沖縄画 ―8人の美術家による、現代沖縄の美術の諸相 @ 沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館

 

沖縄画 ―8人の美術家による、現代沖縄の美術の諸相
2023年8月10日(木)-8月20日(日)
沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館
https://www.lib.okigei.ac.jp/lib/lib.html
開館時間:10:00–17:00
ディレクター:土屋誠一(美術批評家、沖縄県立芸術大学准教授)
展覧会URL:https://www.okigei.ac.jp/news/okinawa-ga_aspects_of_contemporary_okinawan_art_by_8_artists.html

 

沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館では、沖縄という地縁を手掛かりに、ユニークな作品を展開している美術家たちの作品を包括的に「沖縄画」と呼び、そこから見えてくるものを問う展覧会「沖縄画 ―8人の美術家による、現代沖縄の美術の諸相」を開催する。

本展においてはじめて提示する「沖縄画」は、沖縄というローカルなコンテクストを引き受けつつも、いかなるものでも代入可能な枠組みとして構想されたコンセプト。必ずしも沖縄という地理的・歴史的・文化的条件だけに限るものではなく、トランスナショナルに別のコンテクストにおいても展開され得るものであり、ほかのローカルな知と、生存戦略のアイディアへと接続されることをも目指している。

本展では、絵画に限らない多様な表現方法やアイデンティティをも含む「現在の沖縄」を、実行委員会メンバーの持続的なフィールドワークに根差して選出した8名のアーティストによる作品群から提示し、展覧会を通じて沖縄という場の将来像を提案する。

 


仁添まりな《ニライカナイからの招待状》(2023)

 


高橋相馬《Times front of the supermarket》(2023)

 

泉川のはな(1991年沖縄県生まれ)は、過去の写真資料をもとに、現代の沖縄の風景を表現したコラージュや、南国植物をモチーフにしたドローイングなど、沖縄のイメージをテーマに作品を制作。2016年東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程芸術文化専攻洋画領域修了。近年の主な展覧会に「「復帰」後 私たちの日常はどこに帰ったのか展」(佐喜眞美術館、沖縄、2022)、「琉球の横顔―描かれた「私」からの出発」(沖縄県立博物館・美術館、2021-22)など。

陳佑而(1986年台北生まれ)は、動物保護の観点から、ヒトと動物の関係性をテーマに、動物との密接なつながりを示す標本のような彫刻や、人間と動物を組み合わせたシリーズなどを漆を用いて制作。2019年沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学研究科(後期博士課程、芸術表現領域)修了。近年の主な個展に「每一個倏忽即逝的永恆 A Fleeting Eternity」(YIRI ARTS、台北、2021)がある。

平良優季(1989年沖縄県出まれ)は、日本・沖縄・琉球のイメージを出発点に、各々で培われた技法、素材、歴史的背景をリサーチしながら、境界・交錯・重層をテーマに制作している。2017年沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学研究科(後期博士課程、芸術表現領域)修了。近年の展覧会に「復帰50年コレクション展 FUKKI QUALIA (フッキ クオリア)―「復帰」と沖縄美術」(沖縄県立博物館・美術館、2022-23)、VOCA展2018 現代美術の展望―新しい平面の作家たち(上野の森美術館)など。

髙橋相馬(1992年岐阜県生まれ)は、沖縄にて「その土地に合わせられた」「珍しくない」ものを題材に絵画を制作。2017年沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画科専攻卒業。「やんばるアートフェスティバル2021-2022」、BARRAKのメンバーとしてバンコク・ビエンナーレ2018に参加。近年の主な個展に「新しいコインパーキング」(LIGHT HOUSE GALLERY、東京、2023)など。

寺田健人(1991年沖縄県生まれ)は、「個人的なことは政治的なこと」の実践として、民族や性をテーマにインスタレーション、写真、映像を制作。2021年より横浜国立大学大学院都市イノベーション専攻博士課程後期に在籍。近年の主な個展に「想像上の妻と娘にケーキを買って帰る」(Bank ART Kaiko、神奈川、2022)、グループ展に「琉球の横顔―描かれた「私」からの出発」(沖縄県立博物館・美術館、2021-22)がある。

西永怜央菜(1995年沖縄県生まれ)は、自身の家族史の収集を糸口に、沖縄のイメージや日常的な光景の再構築を行なう。2020年沖縄県立芸術大学大学院造形芸術研究科(修士課程、絵画専攻)修了。「やんばるアートフェスティバル2022-2023」に参加。近年の主な展覧会に「Homemaking #2 あたえられた土地と土」(武蔵野プレイス、東京、2023)がある。

仁添まりな(1993年東京都生まれ)は、大学院で琉球絵画の花鳥画について研究し、沖縄の生物文化、宗教観などをテーマに制作している。2021年沖縄県立芸術大学大学院芸術文化学研究科(後期博士課程、芸術表現領域)修了。近年の主な展覧会に「琉球の横顔―描かれた「私」からの出発」(沖縄県立博物館・美術館、2021-22)、VOCA展2021 現代美術の展望―新しい平面の作家たち(上野の森美術館)など。

湯浅要(1994年京都府生まれ)は、絵画における「見当識」をテーマに制作。「描くことと並行して消すこと」を繰り返し、複数の時間を内包する画面を作りだす。2019年沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画専攻卒業。「やんばるアートフェスティバル」(2021-2022、2022-2023)に参加。近年の主な個展に「書きながら忘れる」(project space hazi、愛知、2022)など。

 


平良優季《biotope》(2023)


寺田健人《barrak and peace》(2023)

 

8月10日には、2009年から続くチュートリアル 「東北画は可能か?」のプロジェクトに取り組む三瀬夏之介や、沖縄県立博物館・美術館学芸員の大城さゆり、美術史家の富澤ケイ愛理子をゲストに迎えたトークイベントを開催する。10月末に、コンセプトブックの役割を担うドキュメンテーションを含めたカタログを刊行予定。

 

関連イベント
トークイベント「「沖縄画」展をめぐって」
2023年8月10日(木)18:30–20:00
登壇者:三瀬夏之介(画家、東北芸術工科大学教授)、大城さゆり(沖縄県立博物館・美術館学芸員)、富澤ケイ愛理子(美術史家、イースト・アングリア大学専任講師、本展学術協力)
進行:土屋誠一(本展ディレクター)
会場:沖縄県立芸術大学首里当蔵キャンパス大講義室

アーティストトーク 1
2023年8月11日(金・祝)10:15–11:00
アーティスト:平良優季、仁添まりな
聴き手:富澤ケイ愛理子(美術史家、イースト・アングリア大学専任講師、本展学術協力)
会場:沖縄県立芸術大学芸術大学附属図書・芸術資料館 展示室内

アーティストトーク 2
2023年8月11日(金・祝)11:15–12:15
アーティスト:泉川のはな、髙橋相馬、陳佑而
聴き手:土屋誠一(本展ディレクター)
会場:沖縄県立芸術大学芸術大学附属図書・芸術資料館 展示室内

アーティストトーク 3
2023年8月11日(金・祝)13:30–14:30
アーティスト:寺田健人、西永怜央菜、湯浅要
聴き手:町田恵美(本展キュレーター)
会場:沖縄県立芸術大学芸術大学附属図書・芸術資料館 展示室内

 


展覧会カタログ|沖縄画 ―8人の美術家による、現代沖縄の美術の諸相
編著:土屋誠一、富澤ケイ愛理子、町田恵美
ページ:80ページ
製本:並製本
サイズ:B5変
デザイン:鈴木春奈
ISBN:978-4-908122-25-5
2023年10月下旬刊行
出版社:アートダイバー

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