第60回ヴェネツィア・ビエンナーレのキュレーターに、アドリアーノ・ペドロサが就任


Adriano Pedrosa Photo Daniel Cabrel, Courtesy Museu de Arte de São Paulo Assis Chateaubriand

 

2022年12月15日、ヴェネツィア・ビエンナーレ事務局は、2024年開催予定の第60回ヴェネツィア・ビエンナーレのキュレーターに、サンパウロ美術館のアーティスティック・ディレクターのアドリアーノ・ペドロサを任命した。

ヴェネツィア・ビエンナーレにおいて、ラテンアメリカ出身者初、また、南半球に活動拠点を置く者としても初のキュレーターを務めることになったペドロサは、その任命を受けて、「ヴェネツィア・ビエンナーレは、間違いなく現代美術における世界で最も重要な場であり、この任務は刺激的な挑戦であるとともに責任あるものです。ビエンナーレのすばらしいチームといっしょに仕事をすることはもちろん、ヴェネツィアにアーティストたちを連れてきて、そのプロジェクトを実現することを楽しみにしています」と抱負を語った。事務局長のロベルト・チクットは、「現代性に開かれた視野で展覧会を構想し、南米という出身地域の性質を踏まえた着眼点を持って活動してきた能力と独創性」がペドロサの持ち味であると述べ、「その視野を妨げることなく、むしろ、それを欠かすことのできない議論にまで拡張したことにより、ヴェネツィア・ビエンナーレはこれまでにも増して、既存のものをカタログ的に紹介するものではなく、活力源に欠けた孤立した場所に留らずに矛盾や対話や類縁関係を生み出していくものを目指していくことになるだろう」と期待を語った。なお、チクットは第59回展におけるチェチリア・アレマーニとの協働の経験を踏まえた上で、次回のビエンナーレのキュレーションをペドロサに任せるという決断に至ったと語り、建築ビエンナーレと同様に、前回の経験を基に次回の方向性を決めることが、ヴェネツィア・ビエンナーレにとってきわめて重要なものであると経緯を語った。

アドリアーノ・ペドロサ(1965年リオデジャネイロ生まれ)は、2014年から現職のサンパウロ美術館のアーティスティック・ディレクターを務める。同美術館での主な企画に、タルシラ・ド・アマラル、アンナ・ベラ・ガイゲル、イオネ・サルダーニャ、マリア・アウシリアドラ、ゲルトルデス・アルトシュル、ベアトリス・ミリャーゼス、ワンダ・ピメンテル、エリオ・オイチシカらの個展、さまざまな歴史に焦点を当てた連続企画『Histories of Childhood』(2016)、『Histories of Sexuality』(2017)、『Afro Atlantic Histories』(2018)、『Women’s Histories』(2019)、『Feminist Histories』(2019)、『Histories of Dance』(2020)、『Brazilian Histories』(2022)などがある。ペドロサは、リオデジャネイロ州立大学で法学を専攻した後、カリフォルニア芸術大学で美術批評を学び修士号を取得。第24回サンパウロ・ビエンナーレのアドジャンクト・キュレーター(1998)、ベロオリゾンテのパンプーリャ美術館のキュレーター(2000-2003)、第27回サンパウロ・ビエンナーレの共同キュレーター(2006)、サンディエゴ−ティファナ地域のアートプロジェクト「InSite」のキュレーター(2005)、プエルトリコのサンフアン・トリエンナーレのアーティスティック・ディレクター(2009)、第31回パノラマ・ダ・アルテ・ブラジレイラのキュレーター(サンパウロ近代美術館、2009)、第12回イスタンブール・ビエンナーレの共同キュレーター(2012)、第9回上海ビエンナーレにおけるサンパウロパビリオンのキュレーター(2012)などを歴任。2022年12月に、展覧会制作の発展に貢献したキュレーターの功績を讃えるオードリー・イルマス賞2023の受賞が発表された。

11月27日に閉幕した第59回展は、197日間の会期中に80万枚以上の鑑賞チケットを売り上げ、プレビュー期間の入場者22万498人を合わせ、ビエンナーレ史上最高の入場者数を記録した。第60回ヴェネツィア・ビエンナーレは、2024年4月20日から11月24日の期間に開催される予定(プレオープニングは4月17日、18日、19日)。

 


過去10回のディレクター一覧
第59回(2022)|チェチリア・アレマーニ
第58回(2019)|ラルフ・ルゴフ
第57回(2017)|クリスティーヌ・マセル
第56回(2015)|オクウィ・エンヴェゾー
第55回(2013)|マッシミリアーノ・ジオーニ
第54回(2011)|ビーチェ・クリーガー
第53回(2009)|ダニエル・バーンバウム
第52回(2007)|ロバート・ストー
第51回(2005)|マリア・デ・コラル、ロサ・マルティネス
第50回(2003)|フランチェスコ・ボナミ

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