鴻池朋子展『皮と針と糸と』 @ 新潟県立万代島美術館


鴻池朋子「皮緞帳」(部分)2015-16年 ©Tomoko Konoike 撮影:宮島径

鴻池朋子展『皮と針と糸と』
2016年12月17日(土) – 2017年2月12日(日)
新潟県立万代島美術館
http://banbi.pref.niigata.lg.jp/
開館時間:10:00-18:00 入館は閉館30分前まで
休館日:12/19、12/28-1/3、1/16、1/30

企画:坂本里英子(セゾン現代美術館学芸員)

新潟県立万代島美術館では、人間の思索のみに閉じるアートに強い意識改革を求め、芸術の始まりに立ち戻って人間がものをつくることへの問い直しを試みてきた鴻池朋子の個展『根源的暴力』のVol.3として『皮と針と糸と』を開催する。

鴻池朋子は1960年秋田県生まれ。1985年東京藝術大学日本画専攻卒業後、おもちゃのデザインを経て、1988年より様々なメディアを用いて、現代の神話を壮大なインスタレーションで表現している。2011年の東日本大震災以降、人間と自然の関係性において深く悩み、それまでの制作を一旦中止し、動物−人間学、おとぎ話、考古学、人類学、民俗学などの分野の研究者と対談とコラボレーションを重ねる。2015年の『根源的暴力』展では、皮や粘土などの素材を用いた作品を発表し、人間の思索や現象のみに閉じてしまっているアートに強い意識改革を求め、芸術の始まりに立ち戻って、人間がものをつくることへの問い直しを試みた。現在は、アートが人間のためだけのものではなく、動物や自然や人間以外のものに向かっても開かれていくように考察を続け、作品を発表している。

本展では24メートルに及ぶ「皮緞帳」をはじめ、鴻池作品に多く見られる”縫う”という行為に焦点を当てる。ホモ・サピエンスが5万年前に針という道具を発明し、防寒服をつくり世界中へ旅立ってから今日まで続く裁縫は、私たちの手の中に手芸として息づき、一方、美術からは劣るものとして周縁に押しやられてきた日常の手仕事だ。しかしそこには、私たちの体内に封印されてきた痛みや喜びが豊かに縫い繕われ、新たな声となり外界へと解き放たれる力が潜んでいる。「人間がものをつくり生きていくということは、自然に背く行為であり根源的な暴力です」と、鴻池は再帰的な矛盾を投げかけ私たちを挑発する。


Left : 鴻池朋子「着物 鳥」2015年 © Tomoko Konoike
Right : 鴻池朋子「素焼粘土」2015年 © Tomoko Konoike 撮影:宮島径

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日時:2017年1月21日(土)14:00-
要観覧券、着席は先着50名、要申込

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鴻池朋子「planet #1 first words」2013年 ©Tomoko Konoike

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