DAZZLER @ 京都芸術センター


デザイン 6:30

 

DAZZLER
2022年11月5日(土)– 12月10日(日)
京都芸術センター ギャラリー南・北
https://www.kac.or.jp/
開館時間:10:00–20:00
会期中無休
企画:林修平
出展作家:飯山由貴、木原結花、五月女哲平、永田康祐、林修平、吉田裕亮
主催:林修平、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
展覧会URL:https://www.kac.or.jp/32729/

 

京都芸術センターでは、公募により採択された企画を京都芸術センターとともに共同で制作・開催・実験していく事業「Co-program」の共同開催枠として、愛知を拠点に活動する美術家の林修平による企画『DAZZLER』を開催する。

「目眩し」を意味するタイトルを掲げる本展では、社会秩序の維持のために不都合なものを見えなくする技術について、「擬態」「迷彩」といったキーワードを切り口に、私たちの社会を「統治」する技術としての視覚に着目する。出展作家は、個人と社会および歴史との相互関係を考察し、社会的なスティグマが作られる過程と、協力者によってその経験が語りなおされること、作りなおされることによる痛みと回復に関心を持ち、近年は多様な背景を持つ市民や支援者、アーティスト、専門家と協力し制作を行なう飯山由貴。見えなくなってしまった存在の断片を探り、イメージを作り上げる制作に取り組む木原結花。絵画作品を中心に立体,写真,映像などを織り交ぜた作品などを発表している五月女哲平。社会制度やメディア技術、知覚システムといった人間が物事を認識する基礎となっている要素に着目し、あるものを他のものから区別するプロセスに伴う曖昧さについて扱った作品を制作している永田康祐。権力に不都合な主体が異なる対象として扱われてきた制度や歴史に関心を持って作品を制作している吉田裕亮。そして、人間がある対象を秩序から疎外する際に用いられる技術や制度、それを裏支えする視覚の権力性に対する関心を基に作品制作や展覧会企画を行ない、本展企画者でもある林修平

 


飯山由貴《In-Mates オンライン公開版》2021年 映像 26分47秒


木原結花《行旅死亡人》(「写真的曖昧」での展示風景 2018年)撮影:奥祐司

 

生物がおこなう擬態は捕食者から身を守るために、体表面の色や質感を環境に応じてさまざまに変えるものである。人類は擬態をひとつの着想源として迷彩のような戦争技術としてのカモフラージュを生んだ。第一次世界大戦当時、その開発には美術家たちも「専門家」として参画していた。
色や形象を配置することによって視覚を撹乱せしめることは、生物や人間にとって、生存の確率を直接的なかたちで左右する切迫した営為であっただろう。
ところで、擬態、迷彩の時代を経た後、戦後のオプアートから現在に至るまで、その圏域はどのように作動し、そして変節してきたのだろうか。

私たちは、それらが統治の技術に組み込まれた、という見方をとる。
身を守る擬態から統治の技術としての目眩しへの移行。
この統治技術は、例えばジェントリフィケーションやかつての諸々の隔離体制など、本来であれば質が異なっている疎外に通底するものだろう。不都合な事実や他者を疎外し、見えなくする、そしてそれはきっとあたかも非の打ちどころのない秩序として、きわめて美しい見かけをとる。そのような配置が、かつて生存のために培われた技術が行き着いた、現在におけるひとつの形ではないか。

本展は、視覚を介在した統治の形式、またそれが生み出す疎外に、擬態、迷彩、目眩しといった連なりを敷衍した個別の実践で抵抗する試みである。

林修平(本展キュレーター)

 


林修平《たかが台、されど体温》2021年 サーモスタット、バスキングライト 、アルミニウム、冷房装置、暖房装置、マイクロコンピュータ 撮影:吉川永祐


吉田裕亮《監房装置 特別病室を出口に設置する》2021年 セキュリティゲート

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