リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン) ソーシャリー・エンゲイジド・アートという潮流 @ アーツ千代田3331


ママリアン・ダイビング・リフレックス「子どもたちによるヘアカット」2006年 トロント(カナダ)他 All Images: 写真提供:CREATIVE TIME、 ICI

リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン)
ソーシャリー・エンゲイジド・アートという潮流

2014年11月15日(土)-11月28日(金)
アーツ千代田3331 B104室
http://www.3331.jp/
開場時間:12:00-19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

NPO法人アート&ソサイエティ研究センター:http://www.art-society.com/
展覧会詳細URL:http://www.art-society.com/project/laf.html

芸術文化と社会との関係性を考えるNPO法人アート&ソサイエティ研究センターは、2011年秋にニューヨークで開催された展覧会『リビング・アズ・フォーム』の巡回展(縮小版)として、『リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン) ソーシャリー・エンゲイジド・アートという潮流』をアーツ千代田3331で開催する。

1990年代以降、閉じられた美術の領域のみならず、人々の日常や既存の制度といった社会に影響を与えるため、集団による恊働や共同体(コミュニティ)の文脈を汲んだ形式の表現が数多く現れてきた。アメリカ合衆国を中心にソーシャリー・エンゲイジド・アートと呼ばれるそのような表現活動は、参加や対話のプロセスを含んだりしながら、都市計画や福祉、教育、コミュニティ活動や政治運動を、美術や演劇を結びつけ、分野横断的な試みを見せている。オリジナル展を企画したNPO「クリエイティブ・タイム(Creative Time)」はニューヨーク市を拠点に過去40年にわたって、社会と関わるアート活動を継続しており、1991年から2011年の20年間のソーシャリー・エンゲイジド・アートを考察する企画展『リビング・アズ・フォーム』(キュレーター:ナト・トンプソン)を開催、クレア・ビショップらの論考を収録した同名の書籍をMIT出版より刊行している。

日本においても、2000年以降、地域の再生や活性化を目的とした「アートプロジェクト」が数多く実施されているにもかかわらず、その言葉の定義は曖昧で、アーティストの社会的役割やアートワークとしての意味や価値についての深い議論もなされないまま、地域の絆づくりやツーリズム促進のツールとなっている事例が見られる。本展は、そのような現状に対して、世界各地で実践されているソーシャリー・エンゲイジド・アートの紹介を通して、日本のアートプロジェクトをめぐる議論を活発化し、改めてその社会的意味や方法論を考えるきっかけになることを意図している。


: ヴォッヘンクラウズール「ホームレスのための医療バン」1993年- ウィーン(オーストリア)
: アローラ&カルザディラ「チョーク」1998-2006年

本展では、オリジナル展で紹介されたプロジェクトの中から、国民皆保険からこぼれ落ちるホームレスに医療を無料で提供するヴォッヘンクラウズールによる「ホームレスのための医療バン」(1993-)やアパルショップによる囚人とその家族のためのラジオ番組を中心とする対話プロジェクト「千の凧」(1998-)といった継続的に行なわれているプロジェクトから、ニュー・ジャンル・パブリックアートを提唱したスザンヌ・レイシーが屋上駐車場に結集した100台の車の中で200人の公立高校の生徒が議論を行なう「ルーフ・イズ・オン・ファイア」(1994)やドクメンタ12の開催地カッセルへと1001人の中国人を連れていく計画であるアイ・ウェイウェイ「フェアリーテイル:1001人の中国人訪問者」など、11人/組のアーティストによるプロジェクトを、映像を中心にパネル、写真、ポスターなどで展示する。

関連企画として、「日本におけるソーシャリー・エンゲイジド・アートとは?」というテーマのもと、地域や社会の具体的な課題に取り組むアート・プロジェクトの公募(実現の可能性は不問)を行ない、応募計画を次々に発表するプレゼンテーション・マラソンとそれを総評するトークイベントを2015年3月に開催する予定。

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