恩地孝四郎展 @ 東京国立近代美術館


「抒情『あかるい時』」1915年、木版・紙、東京国立近代美術館

恩地孝四郎展
2016年1月13日(水)-2月28日(日)
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00-17:00(金曜は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月

展覧会ウェブサイト:http://www.momat.go.jp/am/exhibition/onchikoshiro/

東京国立近代美術館では、日本における抽象美術の先駆者であり、木版画近代化の立役者として知られる恩地孝四郎を、現代を先取りするような領域横断的な活動を展開したマルチクリエイターとして捉えた過去最大規模の回顧展『恩地孝四郎展』を開催する。

本展では、日本で最初の抽象表現とされる「抒情『あかるい時』」(1915)をはじめとする木版画を中心に、油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、資料など、大正期から昭和の戦後期にかけて 前人未踏の足跡を残した恩地の多彩な世界を、時系列に3章仕立てで紹介する。

恩地孝四郎は1891年に東京の裕福な役人の家に生まれる。1909年、父親の勧めで医者を目指し、第一高等学校を受験するも失敗。同年、竹久夢二との出会いをきっかけに表現者を志す。東京美術学校に進学した恩地は、田中恭吉、藤森静雄とともに1915年に同人誌『月映』を創刊。『月映』は田中の夭折や資金繰りの問題で早々と終刊になるも、恩地の画風に大きな変化をもたらした。恩地は、さまざまなメディアに関心を持ち、表現の幅を広げつつも、色面の摺り重ねという版画ならではの表現方法を自覚、版画の複製可能性という特質を再確認しながら、会員制の版画頒布や版画誌の編集、テキストとイメージとデザインを総合した「出版創作」などの試みによって、版画の社会的認知度の向上に努める。終戦後は、GHQ関係者らが恩地の「創作版画」や新作(抽象版画)を高く評価するとともに、絵画や彫刻と並んで、版画を発表する場が次々に創設されることで、抽象表現の探究に没頭していくこととなった。

戦後、重要作の多くが国外へと渡っていった恩地作品だが、ここ20年間の国内における評価の高まりとともに、海外コレクターが手放した重要作を、日本の個人コレクターやギャラリーが買い戻す動きが活発となっている。また、本展には大英博物館、シカゴ美術館、ボストン美術館、ホノルル美術館の4館から、現存作が1点しか確認されていない作品や摺りが最良の作品など、恩地の重要作62点も出品される。過去最大規模の回顧展となる本企画は、東京国立近代美術館での会期終了後、和歌山県立近代美術館に巡回する(2016年4月29日-6月12日)。


「春の譜」1944年、木版・紙、東京国立近代美術館

関連企画
講演会
講師:桑原規子(聖徳大学文学部教授)
2016年1月30日(土)14:00-15:30(開場:13:30)
会場:東京国立近代美術館 講堂(地下1階)
定員:140名(先着順)
※無料、申込不要、要観覧券

講師:山口啓介(現代作家)
聞き手:松本透(東京国立近代美術館副館長・本展企画者)
2016年2月14日(日)14:00-15:30(開場:13:30)
会場:東京国立近代美術館 講堂(地下1階)
定員:140名(先着順)
※無料、申込不要、要観覧券


Left:「オバタマムシ(『博物志』)」1938-42年頃、ゼラチン・シルバー・プリント、東京国立近代美術館. Right:「リリック No.21 かげのある心情」1952年、紙版・紙、ドゥファミリィ美術館

同時期開催
「MOMATコレクション 特集:ちょっと建築目線でみた美術、編年体」
2015年12月22日(火)-2016年2月28日(日)
東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー
休館日:月(1/11は開館)、12/28-1/1、1/12

「ようこそ日本へ:1920‐30年代のツーリズムとデザイン」
2016年1月9日(土)-2月28日(日)
東京国立近代美術館 ギャラリー4
休館日:月(1/11は開館)、1/12

恩地孝四郎展
2016年4月29日(金)-6月12日(日)
和歌山県立近代美術館
http://www.momaw.jp

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