没後30年 木下佳通代 @ 大阪中之島美術館

 

没後30年 木下佳通代
2024年5月25日(土)-8月18日(日)
大阪中之島美術館 5階展示室
https://nakka-art.jp/
開場時間:10:00–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし7/15、8/12は開館)
展覧会URL:https://nakka-art.jp/exhibition-post/kinoshita-kazuyo-2024/

 

大阪中之島美術館では、神戸を拠点に活躍した関西の戦後美術を代表する美術家のひとりである木下佳通代の過去最大規模にして国内の美術館初個展となる「没後30年 木下佳通代」を開催。

木下佳通代(1939-1994/神戸市生まれ)は、京都市立美術大学(現 京都市立芸術大学)で学び、神戸市で美術教師として勤めたのち、1965年ごろに前衛美術の集団「グループ〈位〉」の活動に携わる。1965年ごろから70年代には「存在とは何か」をテーマに作家活動を本格化。写真を用いながら、イメージと知覚、物質の関係を考察する作品を数多く手がけた。その極めて理知的なアプローチは、同時代のコンセプチュアル・アートの世界的潮流と呼応しており、関西、東京、海外と活動場所を広げる。81年にドイツのハイデルベルク・クンストフェラインで個展を開催、ヨーロッパで高く評価される。82年にこれまでの作風から離れ、抽象絵画へと表現の軸足を移す。一筆ごとに自らの感覚を鋭く問いながら作り出された絵画は高い緊張感を備えており、新たな作風で今後の活躍も期待されるなか、90年のがん宣告によって活動が変化。94年に55歳の若さで死去するまでの約30年間の作家活動で1200点以上の作品を制作し、各地の美術館などにコレクションされた。2015年に「来たるべき新しい世界のために:1968年から1979年における日本の写真と美術の実験」(ヒューストン美術館ほか)に出品されたことを契機に、再び注目を集めている。

 


木下佳通代《’76-C》1976年 大阪中之島美術館蔵


木下佳通代《無題》1975年 個人蔵

 

本展は、国内各地の美術館に所蔵される木下の作品を厳選し、ごく初期の作品から代表作、絶筆にいたるまでの120点以上を一堂に展示、その表現の全貌に迫る。展覧会は3章から構成され、序章「1960年代前半…在学中から1970年までの作品」では、黒田重太郎・須田国太郎に師事した京都市立美術大学在学中から、河口龍夫や奥田善巳に出会いグループ〈位〉とともに活動した時代までの作品を展示。

1章「1970年代〜80年代前半の作品 ドローイング、シルクスクリーン、写真、コラージュそしてビデオ」では、ギャラリー16(京都)、村松画廊(東京)、トアロード画廊(神戸)を中心にほぼ毎年個展を開催し、作家として評価された最初の時期の作品を紹介。写真のコラージュや構成、フェルトペンによるドローイングなどのほか、このたび発掘されたビデオ作品を展示。

2章「絵画への移行/1982年からの10年」では、抽象絵画の制作へ大きく転向した時期の作品を紹介。力強いストロークの幅広い筆致や、描いた部分を拭き取るなど、92年までのあいだに度々変化した作風を展観する。また、このたびの調査で明らかになった最大規模の作品《’86-CA323》を修復後初公開。

3章「がんの宣告、LAへの旅立ちそして絶筆」では、1990年にがんの告知を受け、治療法を求めてロサンゼルスへ渡ったあとも現地で制作を続けた木下の絵画作品のシリーズを中心に、94年の絶筆までを展観する。

 


木下佳通代《’86-CA323》1986年 北川貞大氏蔵(大阪中之島美術館寄託)


木下佳通代《無題(絶筆・未完)》1994年 大阪中之島美術館蔵

 

関連イベント
記念講演「カズさんのことー木下佳通代という芸術家」
2024年6月22日(土)14:00–15:30(開場 13:30)
登壇者:植松奎二(美術家)
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
定員:150名
参加費:無料
※要観覧券(利用後の半券可)

講演+上映「再考・再生『ヴィデオ / 京都 / 1974』」
2024年7月20日(土)14:00–15:30(開場 13:30)
登壇者:今井祝雄(美術家)ほか
会場:大阪中之島美術館 1階ホール
定員:150名
参加費:無料
※要観覧券(利用後の半券可)

担当学芸員によるギャラリートーク
2024年6月1日(土)、26日(水)、7月6日(土)、17日(水)、8月3日(土)、14日(水)いずれも11:00–12:00
会場:大阪中之島美術館 5階展示室
定員:30名
参加費:無料
※要当日観覧券
申込方法:公式ウェブサイトのフォームより申込(6/1以外の申込みフォームは後日公開)

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