瀧口修造とマルセル・デュシャン @ 千葉市美術館


マルセル・デュシャン『マルセル・デュシャン語録』のための
《プロフィールの自画像》の原画 (1967). 富山県立近代美術館蔵.
© Succession Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011

瀧口修造とマルセル・デュシャン
11月22日(火)-2012年1月29日(日)
千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/
開館日時:月–木・日 10:00-18:00、金・土 10:00-20:00
※第1月曜日(12月5日)、12月29日–1月3日は休館

日本のマルセル・デュシャンの受容において、先駆的な役割を果たした瀧口修造。300点を超える作品や資料を通して、ふたりの交流を紹介し、デュシャンが瀧口に与えたさまざまな影響を探る展覧会『瀧口修造とマルセル・デュシャン』が千葉市美術館にて開催される。
瀧口は、1938年に『みづゑ』誌上で「マルセル・デュシャン(調革の論理)」を、1955年には『藝術新潮』にて「異色作家列伝12: デュシャン」を発表。その後、瀧口はスペインのサルヴァドール・ダリ宅にて、デュシャンに出会い、以後デュシャンに深く傾倒し、最晩年まで精神的な繋がりを保ち続ける。ヨーロッパより帰国後、デュシャンの異名”ローズ・セラヴィ”を冠した「オブジェの店」の構想、『マルセル・デュシャン語録』の編纂、岡崎和郎の助けをかりての「檢眼圖」の制作など、最晩年に至るまで、デュシャンに触発された数々の試みと関わり続ける。ふたりが出会い、瀧口が没する1958年から1979年までの期間は、世界的にもデュシャンに関する関心や評価が高まっていた時期にあたり、上述したような瀧口の試みも私的な領域にとどまらない影響力を持ち得た。
本展は、「大ガラス」を未完のまま放棄した1923年以降のデュシャンの作品を展示した第1部。瀧口とデュシャンの交流をふたりの作品や写真、書簡などの資料によって編年順に組んだ第2部、そして、瀧口が交遊を結んだジャスパー・ジョーンズ、マン・レイ、荒川修作、岡崎和郎ら14人の作家による、瀧口ゆかりの作品およびデュシャン関連作品を展示する第3部で構成される。
同期間の所蔵作品展では、瀧口が結成に関わり、今年で結成60周年を迎える実験工房の造形部門の作品を展示する。また、同美術館と同じ建物内9階の市民ギャラリーでは、土渕信彦のコレクションにより毎年企画、開催されている瀧口展の第3回展『瀧口修造の光跡III: 百の眼の物語』(12月6日–12月25日)が開催され、1960年頃から晩年までのデカルコマニーが年代順に展示される。そのほか、巖谷國士を講師とした記念講演会、同美術館学芸員の水沼啓和による市民美術講座などが企画されている。2012年1月15日(日)にはドキュメンタリー映画『死なない子供、荒川修作』(2010)が上映される予定。

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