芥川(間所)紗織 《スフィンクス》1964年 東京国立近代美術館蔵
アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦
2025年12月16日(火)–2026年2月8日(日)
東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
https://www.momat.go.jp/
開館時間:10:00–17:00(金・土曜は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/12は開館)、年末年始(12/28–1/1)、1/13
展覧会担当:成相肇(東京国立近代美術館主任研究員)
展覧会URL:https://www.momat.go.jp/exhibitions/566
東京国立近代美術館では、美術史家の中嶋泉によるジェンダー研究の観点を足がかりに、1950年代から60年代に主に抽象絵画で注目された女性美術家たちの創作活動を「アンチ・アクション」というキーワードから再考する企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を開催する。
戦後、新しい時代を象徴するかのように日本では女性美術家が前衛美術の領域で大きな注目を集めた。その後押しとなったのは、海外から流入した抽象芸術運動「アンフォルメル」とそれに応じる批評言説。伝統的な形式に依らず「未定形」をめざす制作や、偶然性・素材の抵抗を重視するその運動は、日本では1956年の「世界・今日の美術展」で紹介され、翌年には運動の提唱者であるフランスの批評家ミシェル・タピエが来日するなど、のちに「アンフォルメル旋風」と呼ばれるブームを巻き起こした。タピエは福島秀子や田中敦子らほとんど無名だった女性美術家を積極的に取り上げ、彼女たちを新潮流の担い手として紹介した。
しかし、次いで、1952年にアメリカの批評家ハロルド・ローゼンバーグが、1940年代から50年代にかけてアメリカで発展した抽象絵画を対象に、絵を描く「行為(アクション)」を重視した「アクション・ペインティング」という様式概念を提唱すると、豪快さや力強さといった男性性と親密な「アクション」の概念に男性批評家たちが反応したことで、女性の前衛美術家たちはわずか2、3年で批評対象から外されていった。
福島秀子《ホワイトノイズ》1959年 栃木県立美術館蔵
田中田鶴子《無》1961年頃 奈良県立美術館蔵
美術史家の中嶋は、こうした経緯を分析したうえで、女性作家たちの「アクション」への応答や挑戦を指して、「アンチ・アクション」という言葉を創案し、『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(ブリュッケ、2019/『増補改訂 アンチ・アクション—日本戦後絵画と女性の画家』筑摩書房、2025)を発表。
本展は、中嶋の全面協力の下、草間彌生、田中敦子、福島秀子ら14名の作品およそ120点を通じて、各作家の独自の挑戦の軌跡、その表現の差異や多様性を紹介し、ジェンダー研究の観点から日本の戦後美術史に新たな光を当てる。さらに、本展では、関係者の協力と綿密な調査により、赤穴桂子、多田美波、宮脇愛子らの、これまで紹介されていなかった初期作品や未発表作品を展示。各作家の知られざる創作と、新たな魅力を紹介する機会となる。
田中敦子《地獄門》1965-69年 国立国際美術館蔵 ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association
白髪富士子《作品 No.1》1961年 高松市美術館蔵
関連イベント
講演会
2025年12月20日(土)14:00–15:30(開場:13:30)
講師:中嶋泉(本展学術協力、大阪大学大学院人文学研究科准教授)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:140名(先着順)、無料
同時開催
所蔵作品展 MOMATコレクション(2025.11.5–2026.2.8)
2025年11月5日(水)–2026年2月8日(日)
東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリー(4~2階)
https://www.momat.go.jp/exhibitions/r7-2
コレクションによる小企画
没後30年 榎倉康二
2025年11月5日(水)–2026年2月8日(日)
東京国立近代美術館 2Fギャラリー4
https://www.momat.go.jp/exhibitions/r7-2-g4
巡回情報
アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦
2025年10月4日(土)–11月30日(日)
豊田市美術館
https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/antiaction
アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦
2026年2月28日(土)–5月6日(水)[予定]
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
