総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」 @ 東京都写真美術館

ペドロ・コスタ《火の娘たち(2022)》2022年 作家蔵

 

総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」
2025年8月28日(木)-12月7日(日)
東京都写真美術館 B1F 展示室
https://topmuseum.jp
開館時間:10:00–18:00(木、金は20:00まで、ただし8/28-9/26までの木、金は21:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(月曜が祝休日の場合は開館、翌平日は休館)
展覧会担当:田坂博子(東京都写真美術館学芸員)
展覧会URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5093.html

 

東京都写真美術館では、ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタによる、日本では過去最大規模となる個展「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」を開催する。

ペドロ・コスタ(1958年リスボン生まれ)は、ドキュメンタリーとフィクションの境界を揺るがす独自の映像表現で、現代映画の最前線を切り開いてきた。リスボン大学で歴史と文学を学び、映画学校では詩人で映画監督のアントニオ・レイスに師事。1989年の長編デビュー作『血』がヴェネツィア国際映画祭で注目を集め、その後『骨』(1997)などで国際的評価を確立。『ヴァンダの部屋』(2000)では、旧ポルトガル領アフリカのカーボ・ヴェルデから移住し、リスボンのスラム街フォンタイーニャス地区で暮らす女性の過酷な日常を映し出し、新たなドキュメンタリー表現として、大きな反響を呼んだ。『ホース・マネー』(2014)でロカルノ国際映画祭最優秀監督賞を受賞し、『ヴィタリナ』(2019)で同映画祭金豹賞を受賞。アントン・チェーホフの戯曲『三人姉妹』に着想を得て制作した短編ミュージカル映画『火の娘たち』(2023)は第76回カンヌ国際映画祭で特別招待作品として上映され、各国で高い評価を得ている。映画だけでなく世界各地で展覧会も開催し、近年の主な展覧会に「The Song of Pedro Costa」(スペイン各地を巡回、2022-2023)や「Companhia」(セラルヴェス美術館、ポルト、2018)などがある。

 

ペドロ・コスタ《少年という男、少女という女》2005年 東京都写真美術館蔵
ペドロ・コスタ〈溶岩の人々〉2015年 作家蔵
ペドロ・コスタ《ジ・エンド・オブ・ア・ラヴ・アフェア》2003年 作家蔵

 

東京の美術館での初個展となる本展では、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出した『ホース・マネー』(2014)など、コスタ作品において重要な役割を担う、ヴェントゥーラをはじめとする登場人物たちや、彼らが生きる場所に関わる映像作品を紹介する。加えて、同作品において、アメリカのフォトジャーナリズムの先駆者、ジェイコブ・リースによる写真群が映し出されることから、東京都写真美術館が所蔵するリースの作品もあわせて展示する。本展のタイトル「インナーヴィジョンズ」は、1974年のカーネーション革命期に15歳だったコスタが出会ったスティーヴィー・ワンダーの同名アルバム(1973)に由来する。階級や人種にまつわる喪失と希望を描いたその音楽は、激動の時代背景と彼自身の内面の変化に重なり深く共鳴したという。「内面のヴィジョンであり、内面から現れるヴィジョンでもある」という二重の意味は、コスタの映像表現にも通底し、本展が考察する主題ともなっている。

会期中には、ふたつの関連上映プログラムを実施する。会期前半(8月28日から9月7日まで)には、本展に合わせコスタが自らの視点で選び構成した11本(予定)の映画を上映する「ペドロ・コスタのカルト・ブランシュ」を開催。会期後半(11月27日から12月7日まで)には、コスタの代表作を特別上映する「ペドロ・コスタ特集上映」を開催。アーティスト・トークやゲストとの対談も開催予定。

 

ペドロ・コスタ《アルト・クテロ》2012年 作家蔵
ジェイコブ・リース〈向こう半分の人々の暮らし〉1880-1889年 東京都写真美術館蔵

 

関連イベント
関連上映プログラム「ペドロ・コスタのカルト・ブランシュ」
2025年8月28日(木)-9月7日(日)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名
料金:一般1800円(本展チケット提示で1,000円)、シニア(60歳以上)1,500円、学生および高校生以下1,000円
※8月31日(日)13:00からの上映後、ペドロ・コスタのアフタートーク
詳細:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5093.html

関連上映プログラム「ペドロ・コスタ特集上映」
2025年11月27日(木)-12月7日(日)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名
料金:一般1800円(本展チケット提示で1,000円)、シニア(60歳以上)1,500円、学生および高校生以下1,000円
詳細:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5093.html

出品作家によるアーティスト・トーク
2025年8月28日(木)18:30-20:30
会場:東京都写真美術館 1階ホール
登壇:ペドロ・コスタ
定員:190名(当日10:00より整理券配布)

出品作家とゲストによる対談
①2025年8月29日(金)18:30-20:30
登壇:ペドロ・コスタ、長島有里枝(写真家)
①2025年8月30日(土)15:30-17:30
登壇:ペドロ・コスタ、諏訪敦彦(映画監督、東京藝術大学教授)
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(当日10:00より整理券配布)

担当学芸員によるギャラリートーク
2025年8月29日(金)、9月26日(金)、10月17日(金)[手話通訳付]、11月28日(金)[手話通訳付] 各回14:00-
参加費:無料(ただし当日有効の本展チケット、展覧会無料対象者は各種証明書等の提示が必要)

 


 

同時期開催
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2025年7月3日(木)-9月21日(日)
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5071.html

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2025年7月3日(木)-9月28日(日)
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5073.html

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2025年9月30日(火)-2026年1月7日(水)
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5087.html

総合開館30周年記念 作家の現在(仮称)
2025年10月15日(水)-2026年1月25日(日)
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5200.html

ブルガリア国際映画祭赤十字特別賞受賞記念『じょっぱり 看護の人 花田ミキ』凱旋上映
2025年9月13日(土)-10月2日(木)
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/movie-5261.html

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