リクリット・ティラヴァーニャ『ニュウおじさん、ご近所を訪ねる』@ 現代美術センターCCA北九州

リクリット・ティラヴァーニャ『ニュウおじさん、ご近所を訪ねる』
2014年3月17日(月)-4月25日(金)
現代美術センターCCA北九州
http://www.cca-kitakyushu.org/
上映時間(154分):11:00-、14:00-
休館日:日、祝

CCA北九州プロジェクト・ギャラリーでは、昨年に引き続き、リサーチプログラムの教授としてCCAに滞在したリクリット・ティラヴァニが2011年に制作した映画『ニュウおじさん、ご近所を訪ねる』の上映を行なう。

ティラヴァニは観客に料理を振舞ったり、美術館に録音スタジオを設置したり、ギャラリーに自分のアパートを再建したりと、自身が触媒となり、既存の美術空間に日常的な活動が生まれる契機を創出するような、人や者のあいだの双方向的なあり方における新しい美学的な考え方を切り拓いてきた。90年代に台頭すると、2004年にはヒューゴ・ボス賞を受賞した。日本国内でも二度の横浜トリエンナーレや、東京オペラシティ・ギャラリーでの個展(2002)、ギャラリーSIDE2などで作品を発表している。

私たちは、簡素な日常世界のなかで、自分の周りの自然環境や村の仲間を思いやり、大地の恵みで暮らしを立て、ご近所を訪ねるニュウおじさんを追いかけます。そこにあるのは、慎ましいひとりの人間のあるがままの姿と、私たちの世界をより良く変革していくもうひとりの人間なのです。

ニュウおじさんは60才の時、タイ北部のチェンマイ県にある小さい村で、米づくりを引退しました。首都バンコクでの近年の政治変動の喧騒や民主改革を求める声から遠く離れて、カメラはニュウおじさんの日常を追っていきます。ニュウおじさんは、生まれた時から魚を捕り、狩りをし、家の近くの原っぱや森に生える薬草や植物を探すなど、自然の恵みで生きてきた人です。生活の雑用をこなしてまわり、田舎の生活に役立つあれこれをしながら、空いた時間を埋めていきます。その合間に、近所の人たちと時間を過ごします。地元の賢人や、深い谷の病気の年老いたボス象、彼の家の前庭で遊ぶ子ども経ち、地元のたまり場にいる若者。ニュウおじさんは、敵もなく、決めつけることなく公平で、謙虚で控えめな人として、近隣の村で知られているのです。

大勢の人々が平等、機会、自己決定を求め、その手に民主主義を望んでいるまさに今こそ、私たちは、こう問いかけなければいけないのです。「すでに楽園に住んでいる者は、何をさらに求め得るのか?』と。ニュウおじさんのなかに、こうした要求への答えと問いかけの両方を見るのです。彼の自己洞察と自立の継続のなかに、思いやりと謙虚さのなかに、そして現実と日々の簡素な日常からなる物語のなかに。

—リクリット・ティラヴァーニャ
(プレスリリースより抜粋)

なお、CCA尾倉ギャラリー/ジム・スタジオでは現代美術センターCCA北九州で実施中のリサーチ・プログラム 2013/2014のオープン・スタジオが開催される。

リサーチ・プログラム 2013/2014 オープン・スタジオ
2014年3月16日(日)-3月23日(日)
開廊時間:10:00-17:00
※レセプション:3月15日 17:00-
サラ・ベナグリア、ユセフ・フ、マリリア・スパノウ、川嶋貫介、山口陽登

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