キュレトリアル・スタディズ16:荒木悠 Reorienting ―100年前に海を渡った作家たちと― @ 京都国立近代美術館

「キュレトリアル・スタディズ16:荒木悠 Reorienting 」展 会場風景 撮影:守屋友樹

 

キュレトリアル・スタディズ16:
荒木悠 Reorienting ―100年前に海を渡った作家たちと―
2025年10月7日(火)-12月7日(日)
京都国立近代美術館 4F コレクション・ギャラリー内
https://www.momak.go.jp/
開館時間:10:00–18:00(金曜は20:00まで ※11/28、12/5を除く)入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(ただし、11/3、11/24は開館)、11/4、11/25
企画担当:渡辺亜由美(京都国立近代美術館特定研究員)
展覧会URL:https://www.momak.go.jp/Japanese/curatorialstudiesarchive/16.html

 

京都国立近代美術館では、「キュレトリアル・スタディズ」の第16回として、京都を拠点に活動するアーティスト・映画監督の荒木悠の展覧会「Reorienting ―100年前に海を渡った作家たちと―」を開催している。

キュレトリアル・スタディズは、同館研究員の研究成果を多面的に発表するプログラムとして、2008年から実施されてきた。研究対象を所蔵作品に限定せず、美術館活動を通じて研究員が抱いた問題意識をも対象とし、研究テーマに応じて外部の専門家や美術家たちとも協力するなど、将来開催する展覧会の基礎研究として結実することを目標としている。

荒木悠(1985年山形県生まれ)は、歴史上の出来事と空想の狭間に差異を見出し、再現・再演・再生といった手法で映像インスタレーションを構築する。2007年にワシントン大学サム・フォックス視覚芸術学部(彫刻)を卒業、2010年に東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了した。近年の個展に「双殻綱:幕間」(札幌文化芸術交流センターSCARTS、2025)、「LONELY PLANETS」(十和田市現代美術館、2023)、「双殻綱:第二幕」(無人島プロダクション、東京、2022)、「LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ」(資生堂ギャラリー、東京、2019)。映画祭出品に第7回バンコク実験映画祭(2025)、第31回マルセイユ国際映画祭(2021)、第47回ロッテルダム国際映画祭(2018)など。

 

「キュレトリアル・スタディズ16:荒木悠 Reorienting 」展 会場風景 撮影:守屋友樹
「キュレトリアル・スタディズ16:荒木悠 Reorienting 」展 会場風景 撮影:守屋友樹

 

荒木は幼少期に渡米し、異なる言語環境で「絵」を介したコミュニケーションを経験したことを原点に、各地での滞在や出会いを通じて、文化間の邂逅や摩擦、歴史の奥に潜む物語の層を、ユーモアと批評性をもって作品化してきた。本展では、2025年夏にポルトガルで撮影した初公開の新作映像1点と、22歳時の短編を含む過去作3点の計4点を展示する。さらに、京都国立近代美術館所蔵の国吉康雄石垣栄太郎野田英夫による写真・絵画14点に、アルフレッド・スティーグリッツドロシア・ラングのモダニズム写真などをあわせ、総計20点超で構成する。荒木の新旧作が示す越境の眼差しを、三人の「日系移民作家」の作品に重ね、移動と越境、表現の関係を掘り下げつつ、過去と現在を照らし合わせる。

 

悠、3才(成田空港国際線出発ロビーにて、1988年9月19日) 撮影:宇野博二
荒木悠《野良犬たち》 制作:1947-1952年/発表:2017年- 作家蔵 (「クロニクル、クロニクル!」展示風景、クリエイティブセンター大阪、2017年) Image courtesy of the artist and MUJIN-TO Production / 画像提供:無人島プロダクション

 

関連イベント
アーティスト・トーク「信頼できない語り手」
2025年10月25日(土)14:00–15:30(開場13:30)
会場:京都国立近代美術館 1 階講堂
出演:荒木悠、渡辺亜由美(京都国立近代美術館特定研究員)
定員:先着80名(当日11:00より1階受付にて整理券を配布、整理券はひとり1枚)
参加費:無料

ギャラリートーク
2025年11月8日(土)18:15–
会場:京都国立近代美術館の公式Instagramでライブ配信
解説:荒木悠、渡辺亜由美

 

石垣栄太郎《鞭うつ》1925年 京都国立近代美術館蔵
国吉康雄《コニーアイランド》1938年 京都国立近代美術館蔵
野田英夫《風景》1937年 京都国立近代美術館蔵

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