Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展
2021年3月20日(土・祝)- 6月20日(日) 6月22日(火)※6/1(火)より再開し、6月22日(火)まで会期延長(4/25(日)~5/31(月)は臨時休館)
東京都現代美術館 企画展示室1F
https://www.mot-art-museum.jp/
開館日時:10:00-18:00
休館日:月(ただし、5/3は開館)、5/6
入場料:無料
公式ウェブサイト:https://www.tokyocontemporaryartaward.jp/
※完全予約制
東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)は、『Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)受賞記念展』を東京都現代美術館で開催する。TCAAは、2018年に東京都とトーキョーアーツアンドスペースが日本国内のアーティストのキャリア形成において比較的支援の薄い中堅アーティストの海外展開を含む更なる飛躍の促進を目的に設立した現代美術賞。本展では、同賞初代受賞者の風間サチコと下道基行が、その初期作品から本展が初公開となる最新作までを発表する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、TCAAの主要な支援内容のひとつである「海外での制作活動支援」にも影響を及ぼし、風間は予定されていたドイツへのリサーチを中止し、下道は2019年度に中国、イタリアへと渡航したものの当初の活動計画の変更を余儀なくされた。しかし、風間は現下のコロナ禍を機に、自分自身の創作の原点「内省と空想・世界と自我の対立と和解」に立ち返り、トーマス・マンの『魔の山』から着想した「内省による対立からの脱却」をテーマに制作した最新作シリーズ「Magic Mountain」を中心に、関連する過去作品を交えた構成で展示を行なう。一方、下道はコロナ禍以前の2019年から生まれ育った瀬戸内海地域で古い郷土資料を収集するプロジェクトを開始し、2020年3月には同地区の島に家族で移り住んだが、移住直後にコロナ禍が訪れ、これまでのような旅や移動の日々ではなく、新しい生活を模索しながら、静かな島で過去の資料を集めて読んでいく日々を過ごすことになった。本展では、プロジェクトを通じて、作家以外の人の思考が加わったり、人の手に渡る、あるいは人々の中で使われたりすることで「作品」との境界を越境する物事を扱ったシリーズを発表する。なお、展覧会の開幕に合わせて、作品や制作についての作家自身の文章や、本賞選考委員などによる寄稿を掲載した日英バイリンガルのモノグラフを作家ごとに発行する(3月下旬頃にTCAA公式ウェブサイトにPDFデータを公開)。
風間サチコ《ヴァルハラ》2019年、木版画(パネル、和紙、油性インク)
Courtesy of Kurobe City Art Museum 撮影:柳原良平
風間サチコ《人外交差点》2013年、木版画(パネル、和紙、油性インク)Courtesy of Mori Art Museum, Queensland Art Gallery | Gallery of Modern Art 蔵 撮影:渡邉修
風間サチコ(1972年東京都生まれ)は、「現在」起きている現象の根源を「過去」に探り、「未来」に垂れこむ暗雲を予兆させる黒い木版画を中心に制作する。ひとつの画面にさまざまなモチーフを盛り込んだ漫画風でナンセンスな木版画は、黒一色のみの単色でありながら濃淡を駆使した多彩な表現を駆使し、彫刻刀によるシャープな描線によって、きわどいテーマを巧みに表現している。近年の主な展覧会に、『日産アートアワード2020』(ニッサン パビリオン、2020)、個展『セメントセメタリー』(無人島プロダクション、2020)、個展『風間サチコ展 コンプリート組曲』(黒部市美術館、2019)、個展『ディスリンピア2680』(原爆の図丸木美術館、2019)、ヨコハマトリエンナーレ2017、光州ビエンナーレ2016など。
下道基行(1978年岡山県生まれ)は、2000年代初頭より、日本各地に残る戦争遺構を調査撮影したシリーズ『戦争のかたち』(2001-2005)や日本の国境線の外側を旅し日本植民地時代の遺構の現状を調査するシリーズ『torii』(2006-2012)など、旅やフィールドワークをベースにした制作活動を展開。生活のなかに埋没して忘却されかけている物語、あるいは些細すぎて明確には意識化されない日常的な物事を、さまざまな手法で顕在化し、現代と地続きの出来事として再提示する。近年の主な展覧会に、『現代アートにおける「時間」』(高松市美術館、2020)、個展個展『漂白之碑』(大原美術館/有隣荘、2019)、『Cosmo-Eggs|宇宙の卵』(第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ 日本館、2019)、『MOVING STONES』(KADIST、パリ、2018)など。
下道基行《漂泊之碑》2015年-、ガラス、ミクストメディア
下道基行《瀬戸内「百年観光」資料館》2020年
同時開催
『マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在』
2021年3月20日(土)- 6月20日(日)
東京都現代美術館 企画展示室3F
『ライゾマティクス_マルティプレックス』
2021年3月20日(土)- 6月20日(日)
東京都現代美術館 企画展示室地下2F
『MOTコレクション コレクションを巻き戻す』
2021年3月20日(土)- 6月20日(日)
東京都現代美術館 コレクション展示室