米田知子 暗なきところで逢えれば @ 姫路市立美術館


「道―サイパン島在留邦人玉砕があった崖に続く道」Scene シリーズより 2003年 Courtesy of ShugoArts

米田知子 暗なきところで逢えれば
2014年9月13日(土)-11月3日(月、祝)
姫路市立美術館
http://www.city.himeji.lg.jp/art/
開館時間:10:00-17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日は休館)

姫路市立美術館では、「記録」という写真の基本的な役割のひとつを基に、見えるものと見えないものの関係性を考察する作品で知られる米田知子の個展『米田知子 暗なきところで逢えれば』を開催する。

米田知子は1965年兵庫県明石市生まれ。89年にイリノイ大学シカゴ校芸術学部写真学科を卒業した後に渡英、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程を修了、現在はロンドンを拠点に活動を続けている。これまでに、第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ企画展をはじめとする数多くの展覧会に参加している。昨年は、あいちトリエンナーレ2013に参加、東日本大震災後のアートを意識した同展覧会内で、阪神淡路大震災直後に撮影した白黒写真、その10年後に神戸を撮影したカラー写真で撮影したシリーズ「震災から10年」を出品。また、東京都写真美術館で開催された個展『米田知子 暗なきところで逢えれば』の成果により、2013年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞している。

米田は、自然災害や戦争、政治体制の変化などの舞台となった場所を訪れて、客観的なアプローチにも関わらず、詩的な感性に満ちた写真を制作する。その写真は慎重に選びとられたキャプションとともに、観客をその細部へと誘い、イメージとテキストの関係性、そして、見えるものと見えないものの関係性を問いかける。近年はアジア、とりわけ、台湾や韓国など、日本の近代化に関わる地域を題材とした作品も増え、本展の構成もそのような関心を反映したものとなっている。会期中にはアーティスト・トークや黒川創との対談、サイン会のほか、学芸員による解説会、小学生を対象としたイベント『子どもギャラリーツアー「見えてくるもの」』が行なわれる。

先述した東京都写真美術館での展覧会の巡回展となる本展のタイトルは、ジョージ・オーウェルの『1984』の一節を引用したもの。米田が東京での展覧会の際に翻訳したオーウェルの一節「それは見えているのだが、見えていないということと同じかもしれない。 見えないということは見えているということに等しいかもしれない」には、米田の制作における問題意識を読み取ることができる。

なお、米田は現在開催中のメディアシティ・ソウル2014、第10回光州ビエンナーレにも参加している。

関連イベント
アーティスト・トーク
米田知子
2014年9月13日(土)11:00-
会場:姫路市立美術館 企画展示室
定員:20名
※ 10:30に展示室前にて整理券配布、要展覧会チケット

対談+サイン会
黒川創(作家)x 米田知子
2014年9月20日(土)14:00-(開場:13:30)
会場:姫路市立美術館 2階講堂
定員:100名(無料、先着順)
※ サインは同美術館で購入した本展図録に限る。

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