総合開館30周年記念「作家の現在 これまでとこれから」@ 東京都写真美術館

石内都《ひろしま #145 donor: Sachiko, M.》2025年 発色現像方式印画 作家蔵 ©Ishiuchi Miyako, courtesy of The Third Gallery Aya

 

総合開館30周年記念「作家の現在 これまでとこれから」
2025年10月15日(水)–2026年1月25日(日)
東京都写真美術館 2階展示室
https://topmuseum.jp/
開館時間:10:00–18:00(木・金は20:00まで ※1/2を除く)入館は閉館30分前まで
休館日:月(月曜が祝休日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始(12/29-1/1)
展覧会担当:丹羽晴美(東京都写真美術館 事業企画課長 学芸員)、伊藤貴弘(東京都写真美術館 学芸員)
展覧会URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5200.html

 

東京都写真美術館では、国内外で活躍する世代の異なる写真家を取り上げ、同館収蔵作品を軸にこれまでの歩みをたどりつつ、現在の活動を紹介する展覧会「作家の現在 これまでとこれから」を開催する。

本展で取り上げるのは、石内都、志賀理江子、金村修、藤岡亜弥、川田喜久治の5名。

石内都(1947年群馬県生まれ)は、自身が育った横須賀の風景を感情的かつ詩的に写した三部作で注目を集め、1979年には〈APARTMENT〉により第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年には第51回ヴェネツィア・ビエンナーレに日本館代表作家に選出され、母親の遺品を写した〈Mother’s〉を発表。2007年には広島平和記念資料館が所蔵する遺品を撮影した〈ひろしま〉を発表。同シリーズは現在も継続している。2014年にハッセルブラッド国際写真賞を受賞。2027年にはパリのヨーロッパ写真館[MEP]での個展が控える。東京都写真美術館では2006年に個展「石内都:mother’s」を開催。第2期重点収集作家にも指定されている。

志賀理江子(1980年愛知県生まれ)は、2008年に宮城県に移住し、その地に暮らす人々と出会いながら、人間社会と自然の関わり、死の想像力から生を思考すること、何代にも溯る記憶などを題材に制作している。2008年に写真集『Lilly』(2007)、『CANARY』(2007)で第33回木村伊兵衛写真賞を受賞。2009年にはICPインフィニティアワード新人賞を受賞。2021年にTokyo Contemporary Art Award (TCAA)2021-2023の受賞者に竹内公太と選出され、2023年に受賞記念展を東京都現代美術館で開催。2025年は「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」(アーティゾン美術館)、「プラカードのために」(国立国際美術館)にも出品予定。東京都写真美術館では2019年に個展「ヒューマンスプリング」を開催している。

 

志賀理江子、参考図版 Photo: artist, ©Lieko Shiga, Courtesy of the artist
金村修《Untitled》〈本日の日本〉より 1993年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

 

金村修(1964年東京都生まれ)は、初期より電線や看板、ネオンサインがひしめき合う都市の風景をモノクロで撮影してきた。90年代より第3回ロッテルダム写真ビエンナーレ(1992)、「ニュー・フォトグラフィー12」(ニューヨーク近代美術館、1996)など、国外の展覧会に参加。2000年には個展「BLACK PARACHUTE EARS 1991-1999」(川崎市市民ミュージアム)および9年間にわたる写真活動全般が評価されて第19回土門拳賞を受賞。90年代より現在に至るまで精力的に作品を発表している。東京都写真美術館では第3期重点収集作家に選ばれている。

藤岡亜弥(1972年広島県生まれ)は、2007年に文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨークに滞在し、2012年まで同地で活動。その後は現在に至るまで広島を拠点に活動を続ける。2018年に原爆投下から70年以上の時間が経過した出身地・広島を撮影したスナップ写真をまとめた写真集『川はゆく』(赤々舍、2017)と2017年にガーディアン・ガーデンで開催した個展「アヤ子、形而上学的研究」により第43回木村伊兵衛写真賞を受賞。2022年には入江泰吉記念奈良市写真美術館で個展「New Stories」を開催。

川田喜久治(1933年茨城県生まれ)は、1959年、写真家によるセルフ・エージェンシー「VIVO」を東松照明、奈良原一高、細江英公らと共同設立。1965年に戦争の傷跡や記憶をたどる写真集『地図』(美術出版社)を発表し高い評価を受ける。1974年にはニューヨーク近代美術館で開かれた「ニュー・ジャパニーズ・フォトグラフィー」にも出品。PGI(東京)で継続的に個展を開催するほか、現在に至るまで国内外で多数の展覧会で作品を発表している。東京国立近代美術館で開催中の「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」にも上述した『地図』からの作品が出品されている。東京都写真美術館では2003年に個展「川田喜久治展 世界劇場」を開催。複数のグループ展にも出品。第1期重点収集作家の17名の内のひとり。

 

藤岡亜弥〈川はゆく〉より 2013–2017年 発色現像方式印画 東京都写真美術館蔵
川田喜久治《昭和最後の太陽、昭和64年1月7日》〈ラスト・コスモロジー〉より 1989年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京都写真美術館蔵

 

関連イベント
アーティスト・トーク
2026年1月11日(日)14:00–16:00
登壇者:志賀理江子(出品作家)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券配布

図書室夜話
2025年12月4日(木)18:30–19:50
講師:藤岡亜弥(出品作家)
2025年12月12日(金)18:30–19:50
講師:石内都(出品作家)
会場:東京都写真美術館4階図書館
定員:各回7名(事前申込制、申込多数の場合は抽選)
参加費:無料
※申込方法等の詳細は後日美術館ウェブサイトで公開

出品作家による映像作品の上映+アフタートーク
2026年1月10日(土)14:00–17:00
登壇者:金村修(出品作家)× 倉石信乃(明治大学教授、近現代美術史・写真史)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券配布

担当学芸員によるギャラリートーク
2025年10月24日(金)、11月14日(金)、12月5日(金)、2026年1月9日(金)各日14:00–
※11/14、12/5、1/9は手話通訳付き
※当日有効の本展チケット、展覧会無料対象者は各種証明書等を持参で2階展示室に集合

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