アサクサエンターテイメンツ @ アサクサ


アサクサエンターテイメンツ
2018年2月18日(日)-3月4日(日)
アサクサ
http://www.asakusa-o.com/
開廊時間: 18:00-21:00(土曜、日曜は13:00-20:00)
会期中無休
入場料:500円(会期中複数回使用可・上映中出入り自由)

アサクサでは、SFや新興宗教からジャーナリズムまで、大衆に向けて発信された「文化」という近代政治における統治術の功罪を問う映像上映プログラム『アサクサエンターテイメンツ』を開催する。

本展は、大衆文化を地政学の視点から批評的に考察すべく、2015年の開廊以来、展覧会や上映会で関わってきたアーティストを含む全9人/組の作品で構成したA、B、Cの3つのプログラムを上映。Aプログラムで上映するイム・フンスンの「北漢山」(2015)は、韓国で歌手になった北朝鮮出身の女性が、北朝鮮の思い出や韓国での困難を語りながら、もうひとりの女性とともにソウルの北漢山を登る映像作品。コラクリット・アルナーノンチャイは、先のロッテルダム国際映画祭で世界初公開したばかりの「おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く4」(2017)を出品。昨夏に開催された『サン・シャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現代まで』の出品作品に続き、本作もまたドローンを使いながら、バンコクの現代社会を見つめた現代の神話を語る映像作品。文化人類学者としても知られる映像作家トリン・T・ミンハは、1995年にHi-8で撮影した素材と、2012年にHDビデオカメラとSDビデオカメラで撮影した素材で構成されたフィルム・エッセイ「忘却のベトナム」を出品。ベトナム戦争終結から40年の月日が流れた2015年に制作された本作は、ベトナムの神話や、戦争時にその土地を離れた者、その土地に留まった者に遺されたものについて映像を通じて問い直す。アントン・ヴィドクルの「全人類に不死と復活を!」(2017)は、昨年末にアサクサで開かれた個展『ロシア宇宙主義:三部作』でも紹介された映像作品で、コスミズムの中心的な考えである「復活」の場として博物館を扱う。


コラクリット・アルナーノンチャイ「おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く4」2017年 画像協力:カルロス/イシカワ(ロンドン)


ミン・ウォン「世界の窓(パート4)」2018年

Bプログラムでは、資生堂ギャラリーや原美術館での個展など日本での展示機会も多いミン・ウォンの最新作「世界の窓(パート4)」(2018)を上映。そのほか、ヒト・シュタイエルが、自身の10代からの親友で、後にクルド独立のために戦い英雄として命を落としたドイツ人アクティヴィスト、アンドレア・ヴォルフの肖像を起点に、ポスト革命期におけるイメージの役割を考察した映像作品「ノーベンバー」(2004)、佐藤満夫山岡強一が浅草ちかくの日雇労働者エリア(ドヤ街)山谷を撮影し、搾取に抵抗する労働者を描いた映画「山谷-やられたらやりかえせ」(1985)を上映する。1980年代の山谷における支配構造を暴き出した後者は、制作過程に佐藤が、その後、山岡が命を失うこととなった。


ヨシュア・オコン「ミアスマ(汚染)」2017年

会場1階のモニター上映となるCプログラムでは、ヨシュア・オコンの最新作「ミアスマ(汚染)」(2017)と、ミヌク・イムの「国境を越え呼びかける周波数」(2011)を紹介。ヨシュア・オコンの「ミアスマ(汚染)」は、メキシコ人ジャーナリスト、マヌエル・ブエンディアが1984年に出版した『La CIA en México』を起点に、諜報や秘密情報活動を扱いながら、目に見えるものと見えている表面の裏に存在するものを考察した映像作品。ミヌク・イムの「国境を越え呼びかける周波数」は、失われつつある場所や拠り所から追放された人々に伝達する、一種の波長としての歌が生まれ、拡がりはじめるプロジェクトを記録した映像作品。

本展に際し、フーコーの統治論(講演録「批判とは何か?」)の一部抜粋訳、各上映作品の解説および、アサクサによる「統治されないための「芸術」」を収録した小冊子を販売。また、3月初旬には、Aプログラムの出品作家、アントン・ヴィドクルが新作撮影にあわせて来日し、テルミン奏者竹内正美を招いて、作品上映、演奏会および対談の開催を予定している(詳細は公式ウェブサイトに掲載予定)。

上映スケジュール
Aプログラム
月、水、2/23(金)|18:00-21:00
土、日|13:00-16:00
イム・フンスン「北漢山」2015年
コラクリット・アルナーノンチャイ「おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く4」2017年
トリン・T・ミンハ「忘却のベトナム」2015年
アントン・ヴィドクル「全人類に不死と復活を!」2017年


イム・フンスン「北漢山」2015年


トリン・T・ミンハ「忘却のベトナム」2015年


アントン・ヴィドクル「全人類に不死と復活を!」2017年

Bプログラム
火、木、3/2(金)|18:00-21:00
土、日|17:00-20:00
ミン・ウォン「世界の窓(パート4)」2018年
ヒト・シュタイエル「ノーベンバー」2004年
佐藤満夫 / 山岡強一「山谷-やられたらやりかえせ」1985年


ヒト・シュタイエル「ノーベンバー」2004年


佐藤満夫 / 山岡強一「山谷-やられたらやりかえせ」1985年 協力:「山谷」制作上映委員会

Cプログラム
会期中常時モニター上映
ヨシュア・オコン「ミアスマ(汚染)」2017年
ミヌク・イム「国境を越え呼びかける周波数」2011年


ミヌク・イム「国境を越え呼びかける周波数」2011年

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