若林奮 飛葉と振動 @ 府中市美術館


若林奮「地下のデイジー」2002年,府中市美術館蔵,鉄 ※府中市美術館特別出品

若林奮 飛葉と振動
2016年1月9日(土)-2月28日(日)
府中市美術館
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
開館時間:10:00-17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/11は開館)、1/12、2/12

府中市美術館では、40年以上にわたり彫刻の可能性を探究し続けた戦後日本を代表する彫刻家、若林奮の制作を振り返るとともに、これまで十分に紹介されてこなかった「庭」をめぐる制作に光をあてた企画展『若林奮 飛葉と振動』を開催する。

幼少期に戦争を体験した若林奮(1936年東京生まれ)は、終戦後、55年に東京藝術大学に入学し、彫刻を学ぶ。60年代初頭に、鉄を直接刻み、溶接した作品で脚光を浴びると、現代日本彫刻展で数々の賞を受賞する。80年代には、二度のヴェネツィア・ビエンナーレ日本館での展示や、東京、京都の国立近代美術館での個展開催。以降も国内外の美術館で作品の発表を続け、2002年には自身の制作における重要な概念「振動尺」の再考、展開を試みた「水没」シリーズを含む本格的な回顧展『若林奮展』を豊田市美術館で開催。翌2003年に逝去した。生前は制作活動のほか、武蔵野美術大学や多摩美術大学教授を歴任し、後続世代にも多大な影響を残している。「鉄の彫刻家」として知られながらも、木、石膏、鉛、銅、硫黄など多様な素材を扱い、「彫刻をつくること」を根幹に、ドローイング、版画、小さなオブジェ、本なども数多く手掛けた。そこには、外部にある環境世界—大気、水、植物、光、時間といった非彫刻的なものを彫刻に取り組もうとする若林の思想があらわれている。

若林自身が空間を満たすエレメントを指して選んだ言葉、「飛葉」と「振動」を展覧会名とする本展では、「軽井沢・高輪美術館の庭」、「神慈秀明会神苑の庭」、「緑の森の一角獣座」といった「庭」をめぐる作品に関する模型、ドローイング、関連作品を展示。さらには、本展のために特別に新規撮影した現在の「庭」を写真パネルや動画で紹介する。また、国内5館を巡回する本企画の府中会場特別出品として、府中市美術館前庭に恒久設置されている「地下のデイジー」に関するドローイング37点、鉄製の大型作品「Daisy IV」シリーズのほか、初期の傑作として知られる「雨—労働の残念」の特別展示を行なう。町田で生まれ育ち、60年代末から小金井市に住居とアトリエを、また青梅や御岳に大規模なスタジオをつくるなど、晩年まで生活と制作の基盤を多摩・武蔵野に置いた若林の自らの立つ土地に注いだ思索をたどる展示内容となる。


若林奮「多くの川を渡り 再び森の中へ(部分)」1986年,MIHO MUSEUM,鉛筆,紙,キャンバス

関連企画
ラウンド・トーク1
若林奮とアーカイブ—ドローイング調査の成果とこれから
小泉俊己(彫刻家、多摩美術大学教授)
渡部葉子(慶應義塾大学アート・センター教授/キュレーター)
2016年1月31日(日)14:00-
会場:府中市美術館 講座室
無料、予約不要

ラウンド・トーク2
私たちが若林さんから受け取ったこと
袴田京太朗(彫刻家、武蔵野美術大学教授)
千葉正也(画家)
諏訪未知(画家)
森啓輔(ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員)
2016年2月13日(土)14:00-
会場:府中市美術館 講座室
無料、予約不要

講座
《地下のデイジー》の階段を降りる—ドローイングから見えてくるもの
神山亮子(府中市美術館学芸員)
2016年1月16日(土)14:00-
会場:府中市美術館 講座室
無料、予約不要


若林奮「緑の森の一角獣座-カッパー・ペインティングC」(名古屋市美術館の展示風景)1996年,WAKABAYASHI STUDIO蔵,ウレタン,エポキシ塗料,銅板,撮影:山本糾

同時期開催
公開制作66 高山陽介
2015年11月21日(土)2016年-2月28日(日)
府中市美術館1階公開制作室


高山陽介「無題(大またに歩くひとーヴィーナス)」2014年

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