『収容病棟』(監督/ワン・ビン)


All Images: © Wang Bing and Y. Production

『収容病棟』
監督 / ワン・ビン[王兵]、2013年、237分(前編122分/後編115分)、香港、フランス、日本、製作 / Y.プロダクション、ムヴィオラ、配給 / ムヴィオラ
2014年6月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
http://moviola.jp/shuuyou/

『鉄西区』(1999-2003)以来、常に新作が待たれる映画監督ワン・ビン[王兵]の第70回ヴェネツィア国際映画祭特別招待作品ともなった新作『収容病棟』(2013)が、2014年6月28日よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開する。

精神病患者が一億人を超えたと言われて久しい中国ではあるが、本作『収容病棟』の舞台となった中国南西部、雲南省の隔離された精神病院の200人以上の患者の誰もが自らの意志ではなく、ある者は家族に、ある者は中国警察または法廷によって収容の措置がとられ、殺人を犯した者、精神異常者と判断された者、薬物中毒やアルコール中毒、神経衰弱と判断された者であり、さらには、政治的な陳情行為を行なった者や「一人っ子政策」に違反した者もまた「異常なふるまい」を理由に収容されている。

廊下を走り回る男、自分の身体に文字を書いたり、注射をねだったりする男、家庭内暴力で施設に入れられたと思われる男と、たびたび面会に来るその妻、下の階の女性患者と愛を語らう収容9年の男、帰宅処置がとられて家に帰る収容11年の男……。ワン・ビンが約3ヶ月にわたり彼らの日常を撮影し、237分の作品として結実させた本作は、誰も聞こうとしていない彼らの声に静かに耳を傾けている。

ワン・ビンは1967年中国陝西省西安生まれ。魯迅美術学院写真学科(瀋陽)を卒業後、北京電影学院映像学科に入学。日本占領中に開発され、後に中国最大規模の重工業地帯となるものの90年代以降に衰退していった瀋陽の鉄西区を、1999年から2003年にかけて、デジタルカメラで撮影したドキュメンタリー『鉄西区』を制作。同作品は2003年に山形国際ドキュメンタリー映画祭グランプリをはじめ、リスボン、マルセイユ、ナントといった各地の映画祭でグランプリを獲得する。その後も『鳳鳴(フォンミン)―中国の記憶』(2007)や『無言歌』(2010)などを製作し、数々の国際的な賞を受賞している。現在、ポンピドゥー・センターで回顧展『ワン・ビン x ハイメ・ロサレス 文通する映画作家』が開催されている。

本作はワン・ビンにとって、初の日本との共同製作作品であり、東京都写真美術館を中心に開催された『第6回恵比寿映像祭 トゥルー・カラーズ』の上映プログラムで日本初上映された。上述の通り、既にヴェネツィア国際映画祭特別招待作品として上映されたほか、第35回ナント三大陸映画祭では銀の気球賞を受賞している。

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