左:インティ・ゲレロ 右:コスミン・コスティナシュ 撮影:ウォルフガング・ティルマンス 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会
2025年12月8日、横浜トリエンナーレ組織委員会は、第9回横浜トリエンナーレのアーティスティック・ディレクターに、ルーマニア出身のコスミン・コスティナシュと、コロンビア出身のインティ・ゲレロを招聘すると発表した。会期は2027年4月23日から9月12日までの124日間となる。
コスミン・コスティナシュ(1982年ルーマニア生まれ)は、キュレーター、著述家。2011年から2022年まで香港のアートスペース、パラサイトのディレクターを務め、2022年7月からはベルリンの世界文化の家でシニア・キュレーターを務めている。2025年末まで同職を続けたのち、キュレトリアル・アドバイザーとして活動を予定している。これまで多くの国際展および文化機関でキュレーションに携わり、第59回ヴェネツィア・ビエンナーレ ルーマニア館共同キュレーター(2022)、カトマンズ・トリエンナーレ アーティスティック・ディレクター(ネパール、2022)、ダッカ・アート・サミット’18 ゲスト・キュレーター(バングラデシュ)、第10回上海ビエンナーレ 共同キュレーター(2014)、現代美術機関BAK キュレーター(オランダ・ユトレヒト、2008-2011)、第1回ウラル工業ビエンナーレ(ロシア・エカテリンブルグ、2010)、ドクメンタ12のドクメンタ・マガジンの共同編集担当キュレーター(2007)などを歴任した。世界各地で展覧会を手掛けるほか、アートアワードの審査員なども務める。
インティ・ゲレロ(1983年コロンビア生まれ)は、キュレーター、美術教育者。フィリピンのマニラとバターンを拠点とするべラス・アルテス・プロジェクツのアーティスティック・ディレクター(2018-2021)、テートの南米美術部門客員キュレーター(2016-2021)、第38回エヴァ・インターナショナル(アイルランド・リムリック、2018)のチーフ・キュレーターなどを歴任してきた。これまでヨーロッパ、米国、南米、アジアの美術大学で教鞭をとり、講演を行ってきたほか、専門誌に数多くの記事を寄稿している。2011年より香港を拠点に活動し、現在は香港城市大学修士課程の客員教授を務めている。ヨコハマトリエンナーレ2020では、アーティスティック・ディレクターのラクス・メディア・コレクティブのディレクションのもと、横浜美術館会場にて企画展示「エピソード04『熱帯と銀河のための研究所』」のキュレーションを担当した。
第24回シドニー・ビエンナーレ(2024)の共同アーティスティック・ディレクターを務めたふたりは、西洋の悲観的な終末論に対し、集団的な抵抗、喜び、希望に満ちた展望をもって乗り越えようとするキュレーションが高く評価された。セネガルのダカールビエンナーレ2018のゲスト・キュレーターをはじめ、香港、台北、ソウル、サンフランシスコ、マニラ、クアラルンプール、バンコクなどでも展覧会の共同キュレーションの実績がある。
第8回横浜トリエンナーレ展示風景 撮影:冨田了平 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会
第9回横浜トリエンナーレは、グローバル時代の代名詞として、各地で開催されてきた国際展の新たな在り方を目指す。本展の総合ディレクターで横浜美術館館長の蔵屋美香が提唱する「世界のたくさんの地域との対話をサステイナブルな方法で組織する」方針を踏まえ、アーティスティック・ディレクターの選考がスタートした。
アーティスティック・ディレクターの選考にあたって、委員長を務めた国立新美術館学芸課長の神谷幸江は、コスティナシュとゲレロを「文化的企画を生み出し継続するために、ローカルな文脈の中で機能し、受け入れられることの必要性を十分に認識し、横浜の持つ交流の歴史に深い関心を寄せ、この地が築いてきた文化の生態系に関わる意気込みを持って」いると評価。「ローカルなリアリティ、同時代の課題をゆっくりと考える、新たな横浜トリエンナーレの姿を彼らは想像させて」くれたとし、「思いがけない勢いで、つながっていた世界を分断する力が現れている中で、サステイナブルにつながることの実践が生まれていくことを心から期待して」いるとコメントした。
第9回横浜トリエンナーレ アーティスティック・ディレクター選考委員会 委員
神谷幸江(国立新美術館 学芸課長)※委員長
蔵屋美香(横浜美術館 館長、横浜トリエンナーレ組織委員会 総合ディレクター)
鷲田めるろ(金沢21世紀美術館 館長)
山野真悟(特定非営利活動法人 黄金町エリアマネジメントセンター 顧問)
アリア・スワスティカ(ビエンナーレ・ジョグジャ ディレクター)
イザベル・ベルトロッティ(リヨン現代美術館 館長、リヨン・ビエンナーレ ディレクター)
第9回横浜トリエンナーレ
2027年4月23日(金)-9月12日(日)
https://www.yokohamatriennale.jp/
会場:横浜美術館ほか
アーティスティック・ディレクター:コスミン・コスティナシュ、インティ・ゲレロ
