万代洋輔「Friday, September 9 – Friday, October 7, 2016」@ TARO NASU


「untitled (「コレクターBシリーズ」より)」 ©Yosuke Bandai Courtesy of TARO NASU

万代洋輔「Friday, September 9 – Friday, October 7, 2016」
2016年9月9日(金)-10月7日(金)
TARO NASU
http://www.taronasugallery.com/
開廊時間:10:00-18:00
休廊日:日、月、祝
※オープニグレセプション:9月9日(金)18:00-20:00

TARO NASUでは、「写真」の物質性や定義を再考する作品で知られる万代洋輔の個展「Friday, September 9 – Friday, October 7, 2016」を開催する。

万代洋輔は1980年東京生まれ。打ち捨てられたオブジェを積み上げた立体物を撮影した写真や、インターネット上のイメージを素材に使用した作品、スキャナーを撮影機材とした作品などを発表してきた。主な個展に『通行人間』(CAPSLE、2015)、『あばら骨しか信頼してないじゃないですか俺』(TARO NASU、2014)、グループ展に『囚われ脱獄、囚われ脱獄』(statement、2016)、『アダチデルタ』(アダチデルタ、2015)、Continuous Temporality Vol.2『Mortal』(gallery COEXIST-TOKYO、2015)、『SECRET PHANTOM II』(トーキョーワンダーサイト、2009)など。

本展では、日常生活の中で落ちているものを拾い集め、スキャナーに配置し彫刻作品として記録した新作〈コレクターB〉シリーズの写真作品と、実際に撮影された被写体を浮かべた水槽、収集した素材をもとに制作した写真にまつわる立体作品を中心に展示。そのほか、不法投棄されたゴミを集めて制作した彫刻を記録した写真作品〈蓋の穴〉シリーズや、近年継続的に発表している〈100枚のコミュニケーション〉シリーズから、母と子の出生にまつわる記憶についてのアンケートをもとにした新作の映像作品を出品する。


「untitled (「蓋の穴シリーズ」より)」 ©Yosuke Bandai Courtesy of TARO NASU

制作の考えの根底にあるのは、人間が今後、科学技術の進化や大量消費社会、それらを生み出した欲望とどう折り合いを付けていくのかということです。それに対する解答を示したり、倫理やモラルについて説くのではなく、精神と対象との関係を体現する事で作品が出来て行きます。
制作の方法で特徴としてあるのは、まず残滓が好きだという事。そして扱う素材の元にあった文脈を再構成して意味を削ぎ落としたり、イメージを宙吊りにしたり、出来事の主語を曖昧にしたりする事。その様にして出来る、鑑賞者からすれば余白の様な出来事と、それに対峙した時の鑑賞者の記憶との関係について考えています。

その関係を、個別の現象形態として認識し、ある、ないの間を漂っている事柄への問いを立てる為に体系化する試みでもあります。

それらは、神話の構造にみられる様な喪失と回復の物語として捉えられる側面もあります。

制作は、世界を把握する為の知的プロセスでもあり、作品は世界の縮図の様な側面もあると思います。

時間の表象を扱う事の重要性を感じています。時間は存在が現象する際の1つの形態です。これまでの作品では、時間の表象という視点からみれば、過去形「~した」という時間の断面を扱った作品がほとんどでした。そして展示会場のそこは現在です。コレクターBのシリーズは過去形「~した」を、蒐集物を博物館で観られる様な保存品の様に認識させる事で強調しようとしています。
テーマを掘り下げていく中で、保存されない作品をつくる必然性を感じました。保存されない作品、この事が時間の表象の中で未来形「~するであろう」という事を強調できると考えます。保存できないものとはつまり展示会場の現在において、例えば展示初日から最終日まで変化し続ける様なものの事でもあります。展示が終われば廃棄してしまいます。
しかし、時間は存在が現象する際の一形態にすぎません。時間を観る事ができて、さらに、他者の記憶と結びつく様な体験をつくろうと考えています。

2016年7月 万代洋輔
(本展プレスリリースより)

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