デザイン:山田拓矢
武蔵野美術大学が運営するギャラリーαMは、2018年度のαMプロジェクトのゲストキュレーターとして、東京国立近代美術館企画課長の蔵屋美香を招聘すると発表した。「絵と、 」というテーマのもと、五月女哲平、藤城嘘、村瀬恭子、千葉正也、中村一美の5人のペインターの個展を通じて、絵画が現実に関わるよりよい方法とはなにかという問いに正面から向き合う。
蔵屋美香は女子美術大学芸術学部絵画科、千葉大学大学院を経て、1992年に東京国立近代美術館に勤務。現在は同館企画課長を務める。これまでに企画した主な展覧会に、『ヴィデオを待ちながらー映像、60年代から今日へ』(2009)、『ぬぐ絵画―日本のヌード 1880-1945』(2011-12年、第24回倫雅美術奨励賞)、『泥とジェリー』(2014)、『高松次郎ミステリーズ』(2014-15、保坂健二朗、桝田倫広と共同キュレーション)、『没後40年 熊谷守一 生きるよろこび』(2017-18)[※ここまですべて東京国立近代美術館]。2013年には、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展日本館のキュレーターを務め、田中功起の個展『抽象的に話すことー不確かなものの共有とコレクティブ・アクト』を企画、特別表彰を受賞した。そのほか、主な論考に「麗子はどこにいる?ー岸田劉生 1914-1918の肖像画」(『東京国立近代美術館 研究紀要』第14号、2010)、「寝る人・立つ人・もたれる人—萬鉄五郎の人体表現」(『東京国立近代美術館 研究紀要』第13号所収、2009)、「絵画の下半身:1890−1945年の裸体画問題」(『美術研究』第392号所収、2007)、「壁画とタブローー1900-1940年代」(『講座日本美術史6 美術を支えるもの』所収、2005)など。
武蔵野美術大学からの「絵画」を扱った連続企画という提案を受けた蔵屋は、3.11以後に絵画におけるムーヴメントの盛り上がりやメディウムとしての新しい可能性の困難を強く感じ、また一方で、関東大震災後の1920-40年代、戦後の1950-60年代に試みられた政治的主題を直截的に描くという方法が、しばしば物事を単純化し、プロパガンダ化する危険を伴うことを考慮した上で、「絵画が現実に関わるよりよい方法とは」という疑問を明るみに出し、真正面から扱うことを決意。問題を美術の枠内に収めないようにするために、「絵画」という一種の業界用語ではなく、あえて「絵」という言葉をタイトルに選び、五月女哲平、藤城嘘、村瀬恭子、千葉正也、中村一美という「絵と」現実を絵画ならではの方法で切り結ぶペインターの個展を企画する。
なお、ギャラリーαMでは現在、光田ゆり企画の『鏡と穴−彫刻と写真の界面 vol.7 野村在』を開催中(3月24日まで)。
ギャラリーαM:http://gallery-alpham.com/
αMプロジェクト2018『絵と、 』
蔵屋美香「絵と、 」
vol.1|五月女哲平
2018年4月7日(土)-6月2日(土)
vol.2|藤城嘘
2018年6月16日(土)-8月10日(土)
vol.3|村瀬恭子
2018年9月1日(土)-10月27日(土)
vol.4|千葉正也
2018年11月10日(土)-2019年1月12日(土)[冬期休廊12/23〜1/7]
vol.5|中村一美
2019年1月26日(土)-3月23日(土)