アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦 @ 兵庫県立美術館

榎本和子《断面(Ⅰ)》1951年 板橋区立美術館蔵

 

アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦
2026年3⽉25⽇(水)-5⽉6⽇(水・振)
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
開館時間:10:00–18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、5/4は開館)
展覧会URL:https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2603/

 

兵庫県立美術館では、美術史家の中嶋泉によるジェンダー研究の観点を足がかりに、1950年代から60年代に主に抽象絵画で注目された女性美術家たちの創作活動を「アンチ・アクション」というキーワードから再考する特別展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を開催する。

戦後日本では、新しい時代の到来を告げるかのように、女性美術家が前衛美術の領域で一時期大きな注目を集めた。その背景には、欧米で隆盛した抽象芸術運動「アンフォルメル(非定形)」の流入と、それを受け止める批評言説の後押しがあった。伝統的な形式に依拠せず「未定形」を志向し、偶然性や素材の抵抗を重んじるこの動向は、1956年の「世界・今日の美術展」で紹介され、翌1957年には提唱者のフランス人批評家ミシェル・タピエが来日などを契機に、のちに「アンフォルメル旋風」と呼ばれるブームを形成する。タピエは福島秀子や田中敦子など、当時ほとんど無名だった女性作家を積極的に取り上げ、新潮流の担い手として位置づけて紹介した。

しかし熱狂は長く続かず、アンフォルメルが一過性の「旋風」に過ぎなかったという反省が語られるなか、アメリカで展開した抽象絵画をめぐって批評家のハロルド・ローゼンバーグが1952年に提唱した「アクション・ペインティング」という様式概念が導入されると、状況が変わっていく。絵を描く「行為(アクション)」を中核に据えるこの概念は、豪快さや力強さといった男性性と親密な価値観と結びつきやすく、男性批評家たちが強く反応した結果、女性の前衛美術家はわずか2、3年で批評の中心から外されていった。中原佑介や東野芳明ら、のちに戦後美術史の枠組みを形作る男性批評家の言葉が影響力を増すにつれ、伝統的なジェンダー秩序の揺り戻しが生じていった。

中嶋はこの過程を分析し、女性作家たちが「アクション」に対して抱いた対抗意識を捉える概念として「アンチ・アクション」を創案することで、ジェンダーの観点から戦後日本美術史に新たな視座をもたらした。

 

江見絹子《空間の祝祭》1963年 個人蔵
宮脇愛子《作品》1967年 撮影:中川周

 

本展は、中嶋の全面協力の下、草間彌生田中敦子福島秀子ら14名の作品およそ120点を通じて、各作家の独自の挑戦の軌跡と、その表現の差異や多様性を紹介し、ジェンダー研究の観点から日本の戦後美術史に新たな光を当てる。なかでも、兵庫県に在住していた吉原治良を中心に阪神間の若い作家たちが結成した前衛美術グループ「具体美術協会」に参加した白髪富士子田中敦子山崎つる子の作品を取り上げ、戦後前衛の潮流における女性作家の実践を改めて捉え直す機会となる。さらに、関係者の協力と綿密な調査により、赤穴桂子多田美波宮脇愛子らの、これまで紹介されていなかった初期作品や未発表作品も公開し、各作家の知られざる創作と新たな魅力を浮かび上がらせる。また、同時開催の「コレクション展Ⅱ 兵庫のベスト・オブ・ベスト」では、当時活動をともにした金山明、白髪一雄、嶋本昭三、村上三郎、元永定正の作品も紹介する。

 

赤穴桂子《スペースに於ける物体》1958年 個人蔵
田部光子《作品》1962年 福岡市美術館蔵

 

出品作家
赤穴桂子、芥川(間所)紗織、榎本和子、江見絹子、草間彌生、白髪富士子、多田美波、田中敦子、田中田鶴子、田部光子、福島秀子、宮脇愛子、毛利眞美、山崎つる子

 

関連イベント
特別上映会「草間彌生∞INFINITY」
2026年3月27日(金)10:30、14:00(入替制)
会場:兵庫県立美術館 KOBELCOミュージアムホール
定員:各回250人
料金:1,000円、「芸術の館友の会」会員 500円、「アンチ・アクション」展のチケット/半券提示 800円

記念講演会
2026年4月19日(日)14:00–15:30(開場:13:30–)
会場:兵庫県立美術館 KOBELCO ミュージアムホール
出演:中嶋泉(大阪大学大学院人文学研究科准教授、本展学術協力者)
定員:150名(先着順、要観覧券、芸術の館友の会優先座席あり)

KEN-Vi文化セミナー「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展関連企画
荻野アンナ氏講演会「母、江見絹子を語る」(仮題)

2026年4月26日(日)14:00–15:00(開場:13:30–)
会場:兵庫県立美術館 KOBELCOミュージアムホール
出演:荻野アンナ(作家、神奈川近代文学館館長、慶應義塾大学名誉教授)
定員:150名(先着順、要観覧券、芸術の館友の会優先座席あり)

発見10代語り場:「アートって何?!」
2026年4月29日(水・祝)10:30–12:00
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム、展示室
対象:中学生、高校生
定員:20名(要事前申込、詳細はウェブサイト参照)

Twilight on the Deck
「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展関連企画
「彼女たち、『具体』の場合」

2026年4月29日(水・祝)16:00–17:00
会場:兵庫県立美術館 山のデッキ(荒天時:レクチャールーム)
出演:山本淳夫(横尾忠則現代美術館館長補佐兼学芸課長)
定員:40名(先着順)

学芸員によるアフタヌーン・レクチャー
会期中毎週土曜 16:00–16:30
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:80名(先着順)

ミュージアム・ボランティアによる解説会
会期中毎週日曜 11:00–11:15
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:80名(先着順)

 


同時開催
コレクション展Ⅱ 兵庫のベスト・オブ・ベスト
2026年1月14日(水)-4月5日(日)
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_2601/

2026コレクション展Ⅰ
2026年4月28日(火)-9月23日(水・祝)

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