「鄭東新区龍湖地区副CBD都市計画」水上慶典広場
磯崎新 都市ソラリス
2013年12月14日(土)-2014年3月2日(日)
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]ギャラリーA
http://www.ntticc.or.jp/
開館時間:11:00-18:00(最終入館は閉館30分前)
休館日:月(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始(12/28-1/3)、2/9(保守点検日)
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]では、同館オープニング企画展「海市——もうひとつのユートピア」(1997)を監修した磯崎新を再び迎えて、これまでの都市デザイン、アーキテクチャ論を超える新たな都市像を考える場として『磯崎新 都市ソラリス』を開催する。
磯崎は1931年大分生まれ。東京大学工学部建築学科を卒業後、丹下健三に師事し、同大学院博士課程を修了する。63年に磯崎新アトリエを設立すると、以来、世界各地で建築展や美術展を開催し、また数多くのコンペの審査委員、シンポジウムの議長などを務めるなど、国際的に活躍する建築家として知られている。近年は、中国の鄭州市鄭東新区都市計画、可動式コンサート・ホールARK NOVAなどに取り組み、今年は過去50年間に執筆してきた文章を編集した『磯崎新建築論集』(岩波書店)を刊行している。
本展は、60年代から現在に至るまで磯崎が手がけてきた都市計画プロジェクト(「空中都市」「孵化過程」「日本万国博覧会 お祭り広場」「コンピューター・エイデッド・シティ」「パラディアム」「海市計画」「海市——もうひとつのユートピア」ほか)の変遷をたどるとともに、現在進行中の最新プロジェクト「鄭東新区龍湖地区副CBD」の1/200模型とその模型を舞台としたインスタレーションを展示する。また、鄭東新区を舞台に状況や情報をもとに都市のモデルを考えるワークショップを行う。会期中にも、建築家やアーティストらの提案や介入、ワークショップやディスカッションなどを通じて、高度情報化時代における都市像を模索しつつ、動的な「都市形成装置」としての都市を試みる。
「ギャラクシー(スケッチ)」
「都市ソラリス」展について 磯崎新
わが宇宙船地球号は、その表層をうずめる都市環境に狂いが生じて、航行不能に陥りつつあります。新しい操縦マニュアルを必要としています。
20年昔、グローバリゼーションの大津波がおそい、全球が領土化(テリトリアリゼーション)され、都市化したためです。津波通過の跡には澱(おり)がたまり、これが触媒となり、あらたに〈しま〉が出現するだろうと予測され、かつて大航海の果てに発見されたといわれる「ユートピア」(トーマス・モア、1516)を手がかりに、「海市——もうひとつのユートピア」展(ICCオープニング企画展、1997)が立ち上げられ、プロトタイプ、シグネチャーズ、ヴィジターズ、インターネットの〈しまじま〉を生成させてみましたが、蜃気楼のごとくに消え去り、蘇東坡の詩『登州海市』にちなんで「海市」と呼ばれました。
〈しま〉に収容される住民は「海市」の作業のなかでは「リヴァイアサン」(トーマス・ホッブズ)に統治される〈ビオス〉(ミシェル・フーコー)として扱われていました。しかしモナドとしての〈ビオス〉には、「意識」、そして「知」がそなわっています。そこで地表の都市は、渾沌(『荘子』応帝王篇)=カオス(複雑系)状態をみせるのです。
〈しまじま〉がギャラクシーに成長しつつある現在、『惑星ソラリス』(スタニスワフ・レム原作、アンドレイ・タルコフスキー監督、1972)を参照しながら、集合知、免疫性(イムニタス)などを都市論として討議する場をつくりだしたいと考えます。今回もそのあげくに展覧会の正式呼称がきまるでしょう。
(プレスリリースより)
なお、会期中に開催されるトークセッション、ディスカッション、公開制作、ワークショップ、パフォーマンスの最新情報は同館ホームページに掲載。