スキマをひらく @ 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA


デザイン:Studio Kentaro Nakamura

 

スキマをひらく
2025年5月3日(土)-6月22日(日)
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
https://gallery.kcua.ac.jp/
開館時間:10:00–18:00
休館日:月(ただし5/5は開館)、5/7
企画:藤田瑞穂(@KCUA チーフキュレーター/プログラムディレクター)
展覧会URL:https://gallery.kcua.ac.jp/archives/2025/12268/

 

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでは、人々が時間と場所を共にし、対話を重ねることによって広がる可能性について、乾久美子、小山田徹、田中功起、副産物産店の4組の作品や実践を通して考察する展覧会「スキマをひらく」を開催する。

コロナ禍によって引き起こされたさまざまな変化は、社会の効率化を加速させた一方、過剰な効率主義が人間関係を希薄にした。世界各地で分断と対立が深刻化し、先行きが不透明な時代において、多様な背景を持ち、考え方も異なる人々が、歩み寄って生きていくためにはどうすればいいのか。本展は、場を共にすることから始めなければならないと考え、丁寧に時間をかけ、対話を重ねてお互いを理解し合い、学び、認め合うことの大切さを改めて考える機会となる。

 


Koki Tanaka, Provisional Studies: Workshop #7 How to Live Together and Sharing the Unknown, 2017.


乾久美子|ねれる公共/横浜美術館(撮影:川又修平)

 

田中功起(1975年栃木県生まれ)は、映像や執筆などによって「共に生きるとは何か」をテーマに、人々の協働や共同体の在り方を問い直す芸術実践を行なう。近年は、育児とケアの視点からアートを捉え直す制作、執筆活動を続けている。2024年より京都市立芸術大学美術学部構想設計専攻准教授を務める。主な国際展に、あいちトリエンナーレ(2019)、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017)、ヴェネツィア・ビエンナーレ(2017、2013)など。主な著作と作品集に『リフレクティブ・ノート(選集)』(アートソンジェと美術出版社の共同出版、2021)、『Vulnerable Histories (An Archive)』(JRP|Ringier、2018)、『共にいることの可能性、その試み、その記録-田中功起による、水戸芸術館での、ケーススタディとして』(グラムブックス、2016)、『Precarious Practice』(Hatje Cantz、2015)など。本展では、2017年にミュンスター彫刻プロジェクトで発表した《Provisional Studies: Workshop #7 How To Live Together, And Sharing The Unknown》(一時的なスタディ︰ワークショップ7 未知なものを共有し、いかにしてともに生きるか)を取り上げる。ロラン・バルトがコレージュ・ド・フランスで行った講義のノート『いかにしてともに生きるか』に着想を得た作品で、さまざまな文化的背景を持った近隣住民8名が参加した9日間のワークショップの記録映像を中心に構成される。

乾久美子(1969年大阪府生まれ)は、日常や仕事先で出会った、誰が作ったのかはわからないが、生き生きとしていて人の温もりが感じられるささやかな場所を「小さな風景」と呼び、協力者と共に膨大な数の記録を撮りためてきた。近年は社会における「コモンズ(共有財)」が重要であると考え、コモンズを育む空間やきっかけづくりを大切にしている。2000年に乾久美子建築設計事務所を設立。東京藝術大学美術学部建築科、横浜国立大学都市イノベーション学府・建築都市スクール(Y-GSA)の教授を務める。近年の主なプロジェクトに、「宮島口旅客ターミナル」(2025※予定)、「横浜美術館」(2025)、共同設計の京都市立芸術大学・京都市立美術工芸高等学校(2023)、「延岡駅周辺整備プロジェクト」(2018)など。主な受賞歴に、第13回JIA中国建築大賞2021一般建築部門奨励賞(2021)、日本建築学会賞(作品)(2020)、グッドデザイン賞金賞(2020)などがある。

 


副産物産店 ACKキッズプログラム・ワークショップ「副産物産店で作品(商品)をつくろう」(撮影:森 昭人)


小山田徹《ウィークエンドカフェ》(2015、崇仁地域/Photo: KentaHasegawa)

 

矢津吉隆(1980年大阪府生まれ)と山田毅(1981年東京都生まれ)によるアーティストユニット「副産物産店」は、乾が代表を務める「京都市立芸術大学及び京都市立美術工芸高校移転整備工事乾・RING・フジワラボ・o+h・吉村設計共同企業体」の機運醸成・リサーチチームの活動から、2017年に結成された。制作の現場から出る廃材など、いずれは捨てられる運命にあったモノたちを「副産物」と呼び、それらを回収、活用、販売する活動を行なってきた。また、資材の循環を目指した「芸術資源循環センター」、副産物の楽器を用いて演奏を行なう「副産物楽団ゾンビーズ」など、基本の活動から派生した複数のプロジェクトを手がける。主な展覧会に「アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの」(埼玉県立近代美術館、愛知県美術館、2024)、個展「副産物エンサイクロペディア」(扇町ミュージアムキューブ、大阪、2023)、MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館(奈良、2023)、個展「副産物産店の “芸術資源循環センター”展」(京都市立芸術大学ギャラリー @KCUA、2021)、かめおか霧の芸術祭(京都、2020)、やんばるアートフェスティバル2019-2020(沖縄)などがある。本展では、乾の「小さな風景」と、その素材の周囲にかつてあったものや、その用途に着目して新たな風景を作ろうとする副産物産店の作品がコラボレーションし、「副産物」の循環と活用をさまざまな角度から体験できる場を展開する。

小山田徹(1961年鹿児島県生まれ)は、パフォーマンス・グループ「ダムタイプ」の創設メンバーとして作品制作を行ない、《pH》や《S/N》などの作品を国内外に向け発信。また、AIDSやセクシャリティに関わる問題に向き合う活動を多くの人々と行なってきた。1998年からダムタイプを離れ、個人の活動を始める。「共有空間の獲得」をテーマに、人々を巻き込みながら空間そのものを体験させる独自のアート手法を探求している。2025年より京都市立芸術大学美術学部彫刻専攻の理事長兼学長に就任した。本展では、小屋状の立体作品《浮遊博物館》を、新キャンパスに「おく」ところから始める。この作品は、約15年間小山田が作り続けてきた共有空間で、その役割を変化させながら、その使命を全うして「副産物」になりかけていたところを修復され、復活を果たした。また関連イベントとして、会期中の週末には、ゆるやかに集うことのできる共有空間「ウィークエンドカフェ」を出現させる。

 

関連イベント
オープニング・トーク
2025年5月3日(土)14:00–16:00 ※既に終了
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAおよび屋外
出演:乾久美子、小山田徹、田中功起、副産物産店
モデレーター:藤田瑞穂
参加費:無料(申込不要)

小山田徹「ウィークエンドカフェ」
2025年5月3日(土)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、6月6日(金)、14日(土)、21日(土)※時間帯は公式サイトを参照
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(屋根あり、C棟とD棟の間)、小山田徹作品周辺
参加費:無料(申込不要)

副産物産店ワークショップ
「Balance and Fixation──彫刻のための協働行為、あるいは協働のための彫刻行為」

2025年5月24日(土)15:00–17:00
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
定員:14名(先着順)
参加費:無料(要申込)
申込フォーム:https://forms.gle/MoUgB8gqycmMfLRBA

 

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