石上純也 金獅子賞受賞 第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展

第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展
会期: 2010年8月29日(日) –11月21日(日)
会場: ジャルディーニ、アルセナーレ(ヴェネツィア)
http://www.labiennale.org/en/architecture/exhibition/

2010年8月29日より始まる第12回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展の授賞式が、一般公開に先立つ8月28日に行われた。企画展示部門の金獅子賞は石上純也が受賞。銀獅子賞はオフィス・ケルステン・ゲールス・ダヴィッド・ファン・セーヴェレン+バス・プリンセン、パビリオン賞にはバーレーン館、特別表彰にはスタジオムンバイ、アマチュアアーキテクチャースタジオ、ピエト・オウドルフの3者が選ばれた。

今回のビエンナーレのアーティスティックディレクターである妹島和世企画のテーマ展『People meet in architecture』への参加作家を対象とする「金獅子賞 最優秀作家賞」を獲得した石上のプロジェクト「Architecture as air: Study for château la coste」は、幅4メートル、高さ4メートル、奥行き13メートルほどの、透明感を追求した構造体。通常建築では使わないカーボンファイバーを素材とする。内覧会の開始から3時間で崩壊してしまったが、その後、高さ4メートルの柱だけを建てるアイデアに切り替え、現地で作業を行っている。日本人の同賞受賞は2004年のSANAA(妹島和世、西沢立衛)による「金沢21世紀美術館」以来。石上は受賞発表前、ART iTの取材に対し、「プレスオープン前に猫の侵入で壊れてから2日あまりで復元したものの、ファイバーが再使用だったこともあり、安定性にかけたのかもしれない。しかし最初から出来ると分かっているプロジェクトをやるのは面白くない」とコメントしていた。


石上純也建築設計事務所「Architecture as air: Study for château la coste」(2010)、アルセナーレ、写真 高木康広
junya.ishigami+associates – Architecture as air: Study for château la coste (2010), Corderie, Arsenale, photo by Yasuhiro Takagi

同展「銀獅子賞 期待される若手作家賞」受賞者、オフィス・ケルステン・ゲールス・ダヴィッド・ファン・セーヴェレン+バス・プリンセン(ベルギーとオランダ)のプロジェクトは「Garden Pavilion (7 rooms, 21 Perspectives)」という、アルセナーレの奥にある7つの小部屋を使った写真のインスタレーション。今まで使われていなかったジャルディーノ・デッレ・ヴェルギーニの7つの小部屋にバス・プリンセンによる彼らのコラージュに関連した写真をスティールプレートに貼り展示している。


オフィス・ケルステン・ゲールス・ダヴィッド・ファン・セーヴェレン+バス・プリンセン「Garden Pavilion (7 rooms, 21 Perspectives)」(2010)、アルセナーレ
OFFICE Kersten Geers David Van Severen + Bas Princen – Garden Pavilion (7 rooms, 21 Perspectives) (2010), Corderie, Arsenale

「金獅子賞 最優秀パビリオン賞」に選ばれたバーレーン館のテーマは『Reclaim』。衰退するバーレーン王国の海文化、つまり社会が変化するにつれ人々と海との関係が絶たれつつある現在を調査し分析している。展示されている3つの漁師小屋は建築ではあるものの、建築家が作ったものではない。これらを通して人々と海との関係が友好的でない現在のバーレーンを伝えている。


バーレーン館『Reclaim』、アルセナーレ
Kingdom of Bahrain Pavilion – Reclaim, Artiglierie, Arsenale

以上の主要な賞のほか、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館『1:1 – Architects Build Small Spaces Exhibition』にも出品中のスタジオムンバイアーキテクツ(インド)の「Work-Place」、アマチュアアーキテクチャースタジオ(中国)の「Decay of a Dome」、ピエト・オウドルフ(オランダ)の「Il Giardino delle Vergini」が金獅子賞審査員による特別表彰に選ばれた。40種類あまりの草花を植えたオウドルフの庭、「Il Giardino delle Vergini」はビエンナーレが始まる夏の終わりに最も見頃になるようにデザインされている。

また、「生涯の功績への金獅子賞」はレム・コールハース、「特別記念金獅子賞」は故・篠原一男が受賞した。

(文中敬称略)

『石上純也展 建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?』
会期: 2010年8月24日(火) – 10月17日(日)
会場: 資生堂ギャラリー
http://www.shiseido.co.jp/gallery/

ニュース
石上純也個展 資生堂ギャラリーで開催 (2010/08/23)

フォトレポート
石上純也展 @ 資生堂ギャラリー Part 1

石上純也展 @ 資生堂ギャラリー Part 2

『石上純也』
会期: 9月18日(土)–12月26日(日)
会場: 豊田市美術館
http://www.museum.toyota.aichi.jp/

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