ミン・ウォン展 私のなかの私 @ 資生堂ギャラリー


Me in Me (2013) Multi-Channel Video Installation. Courtesy of the artist

ミン・ウォン展 私のなかの私
2013年7月6日(土)-9月22日(日)
資生堂ギャラリー
http://group.shiseido.co.jp/gallery/
開廊時間:11:00-19:00(日曜、祝日は18時まで)
休廊日:月曜日(8/12-16は夏期休業)

資生堂ギャラリーでは、世界各国の映画を再解釈した映像作品で知られるミン・ウォンの個展『ミン・ウォン展 私のなかの私』を開催する。日本映画や日本の伝統芸能に着想を得たミン・ウォンが、かねてより望んでいた日本での滞在制作を経て、完成した新作の映像インスタレーション「私のなかの私」を発表する。

ミン・ウォンは1971年にシンガポールに生まれ。現在はベルリンを拠点に活動を続けている。世界各国の傑作映画に、リメイクという手法を通じて自ら入り込み、脚本、演出技法などに独自の解釈を加えることで、オリジナルとの差異を際立たせ、人種的、文化的アイデンティティ、ジェンダー、言語、ナショナリティなどを扱った映像作品を制作する。2009年の第53回ヴェネツィア・ビエンナーレのシンガポール館で個展を開催、審査員特別表彰を受賞する。同展示は新たな展示デザインや展示物を加えて、シンガポール美術館で再現された後、シアトルやタスマニアなど世界各地を巡回し、2011年には原美術館で個展『ミン ウォン:ライフ オブ イミテーション』が開催された。ヴェネツィア・ビエンナーレ以後も、シドニー、光州、シンガポール、リバプールなど、多数の国際展で作品を発表している。また、日本国内では2011年から12年にかけて、東京都現代美術館で行われた『ゼロ年代のベルリン わたしたちに許された特別な場所の現在(いま)』に、ピエル・パオロ・パゾリーニの『テオレマ』(1968年)の主要な登場人物をすべてひとりで演じた「明日、発ちます」(2010年)を発表している。

本展では、「西洋の映画は写真の延長に存在し、日本の映画は歌舞伎や能といった伝統芸能の延長にある」と指摘するミン・ウォンが、日本映画を「時代劇」「現代劇」「アニメ」の3つのジャンルへと分類することに試み、その3つの映画世界をそれぞれに特有の演技、映画的撮影スタイル、物語設定で、日本映画の典型として表現する。歌舞伎舞踊、小津、成瀬映画、新世紀エヴァンゲリオン、メトロポリス、攻殻機動隊などが参照された場面におけるすべての登場人物をミン・ウォンが演じることで、慣れない日本語による台詞の発音、言い回しのぎこちなさや、身体的特徴による性差、世代、言語、人種などの個人に備わる要素が否応無く浮かび上がる。また、同作品は今秋開催されるリヨン・ビエンナーレへの出品も決定している。

会期初日の7月6日には、ミン・ウォン本人と本展共同キュレーターのタン・フークェンのギャラリートークが予定されている。タン・フークェンは上述した原美術館での個展でも、ゲストキュレーターとして参加している。なお、本展のもうひとりの共同キュレーターを務めたのは資生堂ギャラリー学芸員の井關悠。

ギャラリートーク
ミン・ウォン、タン・フークェン(共同キュレーター)
2013年7月6日(土)14:00-16:00
会場:ワード資生堂(東京銀座資生堂ビル9階)
定員:60名(無料)※要申込 既に申込は締切
http://group.shiseido.co.jp/gallery/exhibition/event/index.html

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