Lost in Translation @ 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA


笹岡由梨子《Planaria》2020–2021年 提供:MIMOCA 撮影:KEI OKANO

 

Lost in Translation
2021年9月1日(水)– 9月19日(日)
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
https://gallery.kcua.ac.jp/
開場時間:11:00–19:00 入場は閉場30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌火曜)
本展キュレーター:パヴェウ・パフチャレク
参加アーティスト:川嶋渉、笹岡由梨子、ウーカシュ・スロヴィエツ、高田冬彦、TŌBOE(西條茜+バロンタン・ガブリエ)、ピョトル・ブヤク、アリツィア・ロガルスカ

 

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでは、さまざまな文化的背景を持つ7組のアーティストが3つのテーマの下に継続的に取り組んできた成果を発表する展覧会『Lost in Translation』を開催する。

本展のキュレーターを務めるのは、2019年に京都で開催した日本ポーランド現代美術展『セレブレーション』(のちにポーランドのポズナン、シュチェチンでも開催)の共同キュレーションを手掛けたパヴェウ・パフチャレク。草間彌生の文学と美術との関係を扱った博士論文により大阪大学で博士号取得したパフチャレクは、比較文学、美学、美術史の現代的問題に焦点を当てた研究を行ない、社会関与型の美術活動や、フェミニズム、クィア・スタディーズ、歴史社会的再解釈など社会批判の分野の課題を研究対象としている。現在は同大学大学院文学研究科研究員。

パフチャレクと参加アーティストのひとりである笹岡由梨子が共同企画した本展は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に大きな影響を与える中で、異なる都市で活動する7組のアーティストとキュレーターとの対話によって立ち上げられた。本展のテーマとなるのは次の3つ。(1)大災害、大変動の時代に革命的変化を求める世相を追い風に、世界の価値観を刷新し、単に牧歌的・ユートピア的なヴィジョンではない、新しい持続可能なモデルを構築することは可能だろうか。(2)資本主義を葬り、既存の不平等を是正して、より大きな社会正義が実現され、社会から排除されてきた集団も包括するような新しいシステムを提案することは可能だろうか。(3)言語コミュニケーション上の齟齬、誤解、またそもそも失敗というカテゴリーは、芸術的実践の基礎となりうるだろうか。それは逆説的に、互いを知ることや相互理解の最良の方法にならないだろうか。

 


アリツィア・ロガルスカ《王族》2018年


高田冬彦《The Princess and the Magic Birds》2020–21年

 

滞在制作あるいはリモート制作による作品で構成される本展は、レベッカ・ソルニットが提唱した概念を引用した「災害ユートピア」、アーシュラ・K・ル゠グウィンの『反グローバル資本主義』の言葉を参照した「不可能を可能に」、そして、本展タイトルでもある「ロスト・イン・トランスレーション」の3つのパートから成る。参加アーティストは、前述した本展企画者のひとりでもある笹岡由梨子のほか、笹岡と同じく『セレブレーション』にも参加したウーカシュ・スロヴィエツピョトル・ブヤクアリツィア・ロガルスカ、「距離」と「時間」に着目し、日本画で独自に発展してきた花鳥画に更なる展開を見せる川嶋渉、そのほとんどを自宅アパートで撮影し、手作り感あふれる演出と時折登場するエロティックな表現を特徴とする映像作品で知られる高田冬彦、陶磁器を軸にした作品制作を行う西條茜と、声や息を用いてパフォーマンスを行なってきたバロンタン・ガブリエが2020年に結成したユニットTŌBOE。会期中の9月4日、9月19日には、展示会場内でTŌBOEのライブパフォーマンスを予定している。

なお、本企画は京都市立芸術大学の卒業・修了生・教職員・在学生を対象とした企画公募により実現した。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでは、2022年度の申請展の企画公募の受付を9月1日から開始する。詳細はこちら

 

TŌBOE ライブパフォーマンス
2021年9月4日(土)、9月19日(日)15:00–15:20(両日とも)
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA Gallery A

 


TŌBOE(西條茜+バロンタン・ガブリエ)《ホムンクルス/Homunculus》2020年


川嶋渉《粒であり波である》2019年 撮影:福永一夫


ピョトル・ブヤク《トーク・トークⅡ》2021年

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