
菅亮平「The Long Wait」
2025年9月13日(土)-12月7日(日)
町立久万美術館(愛媛県上浮穴郡久万高原町菅生2番耕地1442-7)
https://www.kumakogen.jp/site/muse/
開館時間:9:30–17:00(入館は16:30まで)
※9/13は開展式開催のため、13:00–14:30は展示室入場休止
休館日:月(ただし、9/15、10/13、11/3、11/24は開館)、9/16、9/24、10/14、11/4、11/25
展覧会担当:本田李璃子(町立久万美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.kumakogen.jp/site/muse/24712.html
町立久万美術館では、2025年度自主企画展として、愛媛県出身の美術作家、菅亮平の個展「The Long Wait」を開催する。
菅亮平(1983年愛媛県生まれ)は、「空虚(ヴォイド)」を主題に、多様なメディアを駆使しながら、世界の不確かさや記憶の残滓を辿るような探求を行なってきた。2020年から広島に拠点を置いた菅は、世界で初めて原子爆弾が投下された広島の歴史性を踏まえて、アジアの戦後美術史における世界大戦への応答に関心を向け、2021年には原爆ドームの第5回保存工事で使用された塗料による絵画作品《K 15-30D》の制作を開始するなど、戦後の歴史継承の問題をめぐって想起の芸術の今日的な可能性を追求している。主な個展に「菅亮平 Based on a True Story」(原爆の図 丸木美術館、埼玉、2024)、「Half-life of Archetype」(広島県立美術館、2023)、「K 15-30D」(広島芸術センター、2022)、「In the Walls」(資生堂ギャラリー、東京、2017)、など。主なグループ展に「藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」(東京藝術大学大学美術館、2017)など。


本展では、松をめぐる文化史を主題に据え、自然豊かな立地にある同館の環境や久万高原町の歴史と響き合う展示構成となる。菅が松に関心を抱いた契機は、広島で出合った被爆した能道具にある。2023年、能を主題とした制作に取り組み始めた菅は、能舞台の空間性に注目し、とりわけ舞台に描かれる松の絵に着目した。松は、冬でも青々と葉を茂らせる常緑樹として不老長寿の象徴とされ、影向、すなわち神の降臨を受ける樹木として信仰の対象ともされてきた。
一方で、菅は象徴的意味だけでなく、松煙墨や松根油といった、松が人々の生活において果たしてきた実用的側面にも注目してきた。今回、象徴性と実用性という両義的な観点から松の文化史を見つめ直し、これまで追究してきた「空虚」とを交差させ、「松の空虚」を多層的に浮かび上がらせようとする。
展覧会タイトル「The Long Wait(長い待ち時間の意)」は、「松」の語源を「待つ(wait)」とする説に着想を得ており、時の流れの中で人々が抱いた祈りや期待を想起させる。旧久万町出身の母をもつ菅は、自身も久万の自然の中で多くの時を過ごしており、本展は自己のルーツとも重なる土地での試みとなっている。
関連イベント
トークイベント「松の空虚」
2025年9月13日(土)15:00–16:00
登壇:菅亮平、本田李璃子(町立久万美術館学芸員)
応募フォーム:https://apply.e-tumo.jp/town-kumakogen-ehime-u/offer/offerList_detail?tempSeq=8592
※無料(要観覧券、要予約)
トークイベント「崇高と空虚の創造性」
2025年9月20日(土)14:30–16:00
登壇:菅亮平、星野太(美学者、東京大学大学院准教授)
応募フォーム:https://apply.e-tumo.jp/town-kumakogen-ehime-u/offer/offerList_detail?tempSeq=8593
※無料(要観覧券、要予約)
トークイベント「模型写真論」
2025年11月8日(土)14:30–16:00
登壇:菅亮平、伊藤俊治(美術評論家、東京藝術大学名誉教授)
※無料(要観覧券、要予約)
※詳細は後日発表
トークイベント「学芸員による作品解説」
2025年9月27日(土)、11月3日(月・祝)、11月22日(土)各14:30–15:00
講師:本田李璃子(町立久万美術館学芸員)
※無料(要観覧券、予約不要)
ワークショップ「イマジナリー・フォレスト」
2025年11月9日(日)13:00–16:00
講師:菅亮平
※無料(要予約)
※詳細は後日発表