アピチャッポン・ウィーラセタクン『FIREWORKS (ARCHIVES)』@ SCAI THE BATHHOUSE


Fireworks (Archives) (2014) © Apichatpong Weerasethakul

アピチャッポン・ウィーラセタクン『FIREWORKS (ARCHIVES)』
2014年9月11日(木)-10月4日(土)
SCAI THE BATHHOUSE
http://www.scaithebathhouse.com/
開廊時間:12:00-18:00
休廊日:日、月、祝
※オープニング・レセプション:9月11日(木)18:00-20:00
19:00より、アピチャッポン・ウィーラセタクンがスカイプで参加するスカイプ・トークを開催。(詳細は最下部を参照)

タイのイーサーン(東北地方)に伝わる迷信、民話や伝説に基づく物語などに、個人的な記憶や時事問題への言及を織り込んだ映像作品で、映画監督としてもアーティストとしても国際的に高い評価を受けるアピチャッポン・ウィーラセタクンの個展『FIREWORKS (ARCHIVES)』が、スカイ・ザ・バスハウスで開催される。

アピチャッポン・ウィーラセタクンは1970年バンコク生まれ。チェンマイを拠点に制作活動を行なう。映画製作と並行して、98年以来、映像インスタレーションを中心とした発表を続けており、代表作として知られる「Primitive」は2009年から2010年にかけて、ハウス・デア・クンスト、パリ市立美術館、ニュー・ミュージアム(ニューヨーク)を巡回した(同作品はヨコハマトリエンナーレ2011にも出品された)。2010年には第1回アジア・アート・アワードを受賞し、2012年にはドクメンタ13に参加、翌2013年にはシャルジャ・ビエンナーレにチャイ・シリとの共同作品を出品し、最高賞である金賞を受賞している。日本国内でも広島市現代美術館や東京都現代美術館などの企画展に参加、昨年は第24回福岡アジア文化賞を受賞した。また、今年6月には、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAの開館5周年を記念した展覧会として、個展『PHOTOPHOBIA』を開催している。


Above: The Vapor of Melancholy (2014) © Apichatpong Weerasethakul.
Below: Primates Memories (2014) © Apichatpong Weerasethakul.

本展の中心となるのは、花火の断続的な音と光を通して、自他の境を越えた記憶の不確かな領域を照らし出すプロジェクト「Fireworks」。先の『PHOTOPHOBIA』にも出品された同プロジェクトは、これまでの作品同様、出身地のタイ東北地方の歴史、伝承や記録を参照にしながら、光と記憶の関わりを焦点としており、脳の特定の細胞群に光をあてることで特定の記憶を呼び起こすことに成功した近年の実験結果にも言及している。ここで見られる個人と共同体の記憶、夢や眠りといった主題は、制作中の映画『王の墓[Cemetery of King]』へも引き継がれている。

本展タイトルと同名の「Fireworks (Archives)」(2014)は、ラオスとの国境沿いのノンカイにあるサラ・ケオクー寺院の彫刻庭園で撮影され、信者による労働奉仕と寄付により建立した彫刻庭園に配されたヒンズー教と仏教を融合した数々の動物像が、人々の喧騒と容器な祝祭を暗示する花火の光で照らし出されている。

「Fireworks (Archives)」は、私が生まれ育ったタイ東北地方の寺院にある石像彫刻の記録であり、花火による一瞬の照射を受けて幻覚を引き起こす記憶の装置です。バンコクから離れ政治的にも抑圧された東北という不毛な土地が、日常のリアリティーから飛躍した夢へと人々を駆り立てる。抑圧はかずかずの抵抗を生みましたが、ここに現れる気まぐれな彫刻たちもそうした抵抗のひとつなのです。暗闇に照り出される野獣の彫刻たちが役者の姿と混ざり合い、この土地の荒廃と開放とを謳っています。(アピチャッポン・ウィーラセタクン、本展プレスリリースより)

関連イベント
スカイプ・トーク
アピチャッポン・ウィーラセタクン(スカイプでの参加)
インタビュアー:石坂健治(東京国際映画祭「アジアの未来」プログラミングディレクター)
進行:吉岡憲彦(国際交流基金アジアセンター)
2014年9月11日(木)19:00-19:30(予定)

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