恵比寿映像祭2023 コミッション・プロジェクト特別賞


金仁淑(左)、荒木悠(右)

 

2023年2月17日、恵比寿映像祭2023で新たにはじまった「コミッション・プロジェクト」における特別賞を、荒木悠、金仁淑の2名が受賞した。

荒木悠(1985年山形県生まれ)は、英語圏において、「鋳造」と「配役」がどちらも「キャスティング(casting)」と呼ばれていることを起点に、オリジナルからコピーが作られる過程で生じる差異を再現・再演・再生といった表現手法で探究している。恵比寿映像祭2023では、ハードロックバンドKISSのコピーバンドとして活動する京都府南丹市八木町を拠点とするバンドWISSを取材した二面構成の映像インスタレーション《仮面の正体(海賊盤)》を発表した。

金仁淑(1978年大阪府生まれ)は、「多様であることは普遍的である」という考えを根幹に置き、「個」の日常や記憶、歴史、伝統、コミュニティ、家族などをテーマに制作を行ない、写真、映像を主なメディアとして使用したインスタレーションを発表している。恵比寿映像祭2023では、滋賀県愛知郡愛荘町にあるブラジルルーツの子どもたちを受け入れている保育・教育施設、サンタナ学園(コレジオ・サンタナ)との出逢いをきっかけに、0歳から18歳の約80名の子どもたち、学園を支える先生や支援者ひとりひとりと向き合いながら制作した10チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション《Eye to Eye》を発表した。

 


荒木悠 《仮面の正体(海賊盤)》 2023年 撮影:新井孝明


金仁淑《Eye to Eye》2023年、10チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション ©2023 KIMInsook 撮影:新井孝明

 

コミッション・プロジェクトは、日本を拠点に活動する新進アーティストに制作委嘱した映像作品を、同映像祭がこれまで一貫して取り組んできた「映像とは何か」という問いに対する「新たな恵比寿映像祭」の成果として発表する新しい試み。制作された作品は、恵比寿映像祭が培ってきたネットワークを活用し、国内外の文化施設や文化組織での発信に繋げていく。

なお、恵比寿映像祭2023は2月18日に閉幕したが、「恵比寿映像祭2023 コミッション・プロジェクト」は3月26日まで開催。荒木、金の作品に加え、葉山嶺の《Hollow-Hare-Wallaby》、大木裕之の《meta dramatic 劇的》を紹介している。

 

恵比寿映像祭2023 コミッション・プロジェクト
2023年2月3日(金)- 3月26日(日)
※「コミッション・プロジェクト」を除く「恵比寿映像祭2023」は2月19日に閉幕
東京都写真美術館 3階展示室
https://www.yebizo.com/
開館時間:10:00–18:00(木曜、金曜は20:00まで)※入館は閉館30分前まで
休館日:月

Copyrighted Image