アージェント・トーク027 緊急上映!鬼才クリストフ・シュリンゲンジーフに迫る @ 森美術館


「外国人よ、出ていけ!」AUSLANDER RAUS von Paul Poet / © Filmgalerie 451

アージェント・トーク027
緊急上映!鬼才クリストフ・シュリンゲンジーフに迫る
2015年9月23日(水、祝)14:00-17:30
2015年10月2日(金)18:00-21:40
森美術館 オーディトリアム
http://www.mori.art.museum/
出演:ウルリケ・クラウトハイム(舞台芸術コーディネーター)
定員:各80名
※無料(要展覧会チケット)、申込不要(当日先着順)

森美術館のアージェント・トークでは、社会全体が抱える問題や矛盾を剥き出しにする挑発的な舞台やプロジェクトで知られ、2010年に49歳の若さで逝去したクリストフ・シュリンゲンジーフのプロジェクトを記録したドキュメンタリー映像を上映する。また、上映作品について、F/T14で同作家の映像特集を企画した舞台芸術コーディネーターのウルリケ・クラウトハイムによる解説も予定している。

クリストフ・シュリンゲンジーフは1960年ドイツ・オーバーハウゼン生まれ。敬虔なカソリック教徒として育ち、ミュンヘン大学ではドイツ語、ドイツ文学、哲学、美術史を学ぶ。80年代半ばに長編映画を監督し、89年から92年にかけて制作したドイツ三部作『アドルフ・ヒトラ―100年』『ドイツ チェーンソー大量虐殺』『テロ2000年』で注目を集める。93年には演出家としてベルリンのフォルクスビューネ劇場で『キリスト教民主連盟100年・無限の遊び』を上演。以来、障碍者を含む専門的な演技経験のない人々を起用、映像を多用した舞台を発表すると同時に、97年からは屋外でのプロジェクトも展開。ホームレス状態の人々、麻薬中毒者、アート関係者らが集まる「宣教所」をハンブルク中央駅の近くに設置した「パッション・インポッシブル」、極右政党が連立政権に参加することとなったオーストリアの首都、ウィーンの芸術週間の一環としてウィーン歌劇場前に設置したコンテナハウスに亡命希望者を滞在させ、リアリティ番組の形式をなぞり脱落者を選んでいくプロジェクト「プリーズ・ラブ・オーストリア」、失業者や障碍者を候補者とする新政党を結成する「チャンス2000」などでさまざまな人々を巻き込んでいった。また、肺がんを告知された2008年以降、ブルキナファソに学校、病院、劇場を含む「オペラ村」を計画、建設を進めた。フランクフルト近代美術館館長のスザンネ・ゲンズハイマーとともに、第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ ドイツ館の展示企画中に他界。図らずも追悼展となった同展示は国別パビリオン部門の金獅子賞を受賞している。

日本国内では生前に舞台作品の上演はないが、昨年のフェスティバル/トーキョー14で映像特集以降、ドイツ文化会館ホールやシネ・ヌーヴォでの映像上映、大阪大学文学研究科が主催する〈声なき声、いたるところにかかわりの声、そして私の声〉芸術祭III—」内のプロジェクト⑧「ドキュメンテーション/アーカイヴ」の一環として上映されるなど、関心が高まっている。

本企画では、9月23日に上述した「パッション・インポッシブル」を記録した「友よ!友よ!友よ!」と「プリーズ・ラブ・オーストリア」を記録した「外国人よ、出ていけ!」を上映。10月2日にはドイツの人気テレビ番組「キャスティング・ショー」をシュリンゲンジーフ式に展開した「フリークスター3000」とブルキナファソでの「オペラ村」建設を追った「時のひび割れ」を上映する。


「友よ!友よ!友よ!」© Ahoi Media

タイムテーブル
2015年9月23日(水・祝)
14:00-15:30|「友よ!友よ!友よ!」上映(1997年、73分、言語:ドイツ語)
15:30-16:00|ウルリケ・クラウトハイム氏による解説
16:00-17:30|「外国人よ、出ていけ!」上映(2001年、90分、言語:ドイツ語)

2015年10月2日(金)
18:00-19:30|「フリークスター3000」上映(2003年、75分、言語:ドイツ語)
19:30-20:00|ウルリケ・クラウトハイム氏による解説
20:00-21:40|「時のひび割れ」上映(2012年、106分、言語:ドイツ語/フランス語/英語)
※映像はすべて日本語字幕付き


Above:「フリークスター 3000」photo: Thomas Aurin / ©Filmgalerie 451.
Below:「時のひび割れ」photo: Aino Laberenz / ©Filmgalerie 451.

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