アン・リスレゴー「Time Machine」2011年 3Dアニメーション アニメーションからのスチル
アン・リスレゴー展『Shadow Ya Ya』
2015年10月27日（火）-12月25日（金）
京都芸術センター 談話室ほか
http://www.kac.or.jp/
開館時間：10:00-20:00
会期中無休
京都芸術センターでは、SF文学からの着想に基づいた重層的な時空間を、音響や光、３Dアニメーションを駆使して具現化したインスタレーションで知られ、今春のPARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015への参加も記憶に新しいノルウェー出身のアーティスト、アーティスト、アン・リスレゴーの個展『Shadow Ya Ya』を開催する。
アン・リスレゴーは1962年ノルウェー・トンスベルグ生まれ。93年にデンマーク王立美術アカデミーを卒業。現在はコペンハーゲンとニューヨークを拠点に活動する。物理的な時空間と仮想的な時空間が介入し合う環境において、時間と空間の再考察を促すような作品を制作している。先のPARASOPHIAで発表した川又千秋のSF小説『幻詩狩り』を題材とした「ドゥバド、ドゥバド」（2015）、フィリップ K. ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか？』を題材とした「神託、フクロウ……ある動物は眠らない」（2012-14）のように、特定のSF文学の中に言語や物語、セクシュアリティーなど、さまざまな概念、事象への異なるアプローチを見出だし、作品へと展開している。90年代より数多くの個展や企画展で作品を発表。2005年の第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ・デンマーク館では、サミュエル・R・ディレイニーの『ダールグレン』を題材にした映像インスタレーション「ベローナ」を発表した。それ以降も、オスロのアストルップ・ファーンリ現代美術館（2007）、デトロイト現代美術館（2009）やテルアビブ美術館（2015）で個展を開催、第12回リヨン・ビエンナーレ（2013）や第19回シドニー・ビエンナーレ（2014）といった国際展への参加と精力的な活動を続けている。日本国内では、2006年にnichido contemporary artで個展を開催。上述したPARASOPHIAでは、展示のほか、オープンリサーチプログラムも開催している。
Installation view of Ann Lislegaard, Time Machine, 2011. Projected 3D animation, unfolded mirrored-box, sound. Photo by Fabiana Viso, courtesy of the artist and Murray Guy Gallery, New York
本展では、ともに日本未発表の「Time Machine」（2011）と「Crystal World（after J・G・Ballard）」（2006）を京都芸術センターの空間に合わせて新たなインスタレーション作品として提示する。「Time Machine」はH.G.ウェルズの『タイムマシン』を題材に、キツネのような生物が彼が訪れたはるか遠い未来の世界について独白する映像インスタレーション。また、「Crystal World（after J・G・Ballard）」は同期されていないふたつのスクリーンで構成された作品で、リナ・ボ・バルディがサンパウロ郊外に自邸として建てた「ガラスの家」（1951）や、オスカー・ニーマイヤー率いる建築家チームが設計した、サンパウロのシッシロ・マタラッツォ・パヴィリオン（1957）が、熱帯のジャングルの奥深くにたたずむ、緩慢に結晶化してゆく近代的なホテルに置き換えられていく。本展に際し、再び京都を訪れたリスレゴーは約一カ月の滞在を通じて、普段展示に使用されているギャラリーではなく、談話室や倉庫といったより生活空間に近い場所での新たな提示の仕方を模索している。会期中には、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015でアーティスティックディレクターを務めた河本信治との対談を予定している。
関連企画
トーク｜アン・リスレゴー x 河本信治
2015年11月15日（日）13:00-15:00
会場：京都芸術センター 講堂
※無料、事前申込不要
Ann Lislegaard, Crystal World (after J.G. Ballard), 2006. Double-channel 3D animation. Installation view, 27th Bienal de Sao Paulo, 2006. Photo courtesy of the artist and Murray Guy Gallery, New York