キュンチョメ《クチがケガレになった日、私は唾液で花を育てようと思った》2021年
キュンチョメ『クチがケガレになった日、私は唾液で花を育てようと思った』
2021年7月31日(土)- 8月30日(日)9月12日(日)※会期延長
NICA(〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町13-1 地下1階)
https://nicatokyo.com/
開場日時:15:00-21:00(月、木、金)、13:00-21:00(土、日、祝、8/9、8/13、8/16)
休館日:火、水
入場料:500円(18歳以下無料)
特設ウェブサイト:https://www.kyunchome.com/2021smr
ホンマエリとナブチによるアートユニット、キュンチョメが、あいちトリエンナーレ2019以来の新作を発表する個展『クチがケガレになった日、私は唾液で花を育てようと思った』を、東京・日本橋のアーツセンター「NICA(Nihonbashi Institute of contemporary art)」で開催する。
キュンチョメは、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに活動を開始。善と悪、祈りと呪い、自己と他者、さまざまな境界線を、詩的かつユーモラスに超えていく作品を制作している。2014年に福島第一原子力発電所の事故により立入禁止区域となった場所の除夜の鐘を鳴らしいく映像作品を中心としたインスタレーションで第17回岡本太郎現代芸術賞で太郎賞を受賞。その後も国内外各地に中長期にわたり滞在し、リサーチ、対話、アクションを繰り返しながら、その土地が抱える状況、そこに住む人々を取り巻く環境に切り込み、そうした活動を主に映像インスタレーションの形式で発表している。近年は、個展『暗闇でこんにちは』(駒込倉庫、2016)、Reborn-Art Festival 2017、江陵国際ビエンナーレ2018(韓国)、バンコク・ビエンナーレ2018、特別上映『完璧なドーナツをつくる』(原爆の図丸木美術館、2019)、あいちトリエンナーレ2019、『現在地:未来の地図を描くために[1]』(金沢21世紀美術館、2019)、シアターコモンズ ’20などで作品を発表。また、2021年春にはその活動において継続的に制作してきた東日本大震災に関わる16作品を公開する個展『ここにいるあなたへ』を開催した。
あいちトリエンナーレ2019の閉幕後に香港に渡ったキュンチョメは、民主化運動に参加し、黒煙の上がる路上で旧日本軍と中国共産党をオーバーラップさせたビラや香港警察を”皇軍”と呼ぶ若者達を目にする。キュンチョメは「あいトリの騒動も、香港の民主化運動も、今も続くコロナ禍やオリンピックも、すべてが繋がっていて、それらは呪いのように自身の中に渦巻いている」と語り、本展では、感染症、民主主義、抵抗と抑圧、男と女、人と動物と植物、過去と未来、さまざまなものが交差するなか、呪いを祈りへと変換する行為へと繋げようと試みる。日本と香港を往復しながら3年の年月をかけて制作した《トラを食べたハト》(2018-2020)は、平和の象徴であるハトと武力の象徴であるトラをめぐり、侵略、民主化運動、感染症、皇軍の亡霊、様々なイメージが交差しながら、祈りと決意を描く。また、最新作の《クチがケガレになった日、私は唾液で花を育てようと思った》(2021)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延し、唾液が現代のケガレと言われたはじめた日に、唾液で植物を育てはじめる作品。
キュンチョメ《トラを食べたハト》2018-2020年
キュンチョメ《トラを食べたハト》2018-2020年