「解/拆邊界 亞際木刻版畫實踐(脱境界:インターアジアの木版画実践)」@ 東京藝術大学大学美術館 陳列館


『脱境界:インターアジアの木版画実践』ポスター デザイン:成田圭祐

 

「解/拆邊界 亞際木刻版畫實踐(脱境界:インターアジアの木版画実践)」
2023年4月28日(金)- 5月8日(月)
東京藝術大学大学美術館 陳列館2階
https://aai.geidai.ac.jp/
開館時間:10:00-17:00 入館は閉館30分前まで
会期中無休
キュレーター:吳君儀(独立研究者、クアラルンプール)、李俊峰(アーティスト、香港)、江上賢一郎(東京藝術大学特任助教、福岡)
https://aai.geidai.ac.jp/debodering/

 

東京藝術大学の陳列館では、近年、アジア各地で再び注目を集めている木版画による芸術・文化実践に焦点を当て、アジアを拠点に活動する12の作家、活動団体を紹介する展覧会『解/拆邊界 亞際木刻版畫實踐(脱境界:インターアジアの木版画実践)』が開催される。

20世紀初頭の中国で魯迅によって始まった近代木版画運動は、民衆自身が社会や現実を表現する運動/方法としてアジア各地に伝播したが、20世紀後半になると社会構造やメディア環境の変化により下火となった。しかし、2000年代から2010年代にかけてアジアの芸術家や社会活動家たちの一部は、木版画を通じて社会や政治の問題を表現し、文化的直接行動や集団的創造の実験、さらには国境を越えた交流・ネットワークを生み出している。近年の国内美術館においても、2018年から2019年にかけて、福岡アジア美術館とアーツ前橋で開かれた『闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s』、2022年に町田市立国際版画美術館で開かれた『彫刻刀が刻む戦後日本―2つの民衆版画運動』が注目を集めた。

 


タリン・パディ《民衆のトランペット》2018-19年


キム・オク《DMZシリーズ》2019年

 

インターアジア木版画展実行委員会と東京藝術大学グローバルサポートセンターが主催する本展では、私たちの生きる世界や社会に張り巡らされた「境界」を改めて主題化し、これらの境界からの離脱・解体を志向するトランスナショナルなアジアの木版画実践とそのネットワークを紹介する。とりわけ2020年に始まったパンデミックを通じて、人やモノの移動を一元的に管理する国境の問題や、差別や排外主義などの社会的、心理的な排除や断絶の問題が現前化するコロナ期に、各地で制作された木版画を比較することで「アジア」という地理的/政治的概念への批判的認識と、さらなる理解・議論の可能性を開くことを目指す。出品作家・団体は、東京を拠点とするA3BC(反戦・反核・版画コレクティブ)や、前述の『闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s』でも取り上げられ、ドクメンタ15にも参加したタリン・パディ、あいちトリエンナーレ2019や現在開催中の第14回光州ビエンナーレにも出品しているパンクロック・スゥラップなど、アジアの各都市を拠点に活動する12組。

会期中には、本展キュレーターや出品作家・団体、有識者を交えた国際シンポジウム「問題としての境界 -木版画の実践と経験から-」をはじめ、A3BC(反戦・反核・版画コレクティブ)による木版画ワークショップ、本展キュレーターによる展示ツアーなどが予定されている。

 

出品作家・団体
A3BC(反戦・反核・版画コレクティブ)、陳韋綸、劉家俊、キム・オク、林樂新、パンクロック・スゥラップ、印刻部(Print & Carve Department)、點印社(Printhow)、プリントメイキング・フォー・ザ・ピープル、タリン・パディ、木刻波流(Woodcut Wavement)

 


印刻部《非市民カードの遊戯》2020年

 

関連イベント
展示ツアー
2023年4月28日(金)14:00-15:00 英語 *日本語逐次通訳
2023年5月6日(土)14:00-15:00 日本語

国際シンポジウム「問題としての境界 -木版画の実践と経験から-」
2023年4月29日(土)12:00-17:30
会場:東京藝術大学 国際交流棟(Hisao&Hiroko TAKI PLAZA)3階 コミュニティ・サロン
使用言語:英語(一部日本語での要約有り)
第1部「問題としての境界」(12:00-13:30)
司会:江上賢一郎
発表者1:吳君儀(本展キュレーター)
発表者2:李俊峰(本展キュレーター)
発表者3:狩野愛(静岡大学 助教)
第2部「実践と経験 I-越境的協働と境界の解体」(13:45-15:15)
司会:吳君儀
発表者:A3BC、刺紙、木刻波流 、點印社、Pangrok Sulap
第3部「実践と経験 II-メディア的思考/現場への介入」(15:30-16:30)
司会:李俊峰
発表者:陳韋綸、林樂新、劉家俊、プリントメイキング・フォー・ザ・ピープル
第4部「総合討論」(16:45-17:30)
司会:江上賢一郎
討議者1:毛利嘉孝(東京藝術大学国際芸術創造研究科教授)
討議者2:潘律(香港理工大学副教授)

木版画ワークショップ
講師:A3BC、その他出品作家
2023年5月7日(日)13:00-17:00
会場:東京藝術大学 陳列館2階
参加費:無料
参加方法:当日受付(席数制限有り)
※彫刻刀、黒インク、はがきサイズの版木、布は主催側で用意

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