アートバーゼル香港2024


Art Basel Hong Kong 2023 Courtesy Art Basel

 

2024年3月28日から30日の3日間にわたり、アジア屈指のアートフェア「アートバーゼル香港」が香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開催される。世界40カ国・地域から242軒のギャラリーが参加し、パンデミックの影響により開催中止となった2020年以前と同規模の開催となる。M+との共同コミッション(提供:UBS)として、ヤン・フードンが制作した《Sparrow on the Sea》は3月22日からM+のファサードに投影される。

200軒のギャラリーが参加する「ギャラリー(Galleries)」部門で注目されるのは、1960年代から盛んになったファイバーアートの先駆的存在として知られるシーラ・ヒックス(Alison Jacques)、同じくファイバーアートにおける重要作家で中国の前衛芸術にも影響を残したマリン・ヴァルバノフ(Bank)といったテキスタイルによる表現や、池田亮司(TARO NASU)やウリ・シグ賞2023の最終候補にも選ばれたミャオ・イン[苗颖](Galerie nächst St. Stephan)に代表されるデジタルアート。また、昨年逝去した抽象画家のシャオ・チン[蕭勤]を特集する台北のLiang Gallery、20世紀イタリア美術を特集するTornabuoni Artもハイライトのひとつ。同部門に初出展するAxel Vervoordt Galleryは、韓国現代美術を代表するキムスージャを特集する。日本からはANOMALY、オオタファインアーツ、カイカイキキギャラリー、KOTARO NUKAGA、小山登美夫ギャラリー、思文閣、シュウゴアーツ、SCAI THE BATHHOUSE、MAHO KUBOTA GALLERY、タカ・イシイギャラリー、Take Ninagawa、東京画廊+BTAP、NANZUKA、MISAKO & ROSEN、MISA SHIN GALLERY、ミヅマアートギャラリー、ユミコチバアソシエイツも参加。

 


Maryn Varbanov, Kuker (1975) Courtesyof Bank


Sofu Teshigahara, Title unknown (1950s–1970s) © Sogetsu Foundation. Courtesy of Taka Ishii Gallery Photo: Kenji Takahashi


Kimsooja, Bottari Truck – Migrateurs (2007/2009) Courtesy of the artist and Axel Vervoordt Gallery.

 

新進アーティストの個展形式を条件とする「ディスカバリー(Discoveries)」部門には22軒が参加。ムンバイに拠点を置くTarqがサミール・クラヴォール、Jhaveri Contemporaryがフィザ・カトリ、シドニーのFine Arts, Sydneyは韓国出身のヨナ・リー、北京とロンドンに拠点を置くTabula Rasa Galleryはリ・カイチョン、東京に拠点を置くWaitingroomは高田冬彦の個展で参加。一方、アジア太平洋地域および中東地域における重要なアーティストやテーマを取り上げる「インサイト(Insights)」部門では、書家の比田井南谷の個展形式で出展する√K Contemporaryを含む20軒が参加。日本からはKOSAKU KANECHIKAが沖潤子、みぞえ画廊が猪熊弦一郎、rin art associationが宇佐美圭司、STANDING PINEが平川典俊の個展形式で出展するほか、ロサンゼルスのNonaka-Hillが八代 清水六兵衞桑山忠明を紹介する。

 


Yona Lee, Kit-set In-transit (2020) Courtesy of the artist and Fine Arts, Sydney


Fuyuhiko Takata, Cut Suits (2023) ©︎ Fuyuhiko Takata Courtesy of the artist and WAITINGROOM


Junko Oki, Moon and chrysalis 01 (2017) Photo by Keizo Kioku © Junko Oki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 

「エンカウンター(Encounters)」部門では、シドニーのArtspaceでエグゼクティブ・ディレクターを務めるアレクシィー・グラス・カントワーがキュレーションを手がける。「I am a part of all that I have met」のテーマの下、ヤン・ヘギュ(Kukje Gallery、kurimanzutto、Galerie Chantal Crousel)の大型彫刻作品から、Mak2(de Sarthe)、ナミナプ・メイムル゠ホワイト(Sullivan+Strumpf)、ジティッシュ・カラット(Templon)、ミン・ウォン(オオタファインアーツ)の新作、ショッピングモール「パシフィック・プレイス」でのダニエル・ボイド(Kukje Gallery、Station)によるオフサイト展示まで、計16点のインスタレーションや大型彫刻作品が発表される。

HKCECで27日から無料の一般公開として行なわれる「フィルム(Film)」部門は、アーティスト兼フィルムプロデューサーのリ・ジェンファがプログラム構成を担当。本年度の上映作品は、チュウ・ジョンジョン(Star Gallery)の『A New Old Play』(2021)、アンネ・イムホフ(Sprüth Magers)の《Sex》(2021)、ウォン・ピン(Kiang Malingue)の『Sorry for the Late Reply』(2021)、キムスージャ(Axel Vervoordt Gallery)の『Chapter IV』(2014)、アンナ・ウッデンバーグ(Kraupa-Tuskany Zeidler)の『Useless Sacrifice』(2022-2023)など。

「カンバセーション(Conversations)」部門では、ロンドンのヘイワードギャラリーでの大規模個展が控えるヤン・ヘギュのトークや、アートウィーク東京の企画による大竹伸朗村上隆の対談、文化機関の脱植民地化をテーマにツァイツ・アフリカ現代美術館チーフキュレーターのコヨ・クオ、M+ディレクターのスハニャ・ラフェル、ドゥルジョイ・バングラデシュ財団創設者のドゥルジョイ・ラーマン、ナショナル・ギャラリー・シンガポール ディレクターのユージン・タンによるラウンドテーブルなどを開催。

同時期の香港では、M+アピチャッポン・ウィーラセタクンの個展「Primitive」や山水画を特集した展覧会「Shanshui: Echoes and Signals」、タイ・クゥン(Tai Kwun)ではツァイ・ミンリャン[蔡明亮]サラ・モリスの個展、企画展「Green Snake: women-centred ecologies」を開催。アジア・アート・アーカイブでは企画展「Another Day in Hong Kong」やCHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)では企画展「Factory of Tomorrow」、K11アート・ファンデーションでは企画展「Boundless Reverie: Chinese Savoir-Faire and Contemporary Art」が開催されている。

 

アートバーゼル香港2024https://www.artbasel.com/hong-kong

 


Naminapu Maymuru-White, Larrakitj Group (2021) Courtesy of Sullivan & Strumpf and the artist


Ken Kagami, Installation view of “Retrospective”, Parco Museum, Ikebukuro, Tokyo, 2018 Courtesy of MISAKO & ROSEN Photo: KEI OKANO


Daniel Boyd (Kudjla/Gangalu), Untitled (2023) Courtesy the artist and STATION

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