Subversive Film, An Exercise in Assembling (2023-present) Busan Biennale 2024, Museum of Contemporary Art Busan (MOCA Busan) Photo: ART iT
釜山ビエンナーレ2026
「Dissident Chorus」
2026年9月5日(土)-11月15日(日)
http://www.busanbiennale.org/BBOCen/
アーティスティック・ディレクター:アマル・ハラフ(Amal Khalaf)、エヴェリン・シモンズ(Evelyn Simons)
近年は公募制によりアーティスティック・ディレクターを選出している釜山ビエンナーレは、「波」を多角的に解釈し、過去から現代に至る国境を越えた貿易や人口移動、衝突の数々の中に釜山を位置付けようと試みたキム・ヘジュの「We, on the Rising Wave」、「啓蒙の海賊」と「悟り」の両概念に焦点を当て、幅広い精神性や文化を探究するとともに時代が求める芸術的空間(および世界全体)を再考し、ドクメンタ15以降の態度のひとつを示したフィリップ・ピロットとヴェラ・メイの「Seeing in the Dark」と評価の高い内容が続く。2026年展は、ロンドンのCubittのプログラムディレクターで昨年はバンコクで「Ghost 2568: Wish We Were Here」のキュレーションを手がけたアマル・ハラフと、ブリュッセルを拠点にベルギーを代表するエレクトロニック・ミュージックのイベント「Horst Arts & Music」のヴィジュアルアーツおよびパフォーマンスのプログラム(2019–2023)を担当してきたエヴェリン・シモンズによる展覧会案を選出。音、身体、水を媒介とした記憶、共感、治癒、抵抗、連帯といったキーワードが織りなす「Dissident Chorus」というテーマの下、主会場の釜山現代美術館だけでなく、市内の象徴的、歴史的に重要な空間を会場にわたって、サイトスペシフィックなインスタレーションや、パフォーマンス、音楽を含む、さまざまな表現の展開を試みる。
Ho Tzu Nyen, 2024 Image courtesy of Singapore Art Museum
第16回光州ビエンナーレ
2026年9月-11月
https://www.gwangjubiennale.org/gb/index.do
アーティスティック・ディレクター:ホー・ツーニェン
5.18光州民主化運動の精神を受け継ぎ、日本による植民地統治からの解放「光復」50周年を記念して設立した背景を持つ光州ビエンナーレ。第16回展では、不確実な時代に切望される原動力を喚起する芸術による変革の力に焦点を当てた企画案により、シンガポール出身のアーティスト、ホー・ツーニェンがアーティスティック・ディレクターに抜擢された。豊田市美術館や東京都現代美術館(MOT)での個展をはじめ日本国内でも印象的な仕事を立て続けに残してきたホーは、既存の映像資料や文献を参照、再編成することで、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出してきた。その独自の視野は、2019年にシュウ・ジャウェイ[許家維]と手がけた第7回アジア・アート・ビエンナーレのキュレーションにおいても遺憾無く発揮され、本ビエンナーレにおける期待も高まる。昨年末にプレイベント「One or Multiple Gwangju(s)?(ひとつあるいは複数の光州?)」が開かれ、セッション1では、ホーが本ビエンナーレの中心的なテーマのひとつとなる「変化」について話した上で、光州の全南大学校教授チョン・ミョンジュンが、5.18光州民主化運動を「多様体(multiplicity)」として捉え直すという観点から、キュレーターのパク・ガヒが、歴代の光州ビエンナーレがどのように「光州」を取り上げてきたのかという観点からそれぞれプレゼンテーションを行なった。セッション2では、上述のMOTの個展でキュレーションを担当した崔敬華が、芸術実践は、「変化」を事件としてではなく世界との関係を再構成するものとして理解するような感覚の変容をいかにしてもたらしうるのかという問いを共有し、次いで、CAMP、ジャクリーン・キヨミ・ゴーク、パク・チャンキョン、ワン・トゥオ[王拓]が各自の実践と経験を語り、最後にキュレーターのブライアン・クアン・ウッドがそれぞれの発表と議論をどのようにビエンナーレに結びつけていくのかという展望を述べ、長時間にわたるセッションを締め括った。
Installation view La Biennale de Lyon, Les Grandes Locos, Lyon, 2024
第18回リヨン・ビエンナーレ
2026年9月−12月
https://www.labiennaledelyon.com/en
キュレーター:キャスリン・ニコルズ
リヨン・ビエンナーレは、同地に現代美術館の開館を数年後に控えた1991年に、パリ・ビエンナーレ(1959–1985)の後継と目される中で始まった。第18回展のキュレーターを務めるのは、美術史家で現在はハンブルガー・バーンホフ現代美術館のキュレーターも務めるキャスリン・ニコルズ。ニコルズは、生誕100周年を迎えるヨーゼフ・ボイスの遺産を再考するプロジェクト「Beuys 2021: 100 Jahre Joseph Beuys」(オイゲン・ブルーメと共同企画、2019–2021)をはじめ、これまでにボイスを主題とした展覧会を複数回にわたって実現してきた。そのほか近年は、コソヴォ共和国の首都プリシュティナで開かれたマニフェスタ14(2022)や、アレクサンドラ・ピリチ、デルシー・モレロス、ペトリット・ハリライらの個展(いずれもハンブルガー・バーンホフ現代美術館)も手がけている。キャリアを通じて、社会的、政治的、環境的な問題に取り組むアートの可能性を探究する一方で、思考やコンヴィヴィアリティのための空間を促進してきたニコルズが、前回より主要会場に加わった旧貨物列車整備場「レ・グランデ・ロコス(Les Grandes Locos)」や、リヨン現代美術館など複数の会場で展開される物語に注目が集まる。

バンコク・アート・ビエンナーレ2026
「Angels and Mara」
2026年10月29日(木)-2027年2月28日(日)
https://www.bkkartbiennale.com/
アーティスティック・ディレクター:アピナン・ポーサヤーナン(Apinan Poshyananda)
5度目の開催を迎えるバンコク・アート・ビエンナーレは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教における天使「Angel」とヒンズー教における悪魔「Mara」を並置したテーマ「Angels and Mara」を掲げる。2018年の第1回よりアーティスティック・ディレクターを務めるアピナン・ポーサヤーナンとともに、バンコク芸術・文化センター(BACC)ディレクターのアドゥラヤ・フントラクン、バンコクを拠点に活動する美術史家のレミー・ジェリー、IKONギャラリー(バーミンガム)のアーティスティック・ディレクター、メラニー・ポコック、WHY Architecture主宰の建築家クラパット・ヤントラサーがキュラトリアル・チームを結成。昨年10月には参加アーティストの第1弾として、森村泰昌、第12回ヒロシマ賞を受賞し今夏に広島市現代美術館で受賞記念展を控えるアジア系アメリカ人のメル・チン、中国出身の二人組スン・ユァン[孫原]&ポン・ユゥ[彭禹]、ミャンマー軍事政権下で政治犯として投獄されながらも獄中で活動を継続した経験を持つミャンマー出身のティン・リン、同じくミャンマー出身で、児童労働や女性の権利、不可視化されたクィア・コミュニティの現状、ミャンマーの政治社会情勢などを写真を媒体に扱ってきたリ、第23回写真の町東川賞海外作家賞作家でタイ出身のマニット・スリワニチプーン、ピチェ・クランチェン・ダンスカンパニーのダンサーとしても知られるタイ出身のコーンカーン・ルンサワーンら15組の名前が発表されている。
