、この粘土の性質のみを見つめる必要があった。柔らかいが自立している構造体を制作すること。技量の優劣によって作品を成立させないこと。この二つを両立させることが見つめる為の条件である。その回答として、人体を模した形態と指示書による制作手順の記録を採用した。人体は、そのパーツ間の量のバランスにより、不安定である筈の二点で自立する状態を維持している。そのパーツの内、両腕の接合位置を意図的にずらすことで人体を不安定な状態に変える。そこで起こることは、形態の歪みによる粘土の印象の変容である。接合位置は指示書によって規定される。位置が同じことで際立つのは制作者の素材に対する態度であり、粘土はそれを赤裸裸に映し出す。同じであることによって産まれ続ける差異。これが粘土の魅力であり、「粘土の為のコンポジション」の目的はこの魅力の探求と生産である。
冨井大裕 2015 年 1 月(本展プレスリリースより)

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