リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート—見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる @ 森美術館


リー・ミンウェイ「プロジェクト・繕(つくろ)う」2009年 展示風景:ロンバード=フレイド・プロジェクツ、ニューヨーク、2009年 ルディ・ツェン氏蔵 撮影:Anita Kan

リー・ミンウェイとその関係展:
参加するアート—見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる

2014年9月20日(土)-2015年1月4日(日)
森美術館
http://www.mori.art.museum/
開館時間:10:00-22:00
(9/23、12/23を除く火曜日は17:00まで)入場は閉館30分前まで
会期中無休

森美術館では、台湾出身でニューヨークを拠点に活動するアーティスト、リー・ミンウェイ[李明維]の過去20年間の代表作を網羅する、これまでにない規模での回顧展『リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート—見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる』を開催している。さらに本展では、「関係性」や「つながり」といったリーの制作における重要なキーワードを再考するために、リクリット・ティラヴァニや小沢剛など、ほかのアーティストの作品も「参照作品」として展示される。企画は片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)。

リー・ミンウェイは、見知らぬ他人同士がそれぞれ信頼、親密さ、自己認識などの意味を探ることを目的とした参加型のインスタレーション、作家と観客が1対1で食事、睡眠、会話などの行為を共にするといったイベント的な作品で知られる。1990年代後半以降、観客の参加によって成立する作品やプロジェクトが注目される中で、リーも観客参加型のアートプロジェクトを展開していった。これまでに、ホイットニー美術館(1998)、ニューヨーク近代美術館(2003)、ロサンゼルス・カウンティ美術館(2004)などで実施した個別のプロジェクトから、第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ台湾館(2003)をはじめとする数多くの国際展に参加している。
日本国内では、『ギフト・オブ・ホープ』(東京都現代美術館、2000-2001)、『秘すれば花』(森美術館、2005)で紹介され、2012年には資生堂ギャラリーで個展を開催、昨年も堂島ビエンナーレに参加。東京国立近代美術館を皮切りに国内4カ所を巡回している『現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより』にも「プロジェクト・手紙をつづる」が出品されている。


リー・ミンウェイ「プロジェクト・リビングルーム」2000年 展示風景:センター・フォー・チャイニーズ・コンテンポラリー・アート、マンチェスター、2013年 撮影:Kevin Ho

「開幕の時点では、展覧会の完成度はまだ40%」と作家自身が語るように、リーの各プロジェクトは、会期中、観客とのさまざまな関わりを通して変化していく。本展においても、リーやホスト役が参加者と1対1で食事を行なう「プロジェクト・ともに食す」や展覧会場でもらった花を帰り道に知らない人に渡す「ひろがる花園」、観客が持ち込んだ布製のアイテムを、アーティストやホスト役が会話を交わしながら繕う「プロジェクト・繕(つくろ)う」、展覧会のなかで観客が六本木の街の歴史や六本木ヒルズ、森美術館に関わる思い出やエピソードを聞く「プロジェクト・リビングルーム」などを通じて、展覧会が変化を続ける。また、本展では、11月16日の正午から日没まで行なわれるパフォーマンス「砂のゲルニカ」のように特定の日時に行なわれるパフォーマンスだけでなく、会場を移動する歌い手から、観客へむけての形のない贈り物としてシューベルトの歌曲を届けるパフォーマンス「ソニック・ブロッサム」のように予告なしに行なわれるパフォーマンスも実施される。

「関係性」や「つながり」といったキーワードを再考するための「参照作品」として、上述したリクリット・ティラヴァニ、小沢剛のほか、白隠や鈴木大拙、ジョン・ケージ、イヴ・クライン、李禹煥、アラン・カプロー、田中功起などの作品を展示。そのほか、日本政府の台湾統治時代に明治大学で法学を学んだリーの祖父や東京女子医大専門学校で学んだ祖母の写真をはじめとする私的な写真も展示される。


小沢剛「ベジタブル・ウェポン―芋煮/福島」2012年 Courtesy: MISA SHIN GALLERY, Tokyo

関連イベント
キュレータートーク
「リー・ミンウェイとその関係について考える」
片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
2014年10月31日(金)19:00-20:30(開場:18:30-)
会場:森美術館展示室内
定員:80名(要予約)※申込は9/19より森美術館ウェブサイトにて受付
無料(要展覧会チケット)
※日本語のみ手話同時通訳付

シンポジウム
グレン・ウォートン(ニューヨーク大学美術館学特任准教授)
ハーヴェイ・モロッチ(ニューヨーク大学社会学・大都市学教授)
片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
菊池宏子(森美術館エデュケーター)
2014年11月14日(金)19:00-21:00(開場:18:30-)
会場:アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ森タワー49階)
定員:150名(要予約)※申込は9/19より森美術館ウェブサイトにて受付
料金:1,000円、MAMCメンバーは無料
※日英同時通訳付

トーク
「リー・ミンウェイと禅について考える」
佐々木閑(花園大学教授)、広瀬麻美(森美術館シニア・コンサルタント)
2014年11月18日(火)19:00-20:30(開場:18:00-)
会場:森美術館展示室内
定員:80名(要予約)※申込は9/19より森美術館ウェブサイトにて受付
料金:1,500円(展覧会チケット付)、MAMC及び年間パスポートメンバーは無料


白隠「無字」江戸時代中期 所蔵:久松真一記念館、岐阜

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