アントニ・タピエス死去(1923–2012)

2012年2月6日、20世紀の現代美術の最後の巨匠とも言われたアントニ・タピエスが生まれ故郷のバルセロナで死去した。享年88歳。死因は明らかにされていない。

タピエスは1923年バルセロナ生まれ。バルセロナ大学を中退し、1940年代から本格的に作品発表を開始。1950年に同市内で初めての個展を開催した後、パリに拠点を移して精力的に活動する。初期はジョアン・ミロやパウル・クレーに影響を受けシュルレアリスムの画家として活動していたが、ほどなくして抽象表現主義に転向しアルテポーヴェラの先駆者となる。1953年にはミクストメディアの作品の制作を開始し、これが後に大きく評価される。1960年代初期まではスペインのアンフォルメル派の美術家らと共に活動し、1970年代にはポップアートの影響を受けた作品を発表した。

1960年代には当時のフランコ独裁政権に対する抗議運動に参画、身柄を拘束されたこともある。1984年に現代美術の教育を目的としてバルセロナのアントニ・タピエス財団を創設。ヨーロッパを中心に世界中で活躍する中、1958年の大阪フェスティバルに参加して以来、日本でも個展がしばしば開催されている。1990年に日本美術協会から高松宮殿下記念世界文化賞を贈られ、1996年には丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、新潟市美術館、群馬県立近代美術館、キリンアートスペース原宿を巡回する回顧展が開かれた。また、2005年には原美術館で個展を開催している。

Copyrighted Image