第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展


Padiglione Centrale Giardini, Venezia 2010 Photo: Giorgio Zucchiatti Courtesy: la Biennale di Venezia

 

2016年5月28日より、第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展が開幕する。チリを拠点に活動する建築家アレハンドロ・アラヴェナをディレクターに迎え、「REPORTING FROM THE FRONT」というテーマのもと、さまざまな企画が展開する。

アレハンドロ・アラヴェナは、自身が掲げたテーマを説明する上で、紀行文学『パタゴニア』などで知られるブルース・チャトウィンが南アメリカの旅の途中で出会った、アルミ製のハシゴを肩にかけて砂漠を歩くナスカの地上絵の研究で知られるドイツ人考古学者、マリア・ライヒェの話を例にあげる。ナスカの地上絵を構成する石は、地上レベルではなんの意味も持たない、不揃いな石にすぎないが、ハシゴの上から眺めると、鳥やジャガー、木や花に見えてくる。アラヴェナは、建築が取り組むべきだと期待される問題の範囲を文化的、芸術的な側面だけでなく、社会的、政治的、経済的、環境的な側面にまで押し広げ、その多様な側面を統合して対応するよう求められているという現実を強調する。そして、ビエンナーレを通じて、ライヒェがナスカの地上絵をハシゴの上から眺めたように、建築が複雑で多様な課題に向き合う中で獲得した、新しい視点を幅広い観客と共有することを目指していく。

展覧会『REPORTING FROM THE FRONT』には、初参加の50名を含む88名が37の国/地域から参加。ヘルツォーク&ド・ムーロンエドゥアルド・ソウト・デ・モウラノーマン・フォスターレンゾ・ピアノレム・コールハースといった御馴染みの建築家のほか、アトリエ・ワン(塚本由晴、貝島桃代、玉井洋一)SANAA(妹島和世、西沢立衛)安藤忠雄隈研吾、そして、崔在銀と共同で参加する坂茂といった日本を拠点とする建築家、王澍[ワン・シュウ]スタジオ・ムンバイといったアジアを拠点とする建築家が参加。また、昨年、ターナー賞を受賞したコレクティブのアッセンブルやチリを拠点とする建築ユニットのペソ・フォン・エルリッヒスハウゼン。そのほか、エクアドルのアル・ボルデ、イランのVAVスタジオ、ポーランドのフゴン・コワルスキ+マルチン・シュチェチン、パラグアイのガビネット・デ・アルキテクトゥラを含む33名の40歳以下の建築家も参加する。

国別パビリオンには、新たに参加するイエメン、カザフスタン、セーシェル、ナイジェリア、フィリピンを含む64の国/地域が参加。日本館はキュレーターの山名善之が「en[縁]:アート・オブ・ネクサス」というテーマで展示。制作委員会に菱川勢一(クリエイティブディレクター)、内野正樹(編集者)、篠原雅武(哲学者)を迎え、mnm西田司+中川エリカ成瀬・猪熊建築設計事務所仲建築設計スタジオ能作アーキテクツmiCo.レビ設計室増田信吾+大垣克亘403architecture[dajiba]BUSドットアーキテクツが出展。tecoが会場デザインを担当する。また、シンガポール館の共同キュレーターとして、宮内智久も参加する。

そのほか、ステファノ・レカルカティが企画する『Reporting from Marghera and Other Waterfronts』(会場:Forte Marghera)、ヴィクトリア&アルバート博物館の協力のもと、ブレンダン・コルミールのキューレーションで応用芸術のパビリオン「A World of Fragile Parts」(会場:アルセナーレ内「Sale d’Armi」)、リッキー・バーデットのキュレーションによる「Report from Cities: Conflicts of an Urban Age」(会場:アルセナーレ内「Sale d’Armi」)といった特別展示をはじめ、さまざまなプログラムが行なわれる。

 

第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展
2016年5月28日(土)-11月27日(日)
http://www.labiennale.org/en/architecture/

 

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