記者会見(2)「ミン ウォン:ライフ オブ イミテーション」

東京・原美術館より

6月24日(金)に行なわれた記者会見リポートの続きです。ギャラリーIに移動し、キュレーターのタン フー クエンが解説しました。以下はその抜粋・要約です。


外観 *天井はオープニングレセプション時の特別ライトアップです。

タン フー クエン:
ギャラリーIでは主に、シンガポールと東南アジア映画の黄金時代を紹介しています。

[3本のドキュメンタリー映像について]
映像作家/映画監督のシャーマン オン氏に依頼して作ってもらいました。シンガポール最後の映画看板絵描きのネオ チョン テク氏、映画資料コレクターのウォン ハン ミン氏、と映画のチケット売りの女性を取材したものです(チケット売りのドキュメンタリーはエントランスに展示)。

[ポスター、映画資料展示について]
ドキュメンタリーに登場するウォン ハン ミン氏が個人で収集した膨大なコレクションの一部です。


シンガポール初期の映画館に関する資料。ミン氏が自らチケットの半券等をA4サイズの台紙に配置し、作品のように仕立てたものです。


シンガポール映画黄金時代(1950~60年代)の資料


(左)往年のマレー映画スター達 (右)中国系の映画スター達の資料


シンガポールで上映された日本映画の資料

シンガポール人映画資料コレクター、ウォン ハン ミン氏の来日決定。7/31(日)トークを行ないます。くわしくはこちらへ。

[看板絵について]
シンガポール最後の映画看板絵描きのネオ チョン テク氏に依頼して描いてもらった看板絵風の絵画ですが、ここでは単なる看板としてではなく、作品として紹介したいと考え、展示しています。


ネオ チョン テク(デザイン:ミン ウォン)「Life of Imitation」カンヴァスにアクリル 2009年

[シンガポール映画黄金期・1950~60年代について]
イギリス植民地、およびマレーシア連邦からの独立、日本軍による占領、共産勢力の拡大など、政治的激動の時代でした。様々な人種が共存するシンガポールでは、マレー系と中国系による人種間の衝突がありました。その中で映画は唯一、人種の分け隔てなく皆が楽しめるものでした。また、映画は制作の過程においても、多様な人種の協働により成り立っていました。中国系のビジネスマンが映画及び制作会社を立ち上げ、マレー系の人たちが監督、俳優、音楽家として参加し、インド系の人たちがインド本国からも監督や技術者として参画しました。

これは非常に良い例ですが、シンガポールで公開されたヒンドゥー語のインド映画ポスターに、英語、中国語、ジャウィー語(方言)と、タミル語が書かれています(*写真右から2番目下段、青と赤色のポスター2枚)。多くの人種が共存するシンガポールならではの現象ですね。たとえば私の祖父母の時代は、マレー語やヒンドゥー語がわからなかったとしても映画館に行って曲を歌ったりすることができたのです。人種間の対立があっても夜になると皆が映画館に行きました。映画館では、ある意味理想のコミュニティーが形成されていたと言えます。

記者会見(3)へ続きます。/ミン ウォン作品の迫力あるビデオインスタレーションは次の展示室、ギャラリーIIから。ぜひ実際に足を運んで頂き、展示をお楽しみ頂ければ幸いです。)
撮影:全て米倉裕貴

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「ミン ウォン:ライフ オブ イミテーション」
2011年6月25日[土]―8月28日[日]

「東日本大震災被災地復興支援『奈良美智×原美術館『My Drawing Room』チャリティ大判カードセット」販売中。

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ハラ ミュージアム アーク
「この世界には色がある―原美術館コレクション展」(現代美術ギャラリー)
7月2日[土]-9月11日[日]
「競・闘・争」(觀海庵)
前期 7月2日[土]-8月3日[水] 後期 8月5日[金]-9月11日[日]

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