崔在銀「hatred melts like snow」2019年 ©Kim Taedong（参考画像）Courtesy of the artist
The Nature Rules 自然国家：Dreaming of Earth Project
2019年4月13日（土）-7月28日（日）
原美術館
http://www.haramuseum.or.jp/
開館時間：11:00-17:00（5/1を除く水曜は20:00まで）入館は閉館30分前まで
休館日：月曜（4/29、5/6、7/15は開館）、5/7、7/16
発案・構成：崔在銀［チェ・ジェウン］
原美術館では、ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館での展示経験を持つソウル出身のアーティスト、崔在銀［チェ・ジェウン］が発案・構成した展覧会『The Nature Rules 自然国家：Dreaming of Earth Project』を開催する。
崔在銀［チェ・ジェウン］（1953年ソウル生まれ）は、76年に来日し、生け花への関心から草月流の華道を学びはじめる。84年から３年間、草月流三代目家元の勅使河原宏のアシスタントを務め、生け花の表層だけでなく、その空間概念や宇宙観を学び、自身の感性と共鳴させながら、作品をインスタレーションというかたちに昇華させていった。86年には、和紙を地中に埋め、時を経て掘り出す「ワールド・アンダーグランド・プロジェクト」を開始し、韓国の慶州や福井県の今立をはじめ、欧米、アフリカを含む、さまざまな土地で、作品の完成を各地の地中の環境に委ねるという試みを展開した。80年代後半より個展やグループ展を重ね、91年に第21回サンパウロ・ビエンナーレに出品。95年には第46回ヴェネツィア・ビエンナーレに日本館展示作家のひとりとして参加した。2001年には映画『On The Way』を発表し、ロカルノ国際映画祭、モントリオール国際映画祭、東京国際女性映画祭などで上映している。2010年には原美術館で個展『アショカの森』を開催。古代インドの皇帝、「アショカ王の５本の樹の森」という故事に着想した新作インスタレーションを発表した。また、2016年には第15回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展にも参加している。
崔在銀「Recurring Tree」（参考画像）Courtesy of the artist
本展では、朝鮮戦争休戦後に停戦ラインの北緯38度線から南北2kmずつの帯状の緩衝地帯「非武装地帯（DMZ）」で、人が立ち入ることができないために育まれた豊かな生態系を守り、生きとし生けるもののすべての共生を願った崔が、2014年に立ち上げた「Dreaming of Earth Project（大地の夢プロジェクト）」の構想を、彼女に共感するアーティストや建築家とともに、原美術館の展示空間に提示する。本展タイトルの「自然国家」の実現、維持のために、出品作家のほか、崔が信頼する協力者が創作した「自然国」の”法律”（＝詩）も出品される。
hatred melts like snow
――韓半島を二分する 248kmの DMZには、幾重もの鉄条網が約 70年にわたり存在してきた。
鉄条網は、かつては同じ民族だった者たちが、異なる理念の下に袂を分かち、刃を向け合う
その憎しみを象徴している。
私は、境界線から撤去された鉄条網を熱で溶かすことにした。
そして、それを飛び石にし、誰もが上を踏んで歩くことができるようにした。
鉄条網は何にでもその姿を変えることができる。心臓、告白、台座、避難所など…。
愛を前に、憎しみは雪のように溶けるだろう
――崔在銀
Lee Bul「Study for DMZ Jung-ja Project 1」2017年 pencil, watercolor ink, acrylic paint on paper（参考画像）Courtesy of the artist
Studio Other Spaces: Olafur Eliasson and Sebastian Behmann「Condensation pavilion」（参考画像）Courtesy of the artist
Minsuk Cho「DMZ Vault of Life and Knowledge」2016年（参考画像）Courtesy of the artist
出品作家
坂茂、チョウ・ミンスク、崔在銀、チョン・ジェスン、川俣正、キム・テドン、イ・ブル、李禹煥、スン・ヒョサン、スタジオ・ムンバイ、スタジオ・アザー・スペーシズ（オラファー・エリアソン＆セバスチャン・ベーマン）
協力者
アン・ソヨン、チェ・ジェチョン、チョウ・ミンスク、ギムソンホック、平野啓一郎、イ・ウンジュ、李禹煥、ダニエラ・モレラ、中村桂子、ほか
ART iT Archive
南嶌宏「崔在銀：「アショカの森」のボルヘス」（2010年10月）